マタイの福音書第28章第16節~第20節:重要な任務マタイの福音書第28章第1節~第10節:復活

2015年12月04日

マタイの福音書第28章第11節~第15節:番兵の報告

第28章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


The Report of the Guard

番兵の報告


11 As the women were on their way, some of the guards went into the city and told the leading priests what had happened.

11 女性たちが急いでいる間に番兵が何名か市内に入っていき、何が起こったかを祭司長たちに報告しました。

12 A meeting with the elders was called, and they decided to give the soldiers a large bribe.

12 長老たちの会合が招集され、彼らは兵士たちに多額のわいろを与えることを決めました。

13 They told the soldiers, “You must say, ‘Jesus’ disciples came during the night while we were sleeping, and they stole his body.’

13 彼らは兵士たちに言いました。「あなた方はこう言わなければいけません。『私たちが眠っている夜の間にイエスの弟子たちがやって来て、イエスの死体を盗んで行った。』

14 If the governor hears about it, we’ll stand up for you so you won’t get in trouble.”

14 もし総督がこのことを耳にするようなことになったら、あなた方に問題がないように、私たちはあなた方の味方をしますから。」

15 So the guards accepted the bribe and said what they were told to say. Their story spread widely among the Jews, and they still tell it today.

15 そこで番兵たちはわいろを受け取り、言うようにと指図されたとおりに言いました。番兵たちの話はユダヤ人の間に広く伝えられ、今日もそう伝えています。




ミニミニ解説

マタイの第28章、最終章です。

今回の場所に対応する箇所は他の福音書には見つかりません。「マタイ」・「ルカ」=「マルコ」+「Q資料」+「独自の資料」の式にあてはめると、今回の部分はマタイの「独自の資料」から書かれた部分ということになります。

マタイのこの部分はかなり不可解な記述だと思っています。

まず第11節、ローマ兵たちはエルサレムの市内へ入り、自分たちの作戦本部へ戻るのではなく、ユダヤ人の長老たちのところへ向かいました。ローマ兵たちと言うのはサンヘドリンの要請を受けたピラト総督が派遣した16人前後のユニットのことです。彼らの任務はイエスさまの死体が納められた墓の警護でした。第27章に、やはりマタイの「独自の資料」からの編入記事として書かれていたのは、「弟子たちが死体を盗んでおいて、イエスさまが復活した、と騒ぎ立てるかも知れないから」とサンヘドリンがピラトに墓の封印と警護を依頼した、と言うことでした。

イエスさまの死体が消失したことでローマ兵は任務を失敗したことになりますが、恐らくローマ兵は、これを自分たちの死で償わなければなりません。たとえばActs 12:18-19(使徒の働き第12章第18節~第19節)を読んでみます。ここはイエスさまの復活後に伝道活動を開始した弟子たちの中でリーダー格だったペテロについての記述です。このときペテロは逮捕されて牢に入れられて鎖につながれ、これをローマ兵が監視していました。すると夜中に天使が現れてペテロを救出するのです。第18~19節は、その翌朝の部分です。「18 さて、朝になると、ペテロはどうなったのかと、兵士たちの間に大騒ぎが起こった。19 ヘロデは彼を捜したが見つけることができないので、番兵たちを取り調べ、彼らを処刑するように命じ、そして、ユダヤからカイザリヤに下って行って、そこに滞在した。」([新改訳])。ペテロの警護に失敗したローマ兵は取り調べを受けた後に処刑されています。

あるいはActs 16:25-27(使徒の働き第16章第25節~第27節)です。これはやはりイエスさまの復活後に伝道活動を行っていたパウロとシラスについての記述です。やはり二人は伝道旅行先で逮捕されて牢に入れられています。「25 真夜中ごろ、パウロとシラスが神に祈りつつ賛美の歌を歌っていると、ほかの囚人たちも聞き入っていた。26 ところが突然、大地震が起こって、獄舎の土台が揺れ動き、たちまちとびらが全部あいて、みなの鎖が解けてしまった。27 目をさました看守は、見ると、牢のとびらがあいているので、囚人たちが逃げてしまったものと思い、剣を抜いて自殺しようとした。」([新改訳])。ここでは一帯を大地震が襲って牢の扉が開いてしまうのですが、囚人たちが逃げてしまったと思い込んだ看守は自殺しようとします。これは任務の失敗によって自分が死刑にされると覚悟していたためと思われます。

ところが今回の第12節ではサンヘドリンはローマ兵たちにわいろを渡して、嘘の証言をするようにそそのかし、第15節ではローマ兵がそれに従ったと書かれています。他の理由をあげるならまだしも、「眠っている間に死体を盗まれた」という証言は警護の失敗を自分たちで認めることになりますから、あまりにも不自然です。

今回の部分から推測できるのは、まずイエスさまの死体がローマ兵が警護する墓から消失したことは大変な驚きを持って受け止められた、ということ。この後で始まる伝道活動の中で、弟子たちは「イエスさまは復活した」と証言します。この証言を覆すために保守系のユダヤ人層は懸命にイエスさまの死体を探し出そうとしたでしょうが、結局見つけられなかったのでしょう。そこでユダヤ人たちは「弟子たちが死体を盗んだ」という噂を広めたのです。裏返せば、イエスさまの墓は明らかに不自然に空っぽだったということです。その裏で、任務に失敗したローマ兵たちは処刑されたのでしょう。

次回はマタイの最終回です。弟子たちは復活したイエスさまに出会います。弟子たちにとっては「空っぽの墓」ではなくて、実際に出会ったイエスさまが「イエスさまは復活した」と証言する根拠なのです。






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