マタイの福音書第28章第11節~第15節:番兵の報告マタイの福音書:第28章

2015年12月04日

マタイの福音書第28章第1節~第10節:復活

第28章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


The Resurrection

復活


1 Early on Sunday morning, as the new day was dawning, Mary Magdalene and the other Mary went out to visit the tomb.

1 日曜日の朝早く、新しい日が明けようとしているとき、マグダラのマリヤともうひとりのマリヤは墓を訪れるために出かけました。

2 Suddenly there was a great earthquake! For an angel of the Lord came down from heaven, rolled aside the stone, and sat on it.

2 突然、大きな地震が起こりました。それは主の天使がひとり、天から降りて来て、岩をわきへころがして、その上に座ったからです。

3 His face shone like lightning, and his clothing was as white as snow.

3 天使の顔は稲妻のように輝き、服は雪のように真っ白でした。

4 The guards shook with fear when they saw him, and they fell into a dead faint.

4 番兵たちは天使を見ると恐ろしさで震え、倒れて意識を失いました。

5 Then the angel spoke to the women. “Don’t be afraid!” he said. “I know you are looking for Jesus, who was crucified.

5 それから天使は女性たちに話しかけました。天使は言いました。「恐れないでください。あなた方が十字架にかけられたイエスさまを捜しているのを私は知っています。

6 He isn’t here! He is risen from the dead, just as he said would happen. Come, see where his body was lying.

6 イエスさまはここにはいません。イエスさまは死者の中からよみがえったのです。イエスさまがそうなると言っていたとおりです。来て、イエスさまの死体が横たわっていた場所を見てみなさい。

7 And now, go quickly and tell his disciples that he has risen from the dead, and he is going ahead of you to Galilee. You will see him there. Remember what I have told you.”

7 さぁ、急いで行って、イエスさまが死者の中からよみがえったこと、イエスさまがあなた方より先にガリラヤに行くことを弟子たちに伝えなさい。あなた方はそこでイエスさまに会うのです。私があなた方に伝えたことを覚えておいてください。」

8 The women ran quickly from the tomb. They were very frightened but also filled with great joy, and they rushed to give the disciples the angel’s message.

8 女性たちは急いで墓から走りました。彼女たちはとても怖かったのですが、大きな喜びにも満たされていたのです。彼女たちは弟子たちに天使のメッセージを伝えるために急ぎました。

9 And as they went, Jesus met them and greeted them. And they ran to him, grasped his feet, and worshiped him.

9 女性たちが行く途中で、イエスさまが彼女たちに出会ってあいさつをしました。彼女たちはイエスさまのところへ駆けていき、足をしっかりと掴んでイエスさまを拝みました。

10 Then Jesus said to them, “Don’t be afraid! Go tell my brothers to leave for Galilee, and they will see me there.”

10 するとイエスさまが女性たちに言いました。「恐れてはいけません。行って私の兄弟たちにガリラヤへ出発するように言いなさい。彼らはそこで私に会うのです。」




ミニミニ解説

マタイの第28章、最終章です。

今回の場所に対応する箇所は「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」に見つかります。

マルコはMark 16:1-7(マルコの福音書第16章第1節~第7節)です。

「1 さて、安息日が終わったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとは、イエスに油を塗りに行こうと思い、香料を買った。2 そして、週の初めの日の早朝、日が上ったとき、墓に着いた。3 彼女たちは、「墓の入口からあの石をころがしてくれる人が、だれかいるでしょうか」とみなで話し合っていた。4 ところが、目を上げて見ると、あれほど大きな石だったのに、その石がすでにころがしてあった。5 それで、墓の中に入ったところ、真っ白な長い衣をまとった青年が右側にすわっているのが見えた。彼女たちは驚いた。6 青年は言った。「驚いてはいけません。あなたがたは、十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのでしょう。あの方はよみがえられました。ここにはおられません。ご覧なさい。ここがあの方の納められた所です。7 ですから行って、お弟子たちとペテロに、『イエスは、あなたがたより先にガリラヤへ行かれます。前に言われたとおり、そこでお会いできます』とそう言いなさい。8 女たちは、墓を出て、そこから逃げ去った。すっかり震え上がって、気も転倒していたからである。そしてだれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。」([新改訳])。

ルカはLuke 24:1-10(ルカの福音書第24章第1節~第10節)です。

「1 週の初めの日の明け方早く、女たちは、準備しておいた香料を持って墓に着いた。2 見ると、石が墓からわきにころがしてあった。3 入って見ると、主イエスのからだはなかった。4 そのため女たちが途方にくれていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着たふたりの人が、女たちの近くに来た。5 恐ろしくなって、地面に顔を伏せていると、その人たちはこう言った。「あなたがたは、なぜ生きている方を死人の中で捜すのですか。6 ここにはおられません。よみがえられたのです。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。7 人の子は必ず罪人らの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目によみがえらなければならない、と言われたでしょう。」 8 女たちはイエスのみことばを思い出した。9 そして、墓から戻って、十一弟子とそのほかの人たち全部に、一部始終を報告した。10 この女たちは、マグダラのマリヤとヨハンナとヤコブの母マリヤとであった。彼女たちといっしょにいたほかの女たちも、このことを使徒たちに話した。」([新改訳])。

ヨハネはJohn 20:1-18(ヨハネの福音書第20章第1節~第18節)です。

「1 さて、週の初めの日に、マグダラのマリヤは、朝早くまだ暗いうちに墓に来た。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。2 それで、走って、シモン・ペテロと、イエスが愛された、もうひとりの弟子とのところに来て、言った。「だれかが墓から主を取って行きました。主をどこに置いたのか、私たちにはわかりません。」 3 そこでペテロともうひとりの弟子は外に出て来て、墓のほうへ行った。4 ふたりはいっしょに走ったが、もうひとりの弟子がペテロよりも速かったので、先に墓に着いた。5 そして、からだをかがめてのぞき込み、亜麻布が置いてあるのを見たが、中に入らなかった。6 シモン・ペテロも彼に続いて来て、墓に入り、亜麻布が置いてあって、7 イエスの頭に巻かれていた布切れは、亜麻布といっしょにはなく、離れた所に巻かれたままになっているのを見た。8 そのとき、先に墓に着いたもうひとりの弟子も入って来た。そして、見て、信じた。9 彼らは、イエスが死人の中からよみがえらなければならないという聖書を、まだ理解していなかったのである。10 それで、弟子たちはまた自分のところに帰って行った。11 しかし、マリヤは外で墓のところにたたずんで泣いていた。そして、泣きながら、からだをかがめて墓の中をのぞき込んだ。12 すると、ふたりの御使いが、イエスのからだが置かれていた場所に、ひとりは頭のところに、ひとりは足のところに、白い衣をまとってすわっているのが見えた。13 彼らは彼女に言った。「なぜ泣いているのですか。」彼女は言った。「だれかが私の主を取って行きました。どこに置いたのか、私にはわからないのです。」 14 彼女はこう言ってから、うしろを振り向いた。すると、イエスが立っておられるのを見た。しかし、彼女にはイエスであることがわからなかった。15 イエスは彼女に言われた。「なぜ泣いているのですか。だれを捜しているのですか。」彼女は、それを園の管理人だと思って言った。「あなたが、あの方を運んだのでしたら、どこに置いたのか言ってください。そうすれば私が引き取ります。」 16 イエスは彼女に言われた。「マリヤ。」彼女は振り向いて、ヘブル語で、「ラボニ(すなわち、先生)」とイエスに言った。17 イエスは彼女に言われた。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないからです。わたしの兄弟たちのところに行って、彼らに『わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神のもとに上る』と告げなさい。」 18 マグダラのマリヤは、行って、「私は主にお目にかかりました」と言い、また、主が彼女にこれらのことを話されたと弟子たちに告げた。」([新改訳])。

いつものように「マタイ」・「ルカ」=「マルコ」+「Q資料」+「独自の資料」の式にあてはめると、今回の部分はマルコからの引用を下敷きにしながら、マタイ独自の資料からも編入が行われていると考えられます。

まず第1節、安息日の翌日、つまり日曜日の朝に女性たちがイエスさまの墓に向かいます。マタイでは墓に向かうのは「マグダラのマリヤともうひとりのマリヤ」の二人ですが、マルコでは「マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメ」の三人、ルカでは「マグダラのマリヤとヨハンナとヤコブの母マリヤ」の三人です。ヨハネではマグダラのマリヤひとりだけだったようにも読めます。またマルコやルカでは「イエスに油を塗りに行こうと思い、香料を買った。」、「女たちは準備しておいた香料を持って墓に着いた。」などと墓に行く目的が書かれているのですが、マタイではそれが省略されています。

安息日の前日の金曜日、アリマタヤのヨセフは慌ただしくイエスさまの埋葬を済ませました。翌日の土曜日が安息日ですが、安息日が日没を迎えて終わると、律法が労働を禁じる時間が過ぎ去ります。マルコによると女性たちは日没の後に外出をして、死体に塗るための埋葬用の香料を買い求めました。

イエスさまを埋葬したアリマタヤのヨセフはユダヤの慣例に従い、白い布でイエスさまの死体をミイラのようにグルグル巻きにしてから、岩を横に掘ってくりぬいた墓の中に横たえました。通常この作業の際にはこの白い布に防腐と消臭のための香料をたっぷりと含ませます。ヨハネにはファリサイ派のニコデモが「没薬とアロエを混ぜ合わせたものをおよそ三十キログラムばかり持ってやって来た。」と書かれていました。

当時の風習では死体を墓に納めた三日後に再度墓を訪れる習慣があったようですので、女性たちの行動は不自然なものではありません。ただしイエスさまは反逆者として十字架に掛けられた人物で、そう言う人物は通常は一般の墓に納められることはありませんでしたから、すべてが他の人と同様と言うわけにはいきません。いつもなら三日後に墓を訪れるときには岩をどかしてくれる人がいるはずなのに、今回に限ってはそのあてはありませんでした。だからマルコに書かれているように女性たちは「墓の入口からあの石をころがしてくれる人が、だれかいるでしょうか。」と話しながらイエスさまの墓へ向かったのです。当時の習慣では会葬者は横たえられた死体の近くにも香料を置いたようです。女性たちは習慣に従ってイエスさまの死体にさらに香料を塗り込んだり、死体の近くに香料を置くためにイエスさまの墓に向かったのでしょう。

第2節、マタイでは大きな地震が起こり、その理由が「天使がひとり、天から降りて来て岩をわきへころがして、その上に座ったから」と書かれていますが、マルコ、ルカ、ヨハネでは岩はすでにころがしてあったと書かれています。

第4節にある、墓を守っていたローマ兵が恐怖に震えて倒れ、意識を失う場面は他の福音書には登場しません。

第3節、マタイに登場する「天使(angel)」は一人で、「天使の顔は稲妻のように輝き、服は雪のように真っ白でした。」と書かれていますが、マルコでは「墓の中に入ったところ、真っ白な長い衣をまとった青年が右側にすわっているのが見えた。」とあり天使は墓の中にいたことになっています。ルカでは「まばゆいばかりの衣を着たふたりの人が女たちの近くに来た。」と天使は二人です。ヨハネでは「ふたりの御使いが、イエスのからだが置かれていた場所に、ひとりは頭のところに、ひとりは足のところに、白い衣をまとってすわっているのが見えた。」と天使は二人で、やはり墓の中にいます。

天使と言うと、私たちは背中に羽根をつけた幼い男の子イメージの絵に接することが多いですが、これは聖書の中に登場する天使とはイメージがまったく異なります。聖書の中の天使は様々な形をとります。今回のように男性の姿であったり、あるいは四つとか六つの翼を持って宙を飛んでいたり、四つの顔を持っていたり、さらには炎だったり光だったり風だったりもするのです。その天使が言います。「恐れないでください。」 これは聖書の中では神さまや天使が、あるいは超常現象を伴って出現するイエスさまが、人に向かって最初に言う言葉です。人は神さまや天使に接すると恐怖するのです。怖くて怖くて仕方なくなります。それに対して神さまの側から最初にかけられる言葉はいつも「恐れるな」です。

天使が女性たちに告げる言葉はマルコとほぼ同じです。「イエスさまはここにはいない」「イエスさまは死者の中から復活された」「それはイエスさまがかねてから言っていたとおりである」「弟子たちにガリラヤへ行くように伝えなさい」「弟子たちはガリラヤでイエスさまに会う」です。

アリマタヤのヨセフがイエスさまの死体を納めた墓は、サンヘドリンが要請して総督のピラトが派兵を許可したローマ兵の一群(最低でも16人前後のユニット)が警備に当たっていたのでした。その墓が日曜日の朝には空っぽだったのです。イエスさまの復活を裏付ける第一の証拠は空っぽの墓、つまりイエスさまの死体の消失です。サンヘドリンがローマ兵による墓の警護を実現したため、いざイエスさまの死体が消失したときに、それは弟子たちが死体を盗み出しておいて、それはイエスさまが復活したからだと言いふらしているとの言い分は通りにくくなってしまいました。ローマ兵の警備をかいくぐって封印された墓から死体を盗み出すことがどれほど困難なことかは、誰にも明らかだったからです。

イエスさまが弟子たちより先にガリラヤへ行くと伝えたのは、Matthew 26:31-32(マタイの福音書第26章第31節~第32節)の部分です。ここは最後の晩餐の後でイエスさまの一行がオリーブ山へと移動したときの場面です。「31 そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたはみな、今夜、わたしのゆえにつまずきます。『わたしが羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散り散りになる』と書いてあるからです。32 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先に、ガリラヤへ行きます。」([新改訳])。

マタイでは第9節で女性たちは弟子たちの元へ向かう途中で復活したイエスさまに遭遇し、女性たちはイエスさまの足にすがりついています。一方ヨハネではマグダラのマリヤが復活したイエスさまに遭遇しますが、イエスさまはマリヤに「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないからです。」と不思議な理由で自分に触れてはいけないと伝えています。

マルコでは女性たちがイエスさまに遭遇した場面はなく、それどころか女性たちは「そこから逃げ去った。すっかり震え上がって、気も転倒していたからである。そしてだれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。」と書かれています。ルカは「そして、墓から戻って、十一弟子とそのほかの人たち全部に、一部始終を報告した。」と伝えています。







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