マタイの福音書第22章第23節~第33節:復活に関する議論マタイの福音書第22章第1節~第14節:盛大な宴会のたとえ話

2015年12月10日

マタイの福音書第22章第15節~第22節:シーザーへの税金

第22章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Taxes for Caesar

シーザーへの税金


15 Then the Pharisees met together to plot how to trap Jesus into saying something for which he could be arrested.

15 それからファリサイ派の人たちが集まり、どのようにかしてイエスさまを罠にかけて、何か逮捕されるようなことを言わせる方法を相談しました。

16 They sent some of their disciples, along with the supporters of Herod, to meet with him. “Teacher,” they said, “we know how honest you are. You teach the way of God truthfully. You are impartial and don’t play favorites.

16 ファリサイ派は弟子たちを何人か、ヘロデの支持者たちと共にイエスさまのもとに送りました。彼らは言いました。「先生、私たちはあなたがどれほど誠実な方かを知っています。あなたは神さまの道を誠実に教えています。あなたは公明正大で人をひいきすることもありません。

17 Now tell us what you think about this: Is it right to pay taxes to Caesar or not?”

17 それでこのことについて先生がどう思うか私たちに教えてください。シーザーに税金を払うのは正しいことでしょうか、あるいは正しくないことでしょうか。」

18 But Jesus knew their evil motives. “You hypocrites!” he said. “Why are you trying to trap me?

18 しかしイエスさまは彼らの邪悪な動機に気づいていました。イエスさまは言いました。「偽善者たち、なぜあなた方は私を罠にかけようとするのか。

19 Here, show me the coin used for the tax.” When they handed him a Roman coin,

19 さぁ、税金に使う貨幣を私に見せなさい。」 彼らはローマの硬貨を一枚イエスさまに渡しました。

20 he asked, “Whose picture and title are stamped on it?”

20 イエスさまはたずねました。「硬貨には誰の肖像と称号が押されていますか。」

21 “Caesar’s,” they replied. “Well, then,” he said, “give to Caesar what belongs to Caesar, and give to God what belongs to God.”

21 彼らは答えました。「シーザーのものです。」 イエスさまは言いました。「そうですか、それならばシーザーのものはシーザーに渡しなさい。そして神さまのものは神さまに渡しなさい。」

22 His reply amazed them, and they went away.

22 イエスさまの答えは彼らを驚かせました。そして彼らは立ち去りました。




ミニミニ解説

マタイの福音書第22章です。

イエスさまは十字架にかけられる前の一週間、毎日寺院へ通い、そこで人々に教えています。ここまではイエスさまが祭司長たちと長老たちに話した三つのたとえ話が書かれていました。

ここからは四つの問答になります。最初の問答は「シーザーへの税金」についての問答です。同じ話は「マルコ」と「ルカ」に登場します。

マルコはMark 12:13-17(マルコの福音書第12章第13節~第17節)です。

「13 さて、彼らは、イエスに何か言わせて、わなに陥れようとして、パリサイ人とヘロデ党の者数人をイエスのところへ送った。14 彼らはイエスのところに来て、言った。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、だれをもはばからない方だと存じています。あなたは人の顔色を見ず、真理に基づいて神の道を教えておられるからです。ところで、カイザルに税金を納めることは律法にかなっていることでしょうか、かなっていないことでしょうか。納めるべきでしょうか、納めるべきでないのでしょうか。」 15 イエスは彼らの擬装を見抜いて言われた。「なぜ、わたしをためすのか。デナリ銀貨を持って来て見せなさい。」 16 彼らは持って来た。そこでイエスは彼らに言われた。「これはだれの肖像ですか。だれの銘ですか。」彼らは、「カイザルのです」と言った。17 するとイエスは言われた。「カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」彼らはイエスに驚嘆した。」([新改訳])。

「ルカ」はLuke 20:20-26(ルカの福音書第20章第20~26節)です。

「20 さて、機会をねらっていた彼らは、義人を装った間者を送り、イエスのことばを取り上げて、総督の支配と権威にイエスを引き渡そう、と計った。21 その間者たちは、イエスに質問して言った。「先生。私たちは、あなたがお話しになり、お教えになることは正しく、またあなたは分け隔てなどせず、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。22 ところで、私たちが、カイザルに税金を納めることは、律法にかなっていることでしょうか。かなっていないことでしょうか。」 23 イエスはそのたくらみを見抜いて彼らに言われた。24 「デナリ銀貨をわたしに見せなさい。これはだれの肖像ですか。だれの銘ですか。」彼らは、「カイザルのです」と言った。25 すると彼らに言われた。「では、カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」 26 彼らは、民衆の前でイエスのことばじりをつかむことができず、お答えに驚嘆して黙ってしまった。」([新改訳])。

「マタイ」・「ルカ」=「マルコ」+「Q資料」+「独自の資料」の公式にあてはめると、これは「マルコ」からの採用と言うことになります。

第15節によるとイエスさまを逮捕するためにファリサイ派が集まり、寺院にいるイエスさまに議論を仕掛け、なにか逮捕に値すること、律法に違反することを言わせようと企んだのでした。

第16節にはファリサイ派がヘロデの支持者たちと共に行動したと書かれています。かつてユダヤを支配したヘロデ大王は、もともとユダヤ人が認める正式なユダヤの王ではなくて、政治的な取引と策略を経てローマ帝国からユダヤ民族の支配者としての指名を勝ち取った人物です。その支持者とはヘロデ大王の王室を支持する政治結社と思われます。ヘロデ大王の死後、その跡を継いだ三人の息子のうちアルケラオが追放されてユダヤはローマ帝国の直轄地となっていました。ファリサイ派は旧約聖書の神さまを唯一の支配者として信奉する人たちのはずです。それがローマ帝国に取り入ろうとするヘロデ王室の再興を願うヘロデ支持の派閥と一緒に出かけていくのですから、もうやっていることがメチャメチャです。彼らはイエスさまを抹殺して自分たちの利権を守ることさえできれば原理原則などもうどうでも良いのでしょうか。

彼らは「先生、私たちはあなたがどれほど誠実な方かを知っています。あなたは神さまの道を誠実に教えています。あなたは公明正大で人をひいきすることもありません。」と、うわべだけはイエスさまを褒め称えるような枕詞を述べてから、イエスさまを陥れるために「シーザーに税金を払うのは正しいことでしょうか、あるいは正しくないことでしょうか。」と質問をします。

シーザーは言うまでもなくイスラエルを支配するローマ帝国の皇帝です。人々はローマ帝国から課せられた重税に苦しんでいました。もしイエスさまが「シーザーに税金を払うのは正しい。」と言えば、その発言はローマ帝国による支配を支持する発言ですから、イエスさまを取り巻くユダヤ人は大変不満に思うでしょう。そうして民衆の心はイエスさまから離れて行きます。これはファリサイ派には好都合です。イエスさまを抹殺しても民衆が暴動を起こす懸念が小さくなります。逆にイエスさまが「シーザーに税金を払うのは正しくない。」と言えば、彼らはイエスさまを反逆者としてローマ帝国に訴えることができます。

彼らはこれでイエスさまは答えに窮するだろうと考えたのでしょうが、イエスさまは最初から質問者の意図を見抜いています。そうそう簡単には尻尾を掴ませません。人々がイエスさまがどのように答えるかと待っていると、なんとも機転の利いた回答でやすやすとファリサイ派を撃退してしまうのです。「シーザーのものはシーザーに渡しなさい。神さまのものは神さまに渡しなさい。」 この言葉の後には「そもそも世の中のお金は誰のものでしょうか」という問いが隠されています。何という素晴らしい回答でしょうか。民衆はイエスさまの答えに驚き熱狂したでしょう。そして「イエスさまが今日どうやってファリサイ派を撃退したか聞いたか?」と、イエスさまの問答の噂は瞬く間にエルサレム中に広まっていったはずです。






english1982 at 21:00│マタイの福音書 
マタイの福音書第22章第23節~第33節:復活に関する議論マタイの福音書第22章第1節~第14節:盛大な宴会のたとえ話