マタイの福音書第21章第12節~第17節:イエスさまが寺院を一掃するマタイの福音書:第21章

2015年12月11日

マタイの福音書第21章第1節~第11節:イエスさまの勝利の入城

第21章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Jesus’ Triumphant Entry

イエスさまの勝利の入城


1 As Jesus and the disciples approached Jerusalem, they came to the town of Bethphage on the Mount of Olives. Jesus sent two of them on ahead.

1 イエスさまと弟子たちはエルサレムに近づき、一行はオリーブ山にあるベテパゲの町へ来ました。イエスさまは弟子を二人、先に行かせました。

2 “Go into the village over there,” he said. “As soon as you enter it, you will see a donkey tied there, with its colt beside it. Untie them and bring them to me.

2 イエスさまは言いました。「あそこの村へ行きなさい。村へ入るとすぐに、ろばが一頭つながれているのが見えます。横にはろばの子がいます。二頭をほどいて私のところへ連れて来なさい。

3 If anyone asks what you are doing, just say, ‘The Lord needs them,’ and he will immediately let you take them.”

3 あなた方が何をしているのかと誰かがきいたら、『主がお入用なのです』とだけ言いなさい。その人は即座にあなた方に渡してくれます。」

4 This took place to fulfill the prophecy that said,

4 これが起こったのは次の預言を実現するためです。

5 “Tell the people of Israel, ‘Look, your King is coming to you. He is humble, riding on a donkey -- riding on a donkey’s colt.’ ”

5 「イスラエルの人々に伝えなさい。『見なさい。あなたの王があなたのところに来ます。その方はつつましく、ろばの背に乗っています。ろばの子に乗っています。』」

6 The two disciples did as Jesus commanded.

6 二人の弟子はイエスさまの命じたとおりにしました。

7 They brought the donkey and the colt to him and threw their garments over the colt, and he sat on it.

7 二人はろばとろばの子をイエスさまのところへ連れて来て、自分たちの衣服をロバの子の上に投げかけ、イエスさまはその上に座りました。

8 Most of the crowd spread their garments on the road ahead of him, and others cut branches from the trees and spread them on the road.

8 群衆の大半が自分たちの衣服をイエスさまの前の道に広げました。他の人たちは木の枝を切って、道に広げました。

9 Jesus was in the center of the procession, and the people all around him were shouting, “Praise God for the Son of David! Blessings on the one who comes in the name of the Lord! Praise God in highest heaven!”

9 イエスさまは行進の中心にいて、イエスさまのまわりの人たち全員が叫んでいました。「ダビデの子のために神さまを褒め称えよ。主の名前によって来られる方に祝福を。最も高い天にいる神さまを褒め称えよ。」

10 The entire city of Jerusalem was in an uproar as he entered. “Who is this?” they asked.

10 イエスさまが入って行くと、エルサレムの町全体が大騒ぎしました。彼らはききました。「この人は誰なのですか。」

11 And the crowds replied, “It’s Jesus, the prophet from Nazareth in Galilee.”

11 群衆は答えました。「この方はイエスさまです。ガリラヤ地方のナザレから来た預言者です。」




ミニミニ解説

マタイの福音書第21章です。イエスさまの一行はエリコを通っていよいよエルサレムへ到着しました。今回のシーンは「勝利の入城(Triumphant Entry)」と呼ばれるエルサレム入城の場面で、イエスさまの十字架の一週間前にあたります。

今回と同じ、「勝利の入城 」の部分は「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」の全福音書が伝えています。

まずマルコは前回の続きのMark 11:1-11(マルコの福音書第11章第1節~第11節)です。

「1 さて、彼らがエルサレムの近くに来て、オリーブ山のふもとのベテパゲとベタニヤに近づいたとき、イエスはふたりの弟子を使いに出して、2 言われた。「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない、ろばの子が、つないであるのに気がつくでしょう。それをほどいて、引いて来なさい。3 もし、『なぜそんなことをするのか』と言う人があったら、『主がお入用なのです。すぐに、またここに送り返されます』と言いなさい。」 4 そこで、出かけて見ると、表通りにある家の戸口に、ろばの子が一匹つないであったので、それをほどいた。5 すると、そこに立っていた何人かが言った。「ろばの子をほどいたりして、どうするのですか。」 6 弟子たちが、イエスの言われたとおりを話すと、彼らは許してくれた。7 そこで、ろばの子をイエスのところへ引いて行って、自分たちの上着をその上に掛けた。イエスはそれに乗られた。8 すると、多くの人が、自分たちの上着を道に敷き、またほかの人々は、木の葉を枝ごと野原から切って来て、道に敷いた。9 そして、前を行く者も、あとに従う者も、叫んでいた。「ホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。10 祝福あれ。いま来た、われらの父ダビデの国に。ホサナ。いと高き所に。」 11 こうして、イエスはエルサレムに着き、宮に入られた。そして、すべてを見て回った後、時間ももうおそかったので、十二弟子といっしょにベタニヤに出て行かれた。」([新改訳])。

ルカはLuke 19:29-44(ルカの福音書第19章第29~44節)です。

「29 オリーブという山のふもとのベテパゲとベタニヤに近づかれたとき、イエスはふたりの弟子を使いに出して、30 言われた。「向こうの村に行きなさい。そこに入ると、まだだれも乗ったことのない、ろばの子がつないであるのに気がつくでしょう。それをほどいて連れて来なさい。31 もし、『なぜ、ほどくのか』と尋ねる人があったら、こう言いなさい。『主がお入用なのです。』」 32 使いに出されたふたりが行って見ると、イエスが話されたとおりであった。33 彼らがろばの子をほどいていると、その持ち主が、「なぜ、このろばの子をほどくのか」と彼らに言った。34 弟子たちは、「主がお入用なのです」と言った。35 そしてふたりは、それをイエスのもとに連れて来た。そして、そのろばの子の上に自分たちの上着を敷いて、イエスをお乗せした。36 イエスが進んで行かれると、人々は道に自分たちの上着を敷いた。37 イエスがすでにオリーブ山のふもとに近づかれたとき、弟子たちの群れはみな、自分たちの見たすべての力あるわざのことで、喜んで大声に神を賛美し始め、38 こう言った。「祝福あれ。主の御名によって来られる王に。天には平和。栄光は、いと高き所に。」 39 するとパリサイ人のうちのある者たちが、群衆の中から、イエスに向かって、「先生。お弟子たちをしかってください」と言った。40 イエスは答えて言われた。「わたしは、あなたがたに言います。もしこの人たちが黙れば、石が叫びます。」 41 エルサレムに近くなったころ、都を見られたイエスは、その都のために泣いて、42 言われた。「おまえも、もし、この日のうちに、平和のことを知っていたのなら。しかし今は、そのことがおまえの目から隠されている。43 やがておまえの敵が、おまえに対して塁を築き、回りを取り巻き、四方から攻め寄せ、44 そしておまえとその中の子どもたちを地にたたきつけ、おまえの中で、一つの石もほかの石の上に積まれたままでは残されない日が、やって来る。それはおまえが、神の訪れの時を知らなかったからだ。」」([新改訳])。

「マタイ」・「ルカ」=「マルコ」+「Q資料」+「独自の資料」の公式にあてはめると、マタイはこの部分をマルコから採用していると思われます。

最後にヨハネを見てみます。ヨハネは四つの福音書の中では独立した編集内容となっています。John 12:12-19(ヨハネの福音書第12章第12節~第19節)です。「12 その翌日、祭りに来ていた大ぜいの人の群れは、イエスがエルサレムに来ようとしておられると聞いて、13 しゅろの木の枝を取って、出迎えのために出て行った。そして大声で叫んだ。「ホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。イスラエルの王に。」 14 イエスは、ろばの子を見つけて、それに乗られた。それは次のように書かれているとおりであった。15 「恐れるな。シオンの娘。見よ。あなたの王が来られる。ろばの子に乗って。」 16 初め、弟子たちにはこれらのことがわからなかった。しかし、イエスが栄光を受けられてから、これらのことがイエスについて書かれたことであって、人々がそのとおりにイエスに対して行なったことを、彼らは思い出した。17 イエスがラザロを墓から呼び出し、死人の中からよみがえらせたときにイエスといっしょにいた大ぜいの人々は、そのことのあかしをした。18 そのために群衆もイエスを出迎えた。イエスがこのしるしを行われたことを聞いたからである。19 そこで、パリサイ人たちは互いに言った。「どうしたのだ。何一つうまくいっていない。見なさい。世はあげてあの人のあとについて行ってしまった。」」([新改訳])。

マタイで特徴的なのは、この出来事について第4節と第5節で預言が成就したとの記述を載せているところです。この部分はオリジナルのマルコにはありません。引用箇所はZechariah 9:9(ゼカリヤ書第9章第9節)です。「シオンの娘よ。大いに喜べ。エルサレムの娘よ。喜び叫べ。見よ。あなたの王があなたのところに来られる。この方は正しい方で、救いを賜わり、柔和で、ろばに乗られる。それも、雌ろばの子の子ろばに。」([新改訳])。この預言によると待望の王がイスラエルに来るときには子ロバに乗ってくることになっているのです。この部分の編集はヨハネにも採用されていますので、ここからヨハネはマタイの後に書かれたのではないか、と考えることができます。それとマタイだけに特徴的なのは、連れてきたロバが子ロバに親ロバを加えて二頭になっているところです。

さて、第1節で一行が到着したとされるオリーブ山は城塞都市のエルサレムの東側に広がる山で、エルサレムからベテパゲとベタニヤへに至る道はオリーブ山を巻くようにして東へ延びています。ベテパゲはエルサレムのすぐ東にあり、ベタニヤはその少し先の南東にある町です。現在でもGoogle Mapなどを使ってこれらの町の位置関係を確認できます。エルサレムからベテパゲを通ってベタニヤまでは、ほんの2~3キロしか離れていないことがわかります。

イエスさまはゼカリヤ書の預言を意識して子ロバにまたがって入城すべく、弟子を二人、先に使いに出して自分の乗るロバを探させます。一行はベタニヤ方面からエルサレムへやって来て、二人の弟子は途中にあるベテパゲの町の手前から使いに出されたのでしょう。二人はろばを探しにベテパゲの町へ入っていったのです。

弟子たちがイエスさまに言われたとおり、道ばたで見つけたロバを勝手にほどいて連れて行こうとすると、最初は咎められるのですが、イエスさまの言葉を伝えると許されました。イエスさまがエルサレムに来るとの噂が広まっていた影響でしょうか、事は不思議とイエスさまの予告どおりに進んでいきます。きっとイエスさまは弟子たちにロバを探すようにと指示した時点で、ロバが見つかるかどうか、何も不安を感じなかったはずです。イエスさまは神さまを信じて疑わず、神さまの意志を100%優先するためにエルサレムに向かっていますので、神さまがザカリヤに書かせた預言のこの部分の実現は必然だったからです。

弟子たちは自分たちの衣服を連れてきた子ロバの背にかけ、他の人々は衣服を道に敷きます。これは当時のユダヤ人の風習なのかも知れません。さらに人々は葉の茂る木の枝を切り落としてきて道に敷きました。ヨハネの福音書によるとこれは「しゅろの木の枝」です。これもまたユダヤの風習だったのかも知れません。このエピソードにちなんで、イエスさまがエルサレムに入城されたとされる日曜日(十字架刑の一週間前)を「Palm Sunday(しゅろの主日)」と呼ぶようになりました。

第9節、人々は「ダビデの子のために神さまを褒め称えよ(Praise God for the Son of David!)」と叫びんでイエスさまを迎えます。ここの叫びは[KJV]では「Hosanna to the son of David(ダビデの子に「ホサナ」)」とヘブライ語のまま記されています。これは神さまを褒め称える叫び声です。

注意したいのは、この部分が読み方によってはエルサレム全体がイエスさまの入城を喝采をもって迎えたように誤解してしまうことです。当時のイスラエルはローマ帝国の支配下にありました。人々が集結して大騒ぎすれば、反ローマ帝国の蜂起が起こるのではないかと警戒されていたような状況です。福音書にはイエスさまの入城の騒ぎを聞きつけて軍隊が登場するなどの記述はありません。と言うことは、この入城は私たちが想像しているよりも規模の小さいものだったのかも知れません。


下の地図はイエスさまの勝利の入城の経路です。上の地図は現代の『Google Map』から、真ん中の俯瞰図は『Holman Bible Atlas』から、下のエルサレムの地図は『New Living Translation: Life Application Study Bible』からです。矢印はすべて私が付けています。

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