マタイの福音書:第21章マタイの福音書第20章第20節~第28節:イエスさまが他の人のために働くことについて教える

2015年12月12日

マタイの福音書第20章第29節~第34節:イエスさまが二人の盲人を癒やす

第20章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Jesus Heals Two Blind Men

イエスさまが二人の盲人を癒やす


29 As Jesus and the disciples left the town of Jericho, a large crowd followed behind.

29 イエスさまと弟子たちがエリコの町を出て行くと、大ぜいの群衆が後ろについて行きました。

30 Two blind men were sitting beside the road. When they heard that Jesus was coming that way, they began shouting, “Lord, Son of David, have mercy on us!”

30 道路の脇に盲人が二人座っていました。二人はイエスさまがその道を来ると聞くと叫び始めました。「主よ、ダビデの子よ、私たちをあわれんでください。」

31 “Be quiet!” the crowd yelled at them. But they only shouted louder, “Lord, Son of David, have mercy on us!”

31 「静かにしなさい。」 群衆は彼らにどなりました。ところが彼らはさらに大きな声で叫ぶだけなのでした。「主よ、ダビデの子よ、私たちをあわれんでください。」

32 When Jesus heard them, he stopped and called, “What do you want me to do for you?”

32 イエスさまが彼らの声を聞くと、立ち止まって呼びました。「私に何をして欲しいのですか。」

33 “Lord,” they said, “we want to see!”

33 彼らは言いました。「主よ、私たちは見たいのです。」

34 Jesus felt sorry for them and touched their eyes. Instantly they could see! Then they followed him.

34 イエスさまは二人をかわいそうに思って、彼らの目に触りました。その瞬間、二人は見えるようになりました。それから二人はイエスさまについて行きました。




ミニミニ解説

マタイの福音書第20章です。イエスさまの一行はいよいよエルサレムへ向かいます。第19章の冒頭でイエスさまはガリラヤ地方を出発すると、ヨルダン川を一度東側へ渡り、少し遠回りをしています。第19章はその後、イエスさまの話になりました。第20章も引き続き、イエスさまの話になっていました。

今回、一行はエリコの町へ来ました。エリコはエルサレムの北東、20kmほどにある町です。エリコはヨルダン川の西側にありますので、一行はどこかで再度ヨルダン川を西へ渡ったことになりますが、きっと一行はこのエリコの地点でヨルダン川を西へ渡ったのではないかと思います。

エリコについては旧約聖書に有名なエピソードがあります。イエスさまの時代を1500年も遡る頃(紀元前1500年頃)、モーゼに率いられてエジプトの奴隷状態から脱出したユダヤ民族は、40年間も砂漠を放浪させられた後で、いよいよ約束の地、パレスチナに入ります。このときのリーダーはモーゼを引き継いだヨシュアです。ユダヤ民族がヨルダン川を東から西へ渡り、パレスチナに入って最初に攻略した町がエリコなのです。エリコは周囲をぐるりと城壁に囲まれた堅牢な城塞都市でしたが、ユダヤの民がエリコのまわりを七周して雄叫びをあげると城壁がガラガラと崩れ落ち、ユダヤ民族は易々と侵入してエリコを攻略したのです。なんとも怪しげな物語なのですが、なんと近年、城壁が不自然な方向に崩れ落ちたエリコの遺跡が見つかって注目を集めたようです。イエスさまの時代のエリコは大昔に破壊された町をヘロデ大王が再建したリゾートの町だったようです。

今回と同じ部分の記述は「マルコ」と「ルカ」に見られます。

マルコは前回の続きのMark 10:46-52(マルコの福音書第10章第46節~第52節)です。

「46 彼らはエリコに来た。イエスが、弟子たちや多くの群衆といっしょにエリコを出られると、テマイの子のバルテマイという盲人の物ごいが、道ばたにすわっていた。47 ところが、ナザレのイエスだと聞くと、「ダビデの子のイエスさま。私をあわれんでください」と叫び始めた。48 そこで、彼を黙らせようと、大ぜいでたしなめたが、彼はますます、「ダビデの子よ。私をあわれんでください」と叫び立てた。49 すると、イエスは立ち止まって、「あの人を呼んで来なさい」と言われた。そこで、彼らはその盲人を呼び、「心配しないでよい。さあ、立ちなさい。あなたをお呼びになっている」と言った。50 すると、盲人は上着を脱ぎ捨て、すぐ立ち上がって、イエスのところに来た。51 そこでイエスは、さらにこう言われた。「わたしに何をしてほしいのか。」すると、盲人は言った。「先生。目が見えるようになることです。」 52 するとイエスは、彼に言われた。「さあ、行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです。」すると、すぐさま彼は見えるようになり、イエスの行かれる所について行った。」([新改訳])。

ルカはLuke 18:35-43(ルカの福音書第18章第35節~第43節)です。

「35 イエスがエリコに近づかれたころ、ある盲人が、道ばたにすわり、物ごいをしていた。36 群衆が通って行くのを耳にして、これはいったい何事ですか、と尋ねた。37 ナザレのイエスがお通りになるのだ、と知らせると、38 彼は大声で、「ダビデの子のイエスさま。私をあわれんでください」と言った。39 彼を黙らせようとして、先頭にいた人々がたしなめたが、盲人は、ますます「ダビデの子よ。私をあわれんでください」と叫び立てた。40 イエスは立ち止まって、彼をそばに連れて来るように言いつけられた。41 彼が近寄って来たので、「わたしに何をしてほしいのか」と尋ねられると、彼は、「主よ。目が見えるようになることです」と言った。42 イエスが彼に、「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを直したのです」と言われると、43 彼はたちどころに目が見えるようになり、神をあがめながらイエスについて行った。これを見て民はみな神を賛美した。」([新改訳])。

「マタイ」・「ルカ」=「マルコ」+「Q資料」+「独自の資料」の公式にあてはめると、マタイはこの部分をマルコから採用していると思われます。

三つを読み比べて気づくのは、マルコとマタイでは一行はエリコの町を出て行く場面ですが、ルカでは一行はエリコへ近づいて行くところです。それとマルコとルカでは盲人は一人ですが(マルコではバルテマイと名前があがっています)、マタイでは二人になっています。

エリコの町の近くの道ばたに盲人が二人座っています。彼らは物乞いをして暮らしているのです。当時はどの町にも物乞いが道ばたに座っていたようです。給金を得るための労働は、この当時は肉体労働に限られていたので、盲人にできるような仕事はなかったのです。

イエスさまの一行が近づいてくると、二人は大きな声で叫び始めます。「主よ、ダビデの子よ、私たちをあわれんでください。」 ガリラヤ地方から遠く離れたエリコの町にいる盲人の物乞いでさえ、イエスさまが行っている数々の奇跡の噂を伝え聞いていたのです。二人は何とかしてイエスさまに自分たちの目を癒していただこうと、周囲が止めるのにもひるまずに必死で叫び続けます。

二人が叫んでいる言葉の中にある「ダビデの子」とは、この時代から1000年ほど前にイスラエルの第二代の王だったダビデ王の子孫のことです。旧約聖書の中では神さまがダビデ王の子孫に永遠の王座を約束しています。またIsaiah 9:6-7(イザヤ書第9章第6節~第7節)に次の言葉があります。「6 ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。7 その主権は増し加わり、その平和は限りなく、ダビデの王座に着いて、その王国を治め、さばきと正義によってこれを堅く立て、これをささえる。今より、とこしえまで。万軍の主の熱心がこれを成し遂げる。」([新改訳])。この部分はある日イスラエルに救世主が到来し、その人に力が与えられ、ダビデの王座に着いて永遠に国を治めるとの予告になっています。ですのでイエスさまを「ダビデの子」と呼ぶのは、旧約聖書に約束された「救世主」と呼びかけているのと同じことなのです。

二人の盲人が大きな声で叫び続けると、イエスさまはこれを聞いて立ち止まり、「私に何をして欲しいのですか。」とたずねます。二人が「主よ、私たちは見たいのです。」と言うとイエスさまは二人の目を癒します。「救い」は求める者に与えられます。自分の「救い」を求めるのに周囲に対する遠慮は不要なのです。大きな声で神さまに「助けてください。」とお願いすれば良いのです。そうすればあとは全部神さまが引き受けてくださいます。イエスさまの癒しは即座にその場で完了します。事態はだんだん良くなるのではなくて、いつも瞬時に奇跡の結果が実現するのです。









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