マルコの福音書第6章第45節~第56節:イエスさまが水の上を歩くマルコの福音書第6章第14節~第29節:洗礼者ヨハネの死

2015年11月25日

マルコの福音書第6章第30節~第44節:イエスさまが五千人に食べさせる

第6章
  

(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Jesus Feeds Five Thousand

イエスさまが五千人に食べさせる


30 The apostles returned to Jesus from their ministry tour and told him all they had done and taught.

30 使徒たちが伝道の旅からイエスさまの元に戻って来て、自分たちがしたことと教えたことをすべてイエスさまに話しました。

31 Then Jesus said, “Let’s go off by ourselves to a quiet place and rest awhile.” He said this because there were so many people coming and going that Jesus and his apostles didn’t even have time to eat.

31 イエスさまは言いました。「私たちだけで静かなところへ行ってしばらく休みましょう。」 イエスさまがこう言ったのは、本当にたくさんの人々が出入りしていて、イエスさまも使徒たちも食事をする時間さえなかったからです。

32 So they left by boat for a quiet place, where they could be alone.

32 そこで一行は舟に乗り、自分たちだけになれる静かなところへと出発しました。

33 But many people recognized them and saw them leaving, and people from many towns ran ahead along the shore and got there ahead of them.

33 ところがたくさんの人々が一行に気づき、彼らが出て行くのを目にしました。いろいろな町から来た人たちが水辺を先回りして走り、一行よりも先にそこへ着いてしまいました。

34 Jesus saw the huge crowd as he stepped from the boat, and he had compassion on them because they were like sheep without a shepherd. So he began teaching them many things.

34 イエスさまが舟から踏み出すとたくさんの群衆が見えました。人々はまるで羊飼いのいない羊のようだったので、イエスさまは人々に同情を寄せました。そこでイエスさまは人々にたくさんのことを教え始めました。

35 Late in the afternoon his disciples came to him and said, “This is a remote place, and it’s already getting late.

35 午後遅くなって弟子たちがイエスさまのところに来て言いました。「ここは人里離れたへんぴな場所です。時刻もすでに遅くなって来ています。

36 Send the crowds away so they can go to the nearby farms and villages and buy something to eat.”

36 人々を解散させてください。そうすれば人々は近隣の農家や村に行って食べる物を買うことができます。」

37 But Jesus said, “You feed them.” “With what?” they asked. “We’d have to work for months to earn enough money to buy food for all these people!”

37 ところがイエスさまは言いました。「あなた方が群衆に食べさせなさい。」 弟子たちは言いました。「何を与えると言うのですか? この人たち全員に食べ物を買うお金を稼ぐだけで、私たちは何ヶ月も働かなければならないでしょう。」

38 “How much bread do you have?” he asked. “Go and find out.” They came back and reported, “We have five loaves of bread and two fish.”

38 イエスさまがたずねました。「パンはどれぐらいありますか。行って探して来なさい。」 弟子たち戻ってきて報告しました。「パンのかたまりが五つと魚が二匹です。」

39 Then Jesus told the disciples to have the people sit down in groups on the green grass.

39 するとイエスさまは弟子たちに、人々を組にして青草の上に座らせるように言いました。

40 So they sat down in groups of fifty or a hundred.

40 そこで人々は五十人、百人の組になって座りました。

41 Jesus took the five loaves and two fish, looked up toward heaven, and blessed them. Then, breaking the loaves into pieces, he kept giving the bread to the disciples so they could distribute it to the people. He also divided the fish for everyone to share.

41 イエスさまは五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げ、神さまに捧げました。それからイエスさまはパンをばらばらに裂きながら弟子たちに渡し続け、弟子たちが人々にパンを配れるようにしました。イエスさまは魚も同じように分けて、みなで分かち合えるようにしました。

42 They all ate as much as they wanted,

42 人々は全員が食べたいだけ食べました。

43 and afterward, the disciples picked up twelve baskets of leftover bread and fish.

43 そしてその後で弟子たちは残りのパンと魚を十二のかご一杯に拾い集めました。

44 A total of 5,000 men and their families were fed from those loaves!

44 このパンのかたまりを食べたのは五千人の男とその家族でした。




ミニミニ解説

二人ずつの組にして送り出した12人の使徒たちが戻ってきてイエスさまに報告をします。イエスさまの周囲には常にたくさんの人たちが群れていて気が休まらないので、どこか別の場所に行って休もうということになりますが、船に乗って脱出しようとするイエスさまの一行を見つけると、なんと人々は岸を走って移動して船が着く場所へと先回りしてしまうのでした。ですのでイエスさまが船から下りるとそこにはすでに大勢の群衆がいたのです。

第34節、イエスさまがこの群衆を見ると「人々はまるで羊飼いのいない羊のようだったので」可哀想になり、人々に話をして教え始めます。羊は帰巣本能を持たない動物なのだそうで、ということは羊飼いがいなければ、羊たちは迷って死ぬことを運命付けられたようなものなのです。今回の話はここから始まります。

そうやって話をしているうちに時間がたって夕刻になり、弟子たちは心配になってきます。第35節~第36節、弟子たちはそろそろ群衆を解散させないと食べるものを手に入れたり、家路につく時間がなくなりますよ、とイエスさまに言います。

イエスさまは弟子たちに繰り返し「心配するな。信じろ。」と告げてきています。命令どおりに何も持たずに旅に出た弟子たちは、心配しながら歩いていったはずですが、結果として旅先で宿屋や食べ物や服に困ることはなかったはずなのです。どういうわけか絶妙のタイミングで宿も食べ物も着るものも手に入ったはずなのです。ところが弟子たちはあれこれと心配することをやめません。何のために旅に出たのか、旅先で何を学んで来たのか、イエスさまからすれば弟子たちにはまったくわかっていない、と言うことになるのでしょう。

第37節でイエスさまが言います。「あなた方が群衆に食べさせなさい。」 第44節によると群衆は男だけで五千人いたのです。妻や子供や年老いた親など、同行する家族を合わせれば二万人を超える群衆だったのではないでしょうか。なので弟子たちの答えは「何を与えると言うのですか? この人たち全員に食べ物を買うお金を稼ぐだけで、私たちは何ヶ月も働かなければならないでしょう。」となりました。大変現実的な回答です。先生、冗談を言わないでくださいよ、という感じです。弟子たちには、自分たちの目の前で病人を完治させ、死者をよみがえらせ、声だけで嵐を静めたイエスさまが一緒にいることの意味がわかっていないのです。旅先にきっちりと絶妙のタイミングで備えられていた宿や食料の意味がわかっていないのです。何も心配しないで、ただイエスさまを信じて着いていけば良いということの意味がわかりません。

第38節、イエスさまは弟子たちに命じて群衆の中から食べ物をさがさせます。すると五切れのパンと二匹の魚が見つかりました。つまり弟子たちは自分たちのできる範囲のことをして後の行程をイエスさまに委ねたということです。残りはイエスさまが引き受けました。イエスさまは神さまの祝福を祈ると、パンと魚を切り分けながら弟子たちに渡していきます。弟子たちはイエスさまが次々と渡してくるパンと魚を自分たちの手で人々に配りました。

すると二万人の人たちが全員腹一杯になるまで食べることができました。さらに残った食料を集めるとカゴ12個分の量があったのです。つまり弟子たちは自分たち自身の手で二万人分の食料を渡したことになります。そして自分たち自身の手で残りを集めて12のカゴを一杯にしたのです。今度こそ弟子たちには「信じる」ということの意味が理解できたでしょうか。






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