マルコの福音書第3章第20節~第30節:イエスさまと悪霊の王子マルコの福音書第3章第1節~第12節:イエスさまが安息日に癒す、群衆がイエスさまについて行く

2015年11月28日

マルコの福音書第3章第13節~第19節:イエスさまが十二使徒を選ぶ

第3章





(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Jesus Chooses the Twelve Apostles

イエスさまが十二使徒を選ぶ


13 Afterward Jesus went up on a mountain and called out the ones he wanted to go with him. And they came to him.

13 その後でイエスさまは山に登り、一緒に連れて行きたい者たちを呼びました。彼らはイエスさまのところへ来ました。

14 Then he appointed twelve of them and called them his apostles. They were to accompany him, and he would send them out to preach,

14 それからイエスさまは十二人を指名して使徒と呼びました。使徒たちはイエスさまと行動を共にし、またイエスさまは彼らを派遣して伝道させるにあたり、

15 giving them authority to cast out demons.

15 悪霊を追い出す権威を授けようとしていました。

16 These are the twelve he chose: Simon (whom he named Peter),

16 これがイエスさまが選んだ十二人です。シモン(イエスさまはペテロと名づけました)。

17 James and John (the sons of Zebedee, but Jesus nicknamed them “Sons of Thunder”),

17 ヤコブとヨハネ(ゼベダイの息子たちで、イエスさまは「雷の子たち」のニックネームをつけました)。

18 Andrew, Philip, Bartholomew, Matthew, Thomas, James (son of Alphaeus), Thaddaeus, Simon (the zealot),

18 アンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ(アルパヨの子)、タダイ、シモン(熱心党員)、

19 Judas Iscariot (who later betrayed him).

19 イスカリオテのユダ(後にイエスさまを裏切りました)。




ミニミニ解説

イエスさまについて歩くたくさんの人たちの中から、イエスさま本人が特別に12人を選び出して使徒(apostles)とした場面です。

「apostle」(「アパスル」と発音)を辞書で引くと「(キリストの)十二使徒」などと書かれており、ほぼここに書かれた12人を指す特別な単語であることがわかります。ギリシア語の「apostolus」を語源としていて、もともとの意味は「使者(メッセンジャー)」「正式な許可、権限を得た代表者」などです。

第13節~第14節に書かれているように、この12人はイエスさま本人が直接呼んで使徒に任命したのです。イエスさま本人による任命は聖書の中ではこの場面とActs 9(使徒の働き第9章)に書かれているパウロの任命の二箇所だけです。

「12」と言う数字は聖書の中では特別な意味を持ちます。旧約聖書に書かれたユダヤ民族誕生の歴史ではアブラハム、イサク、ヤコブと続いた血筋でヤコブから誕生する12人の息子がユダヤの12の氏族の始まりとなります(正確には12人の息子のうちレビの部族には特別な任務が与えられ、ヨゼフの息子の二人が12人と同格に昇格しました)。

イエスさまが選んだのは以下の12人です:

(1) イエスさまがペテロと呼んだシモンはもともとガリラヤ湖に面したベツサイダの町の漁師で12人の中のリーダー格となります。

(2)(3) ヤコブとヨハネは兄弟(ゼベダイの息子)で、やはりガリラヤ地方ベツサイダの町の漁師です。激しい気性からイエスさまは二人を「雷の子たち」と呼びました。ヨハネはもともと洗礼者ヨハネの弟子でしたがイエスさまに従うようになりました。新約聖書の中の「ヨハネの福音書」「ヨハネの手紙第1」「同第2」「同第3」「ヨハネの黙示録」の5冊の本を記述したとされる使徒です(最近ではヨハネという別の弟子が書いたという説が有力)。ヤコブとヨハネにペテロを合わせて特にこの三人はイエスさまの側近としていつも行動を共にしてたくさんの奇跡を目撃します。ちなみに新約聖書の「ヤコブの手紙」を書いたヤコブは別人です(こちらはイエスの母マリヤが生んだイエスの兄弟のヤコブです)。

(4) アンデレはペテロの兄弟です(ヨナの息子)。ガリラヤ湖の漁師です。もともと洗礼者ヨハネの弟子でしたがヨハネがイエスさまを救世主と指し示したのでイエスさまに従い、すぐに兄弟のペテロを連れて来ました。

(5) ピリポはガリラヤ地方のベツサイダの町の出身(恐らく漁師だが定かではない)で、最初は洗礼者ヨハネの弟子でした。がイエスさまに呼ばれると、(6)ナタナエルを連れてきました。

(6) ナタナエルはガリラヤ地方のカナの町出身で、バルトロマイの名で登場する弟子と同一人物ではないかという説があります。

(7) マタイはレビと同一の人物とされ、ガリラヤ湖北岸の町カペナウム出身です。もともと敵国のローマ帝国のために自国民から税金を集める収税吏の仕事をしていました。新約聖書の中の「マタイの福音書」を記述した使徒とされます。

(8) トマスはガリラヤ地方出身。イエスさまが死から復活して最初に弟子たちに現れたときに唯一その場所に居合わせなかったのですが、みなからイエスさまが現れたと言われても信じませんでした。その一週間後に実際に復活したイエスさまに会うとイエスさま本人に復活の証拠を求めました。

(9) ヤコブ(アルパヨの子)は「小さいヤコブ」と呼ばれますが、それが年齢のことなのか身長のことなのかはわかりません。ガリラヤ地方出身です。

(10) タダイはユダとも呼ばれますが裏切り者のユダとは別人です。ガリラヤ地方出身です。

(11) 熱心党のシモンの「熱心党」は当時ユダヤの愛国主義者を集めてローマ帝国の支配に反発していた狂信的な政治結社です。ガリラヤ地方出身です。

(12) イスカリオテのユダはイエスさまを裏切った弟子です。「イスカリオテ」は「カリオテの人」の意味と解釈するのが主流で、これはエルサレムの南40kmほどにあるカリオテの町が出身地という意味になります。12人のうちユダだけが南部のユダヤ地方出身と言うことになります。福音書には12人の中の会計係としてお金を管理していたが、そのお金を盗んでいたと書かれています。

12人はもともと漁師だったり収税吏だったりと、特別な人は含まれていません。イエスさまの人選の基準は私たちのものとは違うようです。






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