2015年11月30日

マルコの福音書第1章第9節~第15節:イエスさまの洗礼と誘惑

第1章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


The Baptism and Temptation of Jesus

イエスさまの洗礼と誘惑


9 One day Jesus came from Nazareth in Galilee, and John baptized him in the Jordan River.

9 ある日、イエスさまがガリラヤ地方のナザレから来て、ヨハネはヨルダン川でイエスさまに洗礼を授けました。

10 As Jesus came up out of the water, he saw the heavens splitting apart and the Holy Spirit descending on him like a dove.

10 イエスさまが水から上がって来ると、そのとき天が二つに割れて聖霊が自分の上へ鳩のように降りるのを見ました。

11 And a voice from heaven said, “You are my dearly loved Son, and you bring me great joy.”

11 そして天から声がしました。「あなたは私が心から愛する息子、あなたは私に大いなる喜びをもたらしてくれる。」

12 The Spirit then compelled Jesus to go into the wilderness,

12 それから聖霊は無理やりイエスさまを荒野へと行かせました。

13 where he was tempted by Satan for forty days. He was out among the wild animals, and angels took care of him.

13 イエスさまは荒野で四十日間にわたってサタンの誘惑を受けました。イエスさまは荒野に野生の獣とともにいて、天使たちがイエスさまに仕えていました。

14 Later on, after John was arrested, Jesus went into Galilee, where he preached God’s Good News.

14 後にヨハネが捕らえられてから、イエスさまはガリラヤ地方へ行き、そこで神さまの良い知らせを伝えました。

15 “The time promised by God has come at last!” he announced. “The Kingdom of God is near! Repent of your sins and believe the Good News!”

15 イエスさまは言いました。「ついに神さまが約束したその時が来ました。神さまの国が近づきました。罪を悔いて良い知らせを信じなさい。」




ミニミニ解説

第9節、旧約聖書の預言どおりに救世主の先駆けとして現れ、荒野で「悔い改めよ」とのメッセージを述べ伝える洗礼者ヨハネのもとへイエスさまがやって来ます。イエスさまはイスラエル北部のガリラヤ地方のナザレという小さな町に育ちました。一方ヨハネが人々に洗礼を施していたのはイスラエル南部で死海の北岸からヨルダン川に沿って北へ上ったベタニアと呼ばれるあたりです。ナザレからベタニアまでは直線距離で80キロほど離れています。イエスさまはこの時点で30歳くらいです。イエスさまが神さまの国についての福音を伝える活動のスタートがヨハネによる洗礼です。

第10節、イエスさまがヨハネの洗礼を受けると天が割れて聖霊がイエスさまの上へ鳩のように降りて来ます。そして第11節、天から声が聞こえます。「あなたは私が心から愛する息子、あなたは私に大いなる喜びをもたらしてくれる」。

この声は父なる神さまの声でイエスさまを「息子」と呼んでいます。天に裂け目が生じてそこから降りてきた聖霊(Holy Spirit)もやはり神さまです。父なる神さま、息子のイエスさま、そして聖霊の三者が一つの神さまです。これを「三位一体(Trinity)」と言います。三者がどのように一つの神さまとなっているのか、バラバラなのに一つ、一つかと思えば三つの相はそれぞれが独立して動く、何しろ神さまのことなのでその仕組みは人間には想像できません。

聖書を読んで考えた私個人のイメージとしては、父なる神さまというのは無限の大きさを持ち時間を超越したとてつもなく大きな存在(これはイメージ不能です)で、恐らくその中に球形の巨大な「天国」という空間があり、さらにその中に球形の「宇宙」があります。球形の宇宙全体を球形の天国が内包しているような感じです。そして神さまの子のイエスさまは神さまの元から出て聖書全体に記述された神さまの仕事を実際に実行している方です。つまり最初に天地の創造を行い(球形の天国、球形の宇宙、その中の地球を造る作業)、いまから2000年ほど前には人間を救うため、間の姿をとってわざわざ地上に立った方です。イエスさまは神さまの息子なのでやはり神さまです。

三位一体の三つ目の相の聖霊は聖書の中で神さまの使者のように振る舞って様々な仕事をしています。そして聖書を読むとイエスさまが十字架にかかる前と後で聖霊の役割が変わっています。イエスさまが死から復活して天に戻った後は、聖霊はイエスさまを信じる人ひとりひとりを訪れ宿りそこに封印されるようになります。第10節の場面ではこの聖霊が天から降りてきてイエスさまに宿ります。聖霊が宿れると言うことはイエスさまがこの時点で神聖であることの証になります。これでイエスさまは神さまのあらゆる力や権能を手に入れたと言うことでしょう。神さまの使者のように振る舞う存在として、聖書には「天使」も登場しますが天使は神さまではありません。天使は人間と同じように天地創造の過程でイエスさまに創造された被造物です(人間よりもすごい能力を持っていますが)。

第12節、天から鳩のように降りてきた聖霊が無理やりイエスさまを荒野へ追いやります。聖書では「山」と「荒野」が霊力の強い場所なのです。イエスさまは荒野に40日滞在しますが、他の福音書を読むとイエスさまはその間何も食べませんでした。ちなみに聖書の中ではこの「40」という数字は苦難や試練の期間を象徴的に表します。モーゼが神さまとの対話のためにシナイ山へ登り、十戒を授かるのに要したのが40日、ユダヤの民族がエジプトを脱出した後、約束の地パレスチナへ入ることを拒んで神さまの怒りを買い、砂漠の中をさまよい歩いた期間が40年という具合です。

荒野の試練が40日を過ぎたときにサタンが現れてイエスさまを誘惑します。サタンは以前は高位の天使のひとりだったのですが、神さまに逆らったことで天国から追放され地上に落とされました。と言うことはいまの地上はサタンのために用意された牢獄で、サタンは牢獄のボスとして地上を支配しているのです。神さまが自分の姿を映して特別な愛情を注いで創造した人間も、地上でサタンの誘惑にまんまと引っかかって神さまの期待を裏切ってしまいました。イエスさまがサタンに受けた誘惑の様子は「Matthew 4(マタイの福音書第4章)」と「Luke 4(ルカの福音書第4章)」に詳しく書かれています。サタンはイエスさまの空腹と所有欲とプライドをくすぐって誘惑しますがイエスさまはサタンを退けます。

第14節にあるように洗礼者ヨハネはヘロデ王(ヘロデ大王の息子のヘロデ・アンティパス)によって捕らえられてしまいます。これはヨハネがヘロデ王が自分の兄弟の妻と結婚したことを律法違反だとして責めたからです。

第15節、イエスさまは北部のガリラヤ地方で福音活動を開始します。そのメッセージは「ついに約束の時が来た。神さまの国は近づいた。罪を悔いて行動を改め福音を信じなさい」です。これは言い換えれば「ついに旧約聖書の預言で約束された救世主が現れた。救世主は人間を罪のくびきから解放するために来た。神さまご自身が支配する神の国が実現する。だからいままでの自分たちの行いを反省して、どれほど創造主の神さまをガッカリさせてきたかを自覚し、救世主による罪の許しの良い知らせを信じなさい」ということです。






english1982 at 21:00│マルコの福音書