2015年10月31日

ルカの福音書第1章第57節~第66節:洗礼者ヨハネの誕生

第1章


 
(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


The Birth of John the Baptist

洗礼者ヨハネの誕生


57 When it was time for Elizabeth’s baby to be born, she gave birth to a son.

57 エリサベツが子供を産むときが来て、エリサベツは男の子を産みました。

58 And when her neighbors and relatives heard that the Lord had been very merciful to her, everyone rejoiced with her.

58 近所の人々や親戚は、主がエリサベツに大変慈悲深くあったと聞いて、エリザベツと共に喜びました。

59 When the baby was eight days old, they all came for the circumcision ceremony. They wanted to name him Zechariah, after his father.

59 子供が生まれて八日になると、人々はみな割礼の儀式のためにやって来ました。人々は子供に、父の名をとってザカリヤと名づけたいと思いました。

60 But Elizabeth said, “No! His name is John!”

60 ところがエリザベツは言いました。「違います。子供の名前はヨハネです」。

61 “What?” they exclaimed. “There is no one in all your family by that name.”

61 人々は声を大きくしました。「なんだって? あなたの家族にはその名前の人はひとりもいませんよ。」

62 So they used gestures to ask the baby’s father what he wanted to name him.

62 そこで人々は子供の父親に、子供に何という名をつけたいかを身振りでたずねました。

63 He motioned for a writing tablet, and to everyone’s surprise he wrote, “His name is John.”

63 ザカリヤは書字板を持ってくるように合図しました。みなが驚いたことに、ザカリヤは「子供の名前はヨハネです」と書いたのでした。

64 Instantly Zechariah could speak again, and he began praising God.

64 直ちにザカリヤは再び話せるようになり、神さまを讃え始めました。

65 Awe fell upon the whole neighborhood, and the news of what had happened spread throughout the Judean hills.

65 畏敬の念が周囲一体を包み、何が起こったかの知らせはユダヤの山地全体に伝わりました。

66 Everyone who heard about it reflected on these events and asked, “What will this child turn out to be?” For the hand of the Lord was surely upon him in a special way.

66 これを聞いた人々はみな、これらの出来事のことをよく考えてたずねました。「この子はいったい何になるのだろうか」。と言うのは主の御手が特別な形で彼の上に置かれていたからです。




ミニミニ解説

「ルカの福音書」の第1章です。

いよいよエリザベツに子供が生まれます。男の子の誕生に近所の人たちも親戚も大喜びです。

第59節にある「割礼の儀式(circumcision)」は、男子の誕生から八日目に行うことが旧約聖書に定められています。Genesis 17:10-14(創世記第17章第10~14節)です。「10 次のことが、わたしとあなたがたと、またあなたの後のあなたの子孫との間で、あなたがたが守るべきわたしの契約である。あなたがたの中のすべての男子は割礼を受けなさい。11 あなたがたは、あなたがたの包皮の肉を切り捨てなさい。それが、わたしとあなたがたの間の契約のしるしである。12 あなたがたの中の男子はみな、代々にわたり、生まれて八日目に、割礼を受けなければならない。家で生まれたしもべも、外国人から金で買い取られたあなたの子孫ではない者も。13 あなたの家で生まれたしもべも、あなたが金で買い取った者も、必ず割礼を受けなければならない。わたしの契約は、永遠の契約として、あなたがたの肉の上にしるされなければならない。14 包皮の肉を切り捨てられていない無割礼の男、そのような者は、その民から断ち切られなければならない。わたしの契約を破ったのである」([新改訳])。

「包皮の肉を切り捨てなさい」と書かれているとおり、これは男子の性器の包皮の一部を切除することを指しています。古代の文献から、この習慣はユダヤ人ばかりでなく、エジプト人やエチオピア人も行っていたことがわかっているようです。 割礼を施した理由としては、恐らくこれで性病の発生を予防していたのではないかと考えられています。包皮には感染症にかかりやすい細胞が多数存在しますが、これを切除してしまうと性器が乾きやすくなり、標的となる細胞の数そのものが減ります。そうやってウイルスが粘膜上で生存、繁殖する可能性を減らそうとしているのではないか、という考えです。

同第59節で、人々は儀式の場で子供に名前を付けたいと考えています。割礼の日に新しく生まれた男の子に名前を付けるのが当時のユダヤ人の風習だったようです。 また人々は子供の名前には、父親のザカリヤと同じ名前を付けるのがふさわしいと考えていたようです。現在ではユダヤ人の間では、生きている親族の中から名前を引き継ぐ習慣はもはや存在しないようですが、2000年前には行われていたのです。

いずれにしても生まれた子供に何と言う名前を付けるかは、家系や名前は血筋を重んじるユダヤ人には大変重要な意味を持つのです。それでエリザベツが第60節で「子供の名前はヨハネです」と言うのを聞いて、集まった人々は大きな驚きの声を上げています。なぜならヨハネという名前はザカリヤの家系には登場しないからです。

第62節、人々は神さまによって口がきけなくされているザカリヤに意見を求めます。第63節、神さまによって口がきけなくされているザカリヤは、名前を筆記で伝えるために身振りで書字板を持ってくるように合図しました。 人々が驚いたことにザカリヤも書字板に「子供の名前はヨハネです」と書きました。家系に登場しないヨハネという名前が、エリザベツからもザカリヤからも出てきました。そして突然、ザカリヤはこの瞬間から話せるようになります。

神さまは、寺院の聖域でガブリエルの言葉に疑問を抱いたザカリヤをたしなめるために、第20節でザカリヤの口をふさぎました。今回、ザカリヤが突然話せるようになったのは、ザカリヤが「子供の名前はヨハネです」と書字板に書いたことで、神さまがザカリヤとエリザベツの夫婦に意図したことがすべて実現したからではないでしょうか。 人々は畏敬の念を感じます。洗礼者ヨハネの誕生に神さまの意志が働いていることを強く感じているのです。そしてこのことはユダヤ地方一帯の噂となりました。






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