ヨハネの福音書:第20章第19節~第31節:イエスさまが弟子たちに現れる、イエスさまがトマスに現れる、この本の目的ヨハネの福音書:第20章第1節~第10節:復活

2015年09月11日

ヨハネの福音書:第20章第11節~第18節:イエスさまがマグダラのマリヤに現れる

第20章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Jesus Appears to Mary Magdalene

イエスさまがマグダラのマリヤに現れる


11 Mary was standing outside the tomb crying, and as she wept, she stooped and looked in.

11 マリヤは墓の外に泣きながら立っていました。マリヤは泣きながら身体をかがめて墓の中をのぞき込みました。

12 She saw two white-robed angels, one sitting at the head and the other at the foot of the place where the body of Jesus had been lying.

12 マリヤは白いローブを着た天使が二人、イエスさまの死体が置かれていた場所に、ひとりが頭のところに、ひとりが足のところに座っているのを見ました。

13 “Dear woman, why are you crying?” the angels asked her.  “Because they have taken away my Lord,” she replied, “and I don’t know where they have put him.”

13 天使たちがマリヤにたずねました。「女性よ、なぜ泣いているのですか。」 マリヤは答えました。「あの人たちが私の主を取り去ったからです。彼らが主をどこに置いたのか、私にはわからないのです。」

14 She turned to leave and saw someone standing there. It was Jesus, but she didn’t recognize him.

14 マリヤは帰ろうとして振り向きました。するとそこに誰かが立っていました。それはイエスさまでしたが、マリヤには誰だかわかりませんでした。

15 “Dear woman, why are you crying?” Jesus asked her. “Who are you looking for?” She thought he was the gardener. “Sir,” she said, “if you have taken him away, tell me where you have put him, and I will go and get him.”

15 イエスさまがマリヤにたずねました。「女性よ、なぜ泣いているのですか。だれを捜しているのですか。」 マリアはその人が庭師だと思い、言いました。「すみません。もしあなたがあの方を運んだのでしたら、どこに置いたのか教えてください。そうしたら私が行って引き取ります。」

16 “Mary!” Jesus said.  She turned to him and cried out, “Rabboni!” (which is Hebrew for “Teacher”).

16 「マリヤ!」イエスさまが言いました。マリヤはその人に向き直って叫びました。「ラボニ!」(これはヘブル語で「先生」です)。

17 “Don’t cling to me,” Jesus said, “for I haven’t yet ascended to the Father. But go find my brothers and tell them, ‘I am ascending to my Father and your Father, to my God and your God.’”

17 イエスさまは言いました。「私にすがりついていてはいけません。私はまだ父のもとに上っていないからです。ですが私の兄弟たちのところに行って告げてください。『私は、私の父であり、あなた方の父のところへ、私の神であり、あなた方の神のところへ上る』と。」

18 Mary Magdalene found the disciples and told them, “I have seen the Lord!” Then she gave them his message.

18 マグダラのマリヤは弟子たちを見つけて告げました。「私は主に会いました!」そして弟子たちにイエスさまのメッセージを伝えました。




ミニミニ解説

ヨハネの第20章です。

イエスさまは金曜日の正午頃、他の二人の罪人と共に十字架に掛けられ、午後三時頃に息を引き取りました。それからアリマタヤのヨセフとニコデモがイエスさまの死体の引き取りを申し出て、日没前にイエスさまの死体を刑場の近くにあった誰にも使われたことのない新しい墓に納めました。前回、安息日が開けた日曜日の朝、マグダラのマリヤが墓に来ると、墓の入り口を塞ぐ石がどけられていて墓の中に死体はありませんでした。それをペテロとイエスさまが愛した弟子の二人が確認しました。

ペテロとイエスさまが愛した弟子の二人は家へと帰ってしまい、墓にはマグダラのマリヤだけが残されたのでしょうか、第11節でマリヤは泣きながら墓の外に立ち、墓の中をのぞき込みます。すると墓の中には二人の天使が立っていて「女性よ、なぜ泣いているのですか。」と声をかけてきます。悲しみに包まれたマリヤは「あの人たちが私の主を取り去ったからです。彼らが主をどこに置いたのか、私にはわからないのです。」と言って墓を後にしようと振り返ります。

第14節、するとマリヤにはそこに誰かが立っているのが見えました。それはイエスさまなのですが、マリヤはそれがイエスさまであることに気づきません。他のケースでもそうなのですが、復活したイエスさまに会う弟子たちは、イエスさまから話しかけられるまでそれがイエスさまであると気づかないのです。マリヤはイエスさまが十字架の上で残酷な死を遂げた後、兵士のひとりが槍で脇腹を突き刺すところを見ています。さらにアリマタヤのヨセフとニコデモがイエスさまを墓に納めるところも見ています。そしてその死体が消失してしまったのです。そもそも生きたイエスさまがそこに立っていようとは思いもよらないでしょう。もしイエスさまが死ぬ前と同じ姿で立っていたとしても、何だかイエスさまに似た人だなと思うだけで、それがイエスさま本人だとは思わないでしょう。

私たちにも同じ事が起こると考えられます。つまりイエスさまを目の前にしていても、イエスさまの実在を信じなければ、それがイエスさまであることに気づかないかも知れません。たとえば思い悩んでいること、答えが欲しいと思うことがあって、それについてずっとお祈りをして答えを求めているとします。それに対する神さまからの答えが明確に自分の前に示されているのに、それが神さまからの答えであると気づくのがずっと後のことになる、そういうことがよくあります。それが神さまからの答えだと気づくまでに、お祈りに対する答えが必ず得られると知るまでに、それぞれの人に霊的な成長のステップが用意されているのです。神さまと歩んでいるとそういうことがたくさんあります。

第16節でイエスさまが「マリヤ!」と呼びかけるとマリヤの目は開かれて、それがイエスさま本人だとわかります。そしてその時点からマリヤはそれがイエスさま本人であることに何の疑いも持ちません。これについても神さまからのお祈りの答えへの気づきにあてはまります。一度自分に対して神さまの答えが提示されていることに気づくと、そこから先は私たちは疑いを持ちません。マリヤは第18節で、イエスさまの言いつけ通りに弟子の元へと駆けつけて「私は主に会いました!」と告げます。こうしてマリヤは復活したイエスさまに会った最初の人になりました。

第17節でイエスさまは「私にすがりついていてはいけません。私はまだ父のもとに上っていないからです。」と言いますが、これは私には意味がわかりませんでした。[NLT]では「Don’t cling to me」、[KJV]では「Touch me not」(私に触れてはいけません)となっています。この後イエスさまは弟子たちの前に現れて、たとえばトマスには自分の傷跡に触れさせたりしていますから、人が復活したイエスさまに触れてはいけないということではないでしょう。だとするとこのときだけはイエスさまに触れてはいけない理由があった、ということになるでしょうか。

「私はまだ父のもとに上っていないから」がヒントかも知れません。イエスさまは復活後約40日地上に滞在して天へ戻りますが、最終的に天へ戻る前に復活の直後に一度「父のもとに上って」来たのでしょうか。ユダヤの民族の間で旧約聖書に沿って地上で行われることは、天に用意されている本当の物事の「影」なのだと言われます。だとするとエルサレムの寺院で毎年一回行われてきた罪の購(あがな)いのために羊の血を捧げる儀式は、救世主イエスさまの十字架死の「影」なのかも知れません。つまりイエスさまは復活後に一度天に戻り、天にある本当の寺院で真の聖なる箱の上に、自分自身の血を振りかけたのかも知れません。イエスさまがマリヤに会ったのはその前の時点だったので、罪人であるマリヤに触れてしまうと天で自分の血を捧げられなくなったからなのかも知れません。






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