2015年09月30日

ヨハネの福音書第1章第35節~第51節:最初の弟子

第1章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


The First Disciples

最初の弟子


35 The following day John was again standing with two of his disciples.

35 その翌日、(洗礼者)ヨハネは、再び二人の弟子とともに立っていました。

36 As Jesus walked by, John looked at him and declared, “Look! There is the Lamb of God!”

36 イエスさまが歩いて通りかかると、ヨハネはそれを見て言いました。「見なさい。神さまの小羊です」。

37 When John’s two disciples heard this, they followed Jesus.

37 二人の弟子はこれを聞いて、イエスさまについて行きました。

38 Jesus looked around and saw them following. “What do you want?” he asked them. They replied, “Rabbi” (which means “Teacher”), “where are you staying?”

38 イエスさまは振り向いて、彼らがついて来るのを見て言いました。「何を求めているのですか。」彼らは言いました。「ラビ(『先生』の意味)、どちらにお泊まりですか。」

39 “Come and see,” he said. It was about four o’clock in the afternoon when they went with him to the place where he was staying, and they remained with him the rest of the day.

39 イエスさまは言いました。「一緒に来て見ればよい。」 それは午後四時頃のことで、彼らはイエスさまが泊まっているところまで行ったのでした。そして彼らはその日をイエスさまと共に過ごしました。

40 Andrew, Simon Peter’s brother, was one of these men who heard what John said and then followed Jesus.

40 シモン・ペテロの兄弟アンデレがこの二人のうちの一人で、(洗礼者)ヨハネから聞いてイエスさまにについて行きました。

41 Andrew went to find his brother, Simon, and told him, “We have found the Messiah” (which means “Christ”).

41 アンデレはシモンを探しに行って告げました。「私たちはメシヤ(『救世主』の意味)を見つけました。」

42 Then Andrew brought Simon to meet Jesus. Looking intently at Simon, Jesus said, “Your name is Simon, son of John -- but you will be called Cephas” (which means “Peter”).

42 アンデレはシモンをイエスさまに会わせるために連れて来ました。イエスさまはシモンを熱心に見て言いました。「あなたの名前はヨハネの子シモンですが、ケパ(『ペテロ』の意味)と呼ぶことにします。」

43 The next day Jesus decided to go to Galilee. He found Philip and said to him, “Come, follow me.”

43 翌日、イエスさまはガリラヤに行くことを決めました。ピリポを見つけると言いました。「私に着いて来なさい。」

44 Philip was from Bethsaida, Andrew and Peter’s hometown.

44 ピリポはベツサイダの出身で、アンデレとペテロと同じ町の出身でした。

45 Philip went to look for Nathanael and told him, “We have found the very person Moses and the prophets wrote about! His name is Jesus, the son of Joseph from Nazareth.”

45 ピリポはナタナエルを探しに行き、彼に告げました。「私たちは、モーゼや預言者が記述した、まさしくその人物を見つけました。名前はイエス、ナザレの人で、ヨセフの子です。」

46 “Nazareth!” exclaimed Nathanael. “Can anything good come from Nazareth?” “Come and see for yourself,” Philip replied.

46 「ナザレだって?」ナタナエルは声を上げました。「ナザレから何か良いものが出るだろうか?」ピリポは答えて言いました。「来て、自分の目で見なさい。」

47 As they approached, Jesus said, “Now here is a genuine son of Israel -- a man of complete integrity.”

47 二人が近づいてくると、イエスさまは言いました。「さぁ、真のイスラエルの息子が来ました。完全な誠実さを持った人です。」

48 “How do you know about me?” Nathanael asked. Jesus replied, “I could see you under the fig tree before Philip found you.”

48 ナタナエルはたずねました。「どうして私をご存じなのですか。」イエスさまは答えました。「ピリポがあなたを見つける前に、私にはあなたがいちじくの木の下にいるのが見えました。」

49 Then Nathanael exclaimed, “Rabbi, you are the Son of God -- the King of Israel!”

49 ナタナエルは声を上げました。「先生、あなたは神の子、イスラエルの王です。」

50 Jesus asked him, “Do you believe this just because I told you I had seen you under the fig tree? You will see greater things than this.”

50 イエスさまがたずねました。「あなたがいちじくの木の下にいるのを見た、と私が言ったから、あなたは信じるのですか? あなたはこれから、もっと大きなことを見ることになります。」

51 Then he said, “I tell you the truth, you will all see heaven open and the angels of God going up and down on the Son of Man, the one who is the stairway between heaven and earth.”

51 そしてイエスさまは言いました。「あなた方に真実を告げましょう。あなた方は、天が開き、神さまの天使たちが人の子の上を上り下りするのを見ることになります。人の子は、天と地をつなぐ階段なのです。」




ミニミニ解説

ヨハネの第1章です。

今回書かれているのは、イエスさまに最初についていった弟子たちの様子です。イエスさまは洗礼者ヨハネの洗礼を受け、ヨハネから「神さまの子羊」と呼ばれた直後、最初の弟子を持ちました。 ここに登場するアンデレ、ペテロ、ピリポ、ナタナエルは、後に弟子たちの中から、特に十二人の使徒として選ばれる人たちです。 ピリポ、アンデレ、ペテロは、ベツサイダ出身と書かれています。ヨハネが洗礼を授けていたのは死海の北岸の少し上のあたりでしたが、ベツサイダはそこから100kmほど北へヨルダン川を遡ったところにあるガリラヤ湖の北岸の港町です。

第40節を読むと、アンデレともう一人は洗礼者ヨハネの弟子だった、と書かれていますから、つまり彼らはわざわざ100km以上も離れた町から死海の辺りまで来て、洗礼者ヨハネと共にいたことになります。 イスラエルの都エルサレムは、緯度的には死海の北岸とほぼ同じ位置にありますから、100km北にある田舎町から南の都へ上ってきて、洗礼者ヨハネのメッセージを聞き、ヨハネの弟子になっていた、というところでしょうか。

この頃、やはりイエスさまの弟子として加わったのが、ヨハネの福音書を記述したとされるヨハネと、その兄弟のヤコブですが、その様子はここには書かれていません。ですのでアンデレと一緒にいたもう一人は、ヨハネではないかと思われます。 この二人は、洗礼者ヨハネが「神さまの子羊に着いて行きなさい」と指し示す形で、自分の師を洗礼者ヨハネからイエスさまに変えたのでした。 ところが、イエスさまが最初に二人にかけた言葉は、「What do you want?」です。端的に訳すと「何の用だ?」で、英会話では、どちらかと言うと「あっちへ行け」に近いニュアンスで使われますね。興味深いです。きちんと理由を言えないような人は、やたら着いてきても困ると言うのでしょうか。それに対して二人は明確には答えず、「どちらにお泊まりですか」と食い下がります。イエスさまになんとか着いていきたい、という一心なのでしょうか。

第40節、アンデレが兄弟のペテロを探しに行き、「メシアを見つけた!」と告げます。アンデレは短期間で、イエスさまが救世主だと確信し、それをペテロに告げたのですね。 ペテロはこの後、聖書の中で大変重要な役割を果たしますが、そのペテロをイエスさまに引き合わせたのは、兄弟のアンデレだった、ということです。

第42節、イエスさまはペテロと出会い、新しい名前を授けました(ペテロはイエスさまに呼ばれるまではシモンだったのです)。「ペテロ」はギリシア語、「ケパ」はアラム語で、「石」の意味です。イエスさまはアラム語を話していたようですね。 聖書に登場する人名や地名には、必ずこういう「意味」があり、物語の展開と少なからぬ関係を持ちます。また人名や地名をつけたり、つけ直したりする場面も多数存在します。ペテロはイエスさまが十字架死を遂げるまでは、決して「石」のような存在ではないのですが、イエスさまが復活して天に戻った後で、最初の教会の中で「石」のような確固たる存在となって行きます。神さまは「時間」という軸に縛られない、と言われますが、イエスさまはこの時点で、そのときのペテロをすでに見ているのでしょう。

ピリポは、知り合いのナタナエルを連れてきます。ナタナエルが最初に言った言葉、「ナザレだって? ナザレから何か良いものが出るとでも言うのか?」の理由は、まずナザレがエルサレムから北へ100kmも離れた田舎にあること、当時は恐らく人口数百人程度の小さな村であったこと、さらには統治国であるローマ帝国の部隊が駐屯していたことなどから、来ていると思われます。 それから当時は救世主はダビデ王の家系から出ると信じられていて、旧約聖書のMicah 5:2(ミカ書第5章第2節)に「ベツレヘム・エフラテよ。あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、あなたのうちから、わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る。その出ることは、昔から、永遠の昔からの定めである。」([新改訳])の預言があり、ベツレヘムはダビデの出身地なので、救世主はきっとベツレヘムから来ると思われていました。ベツレヘムはエルサレムと同じくイスラエルの南部にあります。これもナザレを頭から否定する理由になったのかも知れません。

それにしてもそれをわざわざ口に出して言うか、という問題は残ります。つまりナタナエルはズケズケとこういう発言をする人で、イエスさまも「完全な誠実さを持った人」と言っていますから、正しいと思うことを臆面なくズバリ言う人だったはずで、もしかすると周囲の人からは煙たがられるような、そんな人だったのかな、と思います。 その正直で率直なナタナエルに対して、イエスさまは「あなたがイチジクの木の下にいるのを見た」「真のイスラエルの息子」と、理解を示す言葉をかけました。ナタナエルは、ようやく自分を理解してくれる師に巡り会えた、そんな気持ちになったのかも知れません。

第51節、イエスさまがもっとすごいことを見る、として挙げたのが「あなた方は、天が開き、神さまの天使たちが人の子の上を上り下りするのを見る」です。実はこの一節は、旧約聖書の「Genesis(創世記)」の中で、アブラハムの孫ヤコブが見た夢として登場します。Genesis 28:10-12(創世記第28章第10節~第15節)です。

「10 ヤコブはベエル・シェバを立って、ハランへと旅立った。11 ある所に着いたとき、ちょうど日が沈んだので、そこで一夜を明かすことにした。彼はその所の石の一つを取り、それを枕にして、その場所で横になった。12 そのうちに、彼は夢を見た。見よ。一つのはしごが地に向けて立てられている。その頂は天に届き、見よ、神の使いたちが、そのはしごを上り下りしている。13 そして、見よ。主が彼のかたわらに立っておられた。そして仰せられた。「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫とに与える。14 あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫によって祝福される。15 見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」([新改訳])。

イエスさまは、本当に自分の頭の上に天使が物理的に現れる、と言っているのでなくて、自分はやがて神さまと人をつなぐ階段の役目を果たすことになる、と聖書の一節を引用しながら告げているのだと思われます。






english1982 at 20:00│ヨハネの福音書