ガラテヤ人への手紙:第2章ガラテヤ人への手紙:第1章

2015年05月31日

ガラテヤ人への手紙第1章第1節~第24節:パウロからのあいさつ、福音はただひとつ、パウロのメッセージはキリストから来る

ガラテヤ人への手紙 第1章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Greetings from Paul

パウロからのあいさつ


1 This letter is from Paul, an apostle. I was not appointed by any group of people or any human authority, but by Jesus Christ himself and by God the Father, who raised Jesus from the dead.

1 この手紙は使徒パウロからです。私は人のグループや人間の権限によって指名されたのではありません。イエス・キリスト自身と、イエスさまを死者から復活させた父なる神さまから指名されました。

2 All the brothers and sisters here join me in sending this letter to the churches of Galatia.

2 ここにいるすべての兄弟と姉妹が、ガラテヤの教会へ宛てたこの手紙に加わっています。

3 May God the Father and our Lord Jesus Christ give you grace and peace.

3 どうか父なる神さまと主イエス・キリストから恵みと平安があなた方にありますように。

4 Jesus gave his life for our sins, just as God our Father planned, in order to rescue us from this evil world in which we live.

4 イエスさまは、私たちの父なる神さまの計画されたとおりに、私たちを、私たちの住むこの邪悪な世から救い出すため、私たちの罪のために自身のいのちを与えました。

5 All glory to God forever and ever! Amen.

5 すべての栄光が永遠に神さまにありますように。アーメン。



There Is Only One Good News

福音はただひとつ


6 I am shocked that you are turning away so soon from God, who called you to himself through the loving mercy of Christ. You are following a different way that pretends to be the Good News

6 私は、救世主の恵みを通じてあなた方を神さまへと呼んでくださった神さまから、あなた方がそんなにも早く顔を背けることにあきれています。あなた方は福音のふりをした別の道に従っているのです。

7 but is not the Good News at all. You are being fooled by those who deliberately twist the truth concerning Christ.

7 それはまったく福音ではありません。あなた方はキリストについての真実を故意にねじ曲げようとする人たちにだまされているのです。

8 Let God’s curse fall on anyone, including us or even an angel from heaven, who preaches a different kind of Good News than the one we preached to you.

8 私たちであろうと天からの天使であろうと、私たちがあなた方に伝えた福音とは異なる福音を伝える者には誰にでも神さまの呪いがあるように。

9 I say again what we have said before: If anyone preaches any other Good News than the one you welcomed, let that person be cursed.

9 私たちが前に言ったことを繰り返します。もし誰かが、あなた方が歓迎した福音とは別の福音を伝えるなら、その者は呪われなさい。

10 Obviously, I’m not trying to win the approval of people, but of God. If pleasing people were my goal, I would not be Christ’s servant.

10 明らかなことですが、私は人間の承認を求めようとしているのではありません。神さまの承認です。人間を喜ばせることが私の目的ならば私はキリストのしもべではありません。



Paul’s Message Comes from Christ

パウロのメッセージはキリストから来る


11 Dear brothers and sisters, I want you to understand that the gospel message I preach is not based on mere human reasoning.

11 兄弟たち、そして姉妹たち、私があなた方に理解してもらいたいのは、私が伝えた福音のメッセージは単なる人間の論理に基づくものではありません。

12 I received my message from no human source, and no one taught me. Instead, I received it by direct revelation from Jesus Christ.

12 私のメッセージは人間の情報源から出たものではありませんし、誰も私に教えた人はいません。そうではなくて私はそれをイエス・キリストからの直接の啓示によって受けたのです。

13 You know what I was like when I followed the Jewish religion -- how I violently persecuted God’s church. I did my best to destroy it.

13 あなた方は私がユダヤ教に従っていたときの様子を知っています。私がどれほど激しく神さまの教会を迫害していたか。私はそれを滅ぼすために全力を尽くしていました。

14 I was far ahead of my fellow Jews in my zeal for the traditions of my ancestors.

14 父祖たちの伝統への情熱では私はユダヤの同士たちよりもはるかに進んでいたのです。

15 But even before I was born, God chose me and called me by his marvelous grace. Then it pleased him

15 ですが私が生まれるよりも前に神さまは私を選び、神さまの驚くべき恵みによって私を呼んだのです。そして神さまを喜ばせたのは、

16 to reveal his Son to me so that I would proclaim the Good News about Jesus to the Gentiles. When this happened, I did not rush out to consult with any human being.

16 私がイエスさまに関わる福音を異邦人に宣言できるように、神さまの息子を私に明かすことだったのです。これが起こったとき、私は急いで誰か人間と相談するようなことはしませんでした。

17 Nor did I go up to Jerusalem to consult with those who were apostles before I was. Instead, I went away into Arabia, and later I returned to the city of Damascus.

17 また私より前に使徒であった人たちと相談するためにエルサレムに上ることもしませんでした。代わりに私はアラビヤへ行き、後にダマスコの町へ戻りました。

18 Then three years later I went to Jerusalem to get to know Peter, and I stayed with him for fifteen days.

18 それから三年後に私はペテロと知り合いになるためにエルサレムへ行き、彼のところに十五日間滞在しました。

19 The only other apostle I met at that time was James, the Lord’s brother.

19 そのときに私が会った使徒は主の兄弟のヤコブただひとりです。

20 I declare before God that what I am writing to you is not a lie.

20 私は神さまの前で宣言しますが、私があなた方に書いていることは嘘ではありません。

21 After that visit I went north into the provinces of Syria and Cilicia.

21 その訪問の後で、私は北のシリヤとキリキヤの地方に行きました。

22 And still the churches in Christ that are in Judea didn’t know me personally.

22 そして相変わらずユダヤにあるキリスト教会は私のことを知りませんでした。

23 All they knew was that people were saying, “The one who used to persecute us is now preaching the very faith he tried to destroy!”

23 彼らが知っていたのは、人々が「以前私たちを迫害していた者が、その滅ぼそうとしていた信仰そのものをいま伝えている」と言っていたということだけです。

24 And they praised God because of me.

24 彼らは私のことで神さまを褒め称えていました。




ミニミニ解説

「Galatians(ガラテヤ人への手紙)」の第1章です。

第1節、最初の自己紹介で、パウロは自分が福音を伝える使徒となったのはイエスさまと神さまの指名によるのであって、人から指名されたのではないと書きます。これは間接的に自分は直接神さまから使命を受けて活動しているのであって、エルサレムやアンテオケの教会との利害関係がまったくないと言っているのです。

第6節、パウロはガラテヤの教会がそんなに早く神さまから背を向けたことに驚いていると書きます。そして「あなた方は福音のふりをした別の道に従っている」と言います。 この「別の道」は、エルサレムの教会から派遣されたユダヤ人が説く教えのことで、異邦人がクリスチャンになるためには、まず旧約聖書の律法が定める「割礼」を受けてユダヤ人となる必要があると教える「ユダヤ主義」のことです。福音に何かの条件がついてしまったらそれはもはや福音ではありません。神さまは人が救済計画としての福音をただ信じることを喜ばれるのであって、律法の遵守など人が善だと信じて行う行動の類いを喜ばれるのではありません。

第10節、パウロの活動は誰か人の承認を求めようとして、たとえばエルサレムの長老たちの目に喜ばしく映ることを目的にしてやっているのではなくて、自分はただ神さまの目に正しく映るためにやっていると言います。

第11節~第12節、パウロは自分の教えは人間から出たものではない、誰かから教わったものではない、具体的にはエルサレムの長老たち、使徒たちから受けたものではないと言います。パウロはイエスさまから直接啓示を受けて福音を伝えているのです。

第13節~第14節、パウロは読み手に自分がイエスさまに会う前はどんなだったか、その様子を思い起こさせます。パウロはユダヤの律法、文化、伝統を守るための情熱では同胞の誰にも負けていなかった、と言います。

第15節、ところがパウロはイエスさまと出会って知ったのです。パウロは啓示の中でイエスさまから直接教えていただいたのです。それは実は自分が生まれる前から神さまによって選び分けられていて、時が来たら神さまは自分にイエスさまに関する福音を伝え、それを人々に運ばせる器とする計画だったのです。パウロがかつて同胞の誰よりも熱くユダヤの伝統を守ることに従事させられたのも、すべて神さまの計画のうちにあったのです。そういう立場から転じてイエスさまの福音を伝える使徒となったからこそ、エルサレムの教会から来て「ユダヤ主義」を伝えるユダヤ人たちの間違いや危険が手に取るようにわかります。何を認めて良くて何を認めてはいけないか、パウロにはそれが明確にわかるのです。だからパウロはわずかな妥協も許すことなく徹底的に「ユダヤ主義」に反対することが出来るのです。

第16節~第17節、パウロはイエスさまの啓示を受けた後、イエスさまの直弟子である使徒を含む誰とも相談することなく、まずアラビヤへ行ったと書かれています。詳細は書かれていませんが、想像できるのはパウロは旧約聖書の預言者たちがそうしたように、アラビヤで山へ登るか荒野へ出るかして、そこでひとり神さまと会話をしたのだろうと思います。

第18節~第19節、パウロはアラビヤからダマスコへ戻ったあとでエルサレムを訪ね、ペテロの家に15日間滞在したと書いています。これは自分がイエスさまの啓示を受けて使徒となった以上、一度イエスさまの直弟子の筆頭であるペテロに会い、イエスさまの伝道活動の詳細を取材する必要を感じたからでしょうか。パウロはイエスさまが言ったことや実践したことをペテロから聞き出し、自分の受けた啓示に照らし合わせて確認したのだろうと思われます。第19節には、そのときにエルサレムで会った使徒は、ペテロの他にはイエスさまの弟のヤコブだけだったと書かれています。

第21節~第24節、パウロはその後、シリアのアンテオケを中心にシリアやキリキヤで伝道活動を行いますが、この活動についてはエルサレムの教会はほとんど知らず、ただそんな人がいると言って自分を褒め称えていただけだと書いています。






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