最初に読む基本情報

2016年01月29日

最初に読む基本情報

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「どうして聖書は難しいのか」のページに、それは聖書がすごく古くてすごく遠くで書かれていて、私たち日本人のためにではなくほとんどの部分がユダヤ人に向けて書かれた本だからと書きました。そうであればいきなり読み始めるよりも当時のユダヤ人なら誰でも知っていたであろう基本的な情報だけでも頭に入れておけば、理解の助けになると思うのです。

このセクションではイスラエルの地理や気候、代表的な都市の位置などの情報を掲載します。聖書の舞台となるパレスチナという土地がどんな場所なのか、このセクションを読んで地形や広さや気候を頭に思い描いてみてください。次の記事構成で説明します。

やはり聖書を読む前に知っておいた方が良いもう少し詳しめの情報、たとえば主な登場人物や時代背景などは「新約聖書を読む」「旧約聖書を読む」の中にそれぞれ載せてありますから、よろしければこのカテゴリに引き続きお読みください。




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イスラエルの地理と気候

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四つの水源

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聖書の中では湖や川が大きな役割を果たします。聖書に登場する主な水源は四つ、「地中海」「ガリラヤ湖」「ヨルダン川」「死海」です。この四つの水源の位置と特徴、さらに聖書の中での呼称を頭に入れておきましょう。
 

israel_water



地中海

これは説明するには及びませんね。イスラエルは地中海の東の奥にありますから、西側の海岸は地中海に面しています。

地中海は英語で「Mediterranean Sea」と言いますが、聖書の中では「Great Sea」とも呼ばれます。

聖書の中では海と言えば「地中海」なので、わざわざ「地中海」として言及するよりも、海岸線に沿って栄えたいくつかの港町が登場し、そこから出航するというような取り扱い方です。



ガリラヤ湖

ガリラヤ湖はイスラエル北部にある湖で、聖書書の中では次の四つの名前で呼ばれます。

Sea of Chinnereth :英語では「チナレス」と発音しますが日本語の聖書では「キネレテの海」「キネレテ湖」などと表記されます。ヘブライ語で「ハープの形」の意味だそうで、湖の形から来ています。英語の聖書では「Sea of Galile」に書き換えているものもあります。聖書中の掲載箇所は、Numbers 34:11(民数記第34章第11節)、Joshua 12:3(ヨシュア記第12章第3節)、Joshua 12:4(ヨシュア記第12章第3節)など。

Lake of Gennesaret :英語では「ゲネサレ」と発音し、日本語の聖書では「ゲネサレ湖」と表記されます。湖の北西にある肥沃な土地の名前に由来した呼称です。英語の聖書では「Sea of Galile」に書き換えているものもあります。聖書中の掲載箇所は、Luke 5:1(ルカの福音書第5章第1節)など。

Sea of Tiberias :英語では「タイベリアス」と発音しますが、日本語の聖書では「テベリヤの湖」と表記されます。これは湖の西岸にある町の名前です。英語の聖書では「Sea of Galile」に書き換えているものもあります。聖書中の掲載箇所は、John 6:1(ヨハネの福音書第6章第1節)、John 21:1(ヨハネの福音書第21章第1節)など。

Sea of Galilee :英語では「ギャリリー」と発音し、日本語の聖書では「ガリラヤ湖」と表記されます。聖書中の掲載箇所は、Matthew 4:18(マタイの福音書第4章第18節、Mark 1:16(マルコの福音書第1章第16節)など。


ガリラヤ湖はエルサレムの北、約100kmに位置し、北から流れ込むヨルダン川を水源とする淡水の湖です。ヨルダン川はイスラエルを南北に走る地面の亀裂の底を流れる川ですが、ガリラヤ湖はその亀裂が一番深くなった部分に水がたまっているような状態です。

湖面は地中海の水面より230mも低く、水深は25~50mです。湖の大きさは南北に約21km、一番幅の広いところで東西に13kmあります。

南岸を除いて湖の周辺は切り立つ崖です。東岸は崖の上がそのまま標高900mの肥沃なゴラン高原になっています。この地形により、冷たい風が急な崖を吹き下ろすと突発的に湖面に激しい嵐が起こります。ガリラヤ湖の場面では嵐が突然が起こる様子が描かれますが、それはこの理由によります。

イエスの時代には湖の周囲に人口15,000人以上の都市が9つあり、漁業が盛んでした。



ヨルダン川

パレスチナの地を北から南に流れる最も長くまた重要な位置を占める川です。

この川は大陸を南北に走る巨大な亀裂の一部からできていて、亀裂の南部はアフリカにまで達しています。

ヨルダン川は人の東西の往来を妨げて自然の境界線として機能してきましたが、浅瀬も多数存在します。これらの浅瀬部分を征服し支配することが歴史上では軍事の重大な戦略目標となってきました。

ヨルダン川は北のガリラヤ湖と南の死海を結びます。二つの湖の間の直線距離は113kmですが、川はジグザグと折れ曲がり全長は三倍近くの323kmあります。

川幅は27~30mで深さは1~3m。狭くて浅く濁った水の流れる泥川です。大型の船が航行できるような景観の美しい川ではありません。荷物の運搬には船底が平らな船を使い、ところどころ船を岸から引いて使いますが、ときには地形が作る急流を越える必要があります。



死海

イスラエル南部の大きな湖で、湖面が地球上で一番低いことでよく知られています。流れ込んだ水はどこにも流れ出さずひたすら蒸発するだけなので、水に溶け込んでいたミネラル分だけが湖水に残り、大変塩分の濃い湖となりました。生物の生存が不可能なことが湖の名前の由来になっています。

あまりに塩分が濃いので人が寝そべって水上に浮かぶ様子がよく紹介されますが、水が口に入ると大変なことになります。水の打ち寄せる沿岸には塩の固まりが見られます。

聖書の中では、三つの名前で呼ばれています。

Salt Sea :英語で「ソルト・シー」、聖書の中の日本語表記もそのまま「塩の海」です。英語の聖書では「Dead Sea」に書き換えているものもあります。掲載箇所は、Genesis 14:3(創世記第14章第3節)、Joshua 3:16(ヨシュア記第3章第16節)など。

Sea of Arabah :日本語の聖書では「アラバの海」と表記されます。英語の聖書では「Salt Sea」「Dead Sea」に書き換えているものもあります。掲載箇所は、Deuteronomy 3:17(申命記第3章第17節)。

East Sea :日本語の聖書表記は「東の海」。英語の聖書では「Dead Sea」に書き換えているものもあります。掲載箇所は、Ezekiel 47:18(エゼキエル書第47章第18節)、Joel 2:20(ヨエル書第2章第20節)。


2世紀以降のクリスチャンの間では一般的に「Dead Sea(死海)」と呼ばれるそうです。







english1982 at 21:00|Permalink

三つの地方

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イエスの時代のイスラエルは、大まかに北から「ガリラヤ」「サマリヤ」「ユダヤ」の三つの地方に分かれていました。


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ガリラヤ

ガリラヤは三つの地方のうち最も北方の地方で、全体の1/3を占めます。そもそもイスラエルの十二部族のうち「Naphtali(ナフタリ)」の治める山岳地帯で、ユダヤ人と異教徒が混合で住んでいました。

最初の征服の後も異国の「Canaanites(カナン人)」の勢力が優勢だったので異教徒の地として知られていました。その後もソロモン王がこの地方の20の都市を材木の支払いの代わりに他国に渡したり、アッシリア帝国の征服に会うなどして異教徒の植民が進みました。

異国民が長く住んだこともあり、ガリラヤ地方の出身者は方言がとても耳につくことで知られています。

これらの理由からエルサレム周辺に住み純血を尊ぶ保守的なユダヤ人層はガリラヤ地方を嫌っており、福音書の中でガリラヤ地方について皮肉が言われる理由はここにあります。

ガリラヤ地方の北部は海抜1000mにも及ぶ山岳高地で、イエスの時代には深い森林で人がほとんど住んでいませんでした。一方ガリラヤ地方の南部は海抜500~700mで、北部に比べると気候が穏やかで土地も肥沃で主要な産物はオリーブ油、穀物、魚でした。

ガリラヤ地方にはイエスが幼年時代を過ごした「Nathareth(ナザレ)」があります。また十二使徒のうち「Judas of Iscariot(イスカリオテのユダ=最後にイエスを裏切った使徒)」を除くと全員がガリラヤ地方の出身です。

また、この地方にある「Cana(カナ)」の町でイエスは水をぶどう酒に変える最初の奇跡を行い、やはりこの地方の町「Capernaum(カペナウム)」はイエスの伝道活動の中心になりました。

ガリラヤは英語では「Galilee」で「ギャリリー」と発音されます。


サマリア

三つの地方のうち北のガリラヤと南のユダヤに挟まれた中央の地方です。そもそも十二部族のうち「Ephraim(エフライム)」と「Manasseh(マナセ)」の西部に割り当てられた土地です。

大変肥沃で魅力的な土地で、穀類やオリーブ、ぶどうが実り、東西南北に街道が通り交易も盛んでした。このサマリア地方の肥沃な土地のおかげで王国が南北に割れた際に、サマリアを含む北朝イスラエルはいつも経済的に富んでいました。その一方で魅力的な土地は侵略の対象にもなり、また交易が盛んであったために異教徒が多数入り込みました。

サマリアは地方の名前であると同時に町の名前でもあります。サマリアの町は紀元前722年にアッシリア帝国の侵略に屈し、上流中流の市民が連れ去られて、代わりに異国民が植民されました。これらの異国民は国外追放を免れた下層のユダヤ人たちと結婚し混血種のサマリア人が増えました。

サマリア人たちは聖書に書かれた創造主としての神さまを信仰せず、異国の神々や偶像を崇拝しましたので預言者は繰り返し強い言葉でサマリア地方の偶像崇拝、不道徳、そして贅を好み貧しい者から搾取する邪悪を責めました。サマリア地方のユダヤ人が異国人と結婚して混血化したこともあり、保守的なユダヤ人層からは大変嫌われていました。

ガリラヤとユダヤの間に位置し交通の便も良かったので、サマリア地方は南北を行き来する旅人の通り道ではありましたが、宗教上の汚れを嫌うユダヤ人たちはサマリア人との接触を避けるためにわざわざヨルダン川を渡って川の東側を北上して旅をしたほどです。

サマリアは英語では「Samaria」で「サマリア」と発音されます。


ユダヤ

ユダヤは三つの地方のうちもっとも南にある地方です。

「Judea(ユダヤ)」は「Judah(ユダ)」のギリシア・ローマ調の呼び名です。「Jewish(「ジューイッシュ」と発音し「ユダヤ人の」の意味)」から転じた言葉で、そもそもバビロニア帝国に連れ去られたユダヤ人の中で後にパレスチナへ戻ってきた十二部族のうち、ユダ族の人たちを差します。

ユダヤには「Jerusalem(エルサレム)」の都があり、エルサレムには国内唯一の寺院があります。エルサレムはイスラエルの政治上、宗教上の中心地です。

ペルシア帝国の支配下にあったときにはユダヤ人の知事が配置されていましたが、やがてローマ帝国に併合されました。

「Judea(ユダヤ)」は英語では「ジュディーア」と発音されます。

 

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代表的な都市

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イエスの時代のパレスチナ地域の代表的な都市として、10の都市をあげておきます。

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Caesarea Philippi (ピリポ・カイザリア)

イエスの伝道活動の最北の町です。ガリラヤ湖のはるか北方、Mt Hermon(ヘルモン山)のふもとにあります。

ヘルモン山は、ヨルダン川の水源となる山で、おそらくここがイエスの姿の変貌が起こった場所です(Matthew 17/マタイの福音書第17章)。またこの地でペテロはイエスを救世主と呼びイエスが教会を築くことを約束します(Matthew 16/マタイの福音書第16章)。

英語では「シサリア・フィラパイ」のように発音されるので、耳で聞いて日本語の聖書表記の「ピリポ・カイザリア」と結びつけるのがとても難しい都市名です。


Bethsaida (ベツサイダ)

ガリラヤ地方の町です。ヨルダン川がガリラヤ湖に北方から注ぎ込む地点にあります。

イエスはガリラヤ地方で多数の奇跡を行いましたが、ベツサイダの住民は相変わらず信仰を持たなかったことから、この町は、Capenaum(カペルナウム)、Chorazin(コラジン)と並び、激しく叱責されました(Matthew 11/マタイの福音書第11章)。

この町でイエスは目の見えない人を町の外へ連れだして癒し(Mark 8/マルコの福音書第8章・Luke 10/ルカの福音書第10章)、この町の近くで5,000人の人の空腹を満たしました(Luke 19/ルカの福音書第19章)。

ペテロとアンデレの兄弟はこの町の出身と言われています。

英語では「ベスセイダ」のように発音されます。


Capernaum (カペナウム)

ガリラヤ地方の町でガリラヤ湖の北岸にあります。

この町はイエスの伝道活動の中心地でした。この町でイエスはマタイを弟子に呼び、この町で「いのちのパン」の話をし(John 6/ヨハネの福音書第6章)、他にも多数の奇跡を行いました。

英語では「カパーニアム」のように発音されます。


Cana (カナ)

ガリラヤ地方の町でナザレの北方約6kmほどの場所にあります。

イエスが最初に奇跡を行った町で、イエスはここで水をぶどう酒に変えました(John 2/ヨハネの福音書第2章)。またイエスは王室の役人の死にかけていた息子を癒しました(John 4/ヨハネの福音書第4章)。

十二使徒のひとりナタナエルはこの町の出身です。

英語では「ケイナ」のように発音されます。


Nazareth (ナザレ)

ガリラヤ地方南部の町で、イエスが幼年時代から育った町です。

イエスの母親マリアが天使から救世主イエスを授かることを告げられたのもこの町で、マリアとヨゼフはこの町からベツレヘムへと出発し、二人はその後イエスを連れてエジプトへ逃れ、それから再度この町へ戻ってきました。

イエスが最初に伝道の説教をして最初に拒絶されたのもこの町です(Matthew 4/マタイの福音書第4章・Luke 4/ルカの福音書第4章)。

英語では「ナザレス」のように発音されます。


Caesarea (カイザリア)

地中海に面した大きな町でヘロデ大王によって建築されローマの初代皇帝アウグストゥスにちなんで命名されました(Caesar=カエサル=シーザー=ローマ皇帝)。

大変大きな港町でローマ帝国の中ではパレスチナの首都でした。

英語では「シサリア」のように発音されるので日本語の聖書表記の「カイザリア」と結びつけるのが難しい都市名です。


Samaria (サマリア)

サマリア地方にあり、過去にイスラエル王国が南北朝に分裂したとき北朝イスラエルの首都だった町です。

イエスの時代にはユダヤ人から忌み嫌われるサマリア人の町です。ユダヤ人の保守層はサマリア人が異邦人との混血であること、異邦人の宗教と関係を持つことで大きな偏見を持ち、この町に住む人々と可能な限り接触を避けようとわざわざ何キロも遠回りをして旅をしていたほどです。

英語でも「サマリア」のように発音します。サマリア人は英語では「Samaritan」と途中に「t」が挿入されて、「サマリタン」と発音します。


Jerusalem (エルサレム)

ユダヤの寺院がありユダヤ人にとっては政治上、宗教上の中心地です。最も神聖な町として聖地エルサレムはユダヤ主義の心のふるさとでもあります。

赤子のイエスはこの町の寺院でユダヤ律法と慣習に沿って神の前に捧げられ、後にイエスはこの町で過越の祭に参加し、二度に渡って寺院の中から商人や両替商を追い出し、さらにたくさんの奇跡と説教を行いました。

またイエスはこの町で逮捕され、裁判にかけられ、十字架で死に、墓所に葬られ、三日後に復活しました。

英語では「ジェルースラム」のように発音され、慣れるまでは頭の中で「エルサレム」と結びつけるのに苦労します。


Bethany (ベタニア)

エルサレムからすぐ東にある町で、マリア、マルタ、ラザロの家族が住んでいた町です。イエスがユダヤ地方で行った伝道活動の中心地です。

英語では「べサニ」のように発音されます。


Bethlehem (ベツレヘム)

エルサレムから南に10kmほどのところにある小さな町でイエスが生まれた町です。

英語では「べスレヘム」のように発音されます。




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