使徒の働き第28章第17節~第31節:パウロが警護の下にローマで伝道する使徒の働き:第28章

2015年08月04日

使徒の働き第28章第1節~第16節:マルタ島のパウロ、パウロがローマに到達する

第28章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Paul on the Island of Malta

マルタ島のパウロ


1 Once we were safe on shore, we learned that we were on the island of Malta.

1 海岸で安全な状態になると私たちはマルタ島にいると知りました。

2 The people of the island were very kind to us. It was cold and rainy, so they built a fire on the shore to welcome us.

2 島の人々は私たちにとても親切でした。寒くて雨が降っていたので、人々は海岸で火をたいて私たちを歓迎してくれました。

3 As Paul gathered an armful of sticks and was laying them on the fire, a poisonous snake, driven out by the heat, bit him on the hand.

3 パウロがひとかかえの木の枝を集めて火にくべていると、熱に追われた毒蛇がパウロの手をかみました。

4 The people of the island saw it hanging from his hand and said to each other, “A murderer, no doubt! Though he escaped the sea, justice will not permit him to live.”

4 島の人々は毒蛇がパウロの手からぶら下がっているのを見て互いに言いました。「人殺しに間違いない。海からは逃れたが正義の女神がこの人を生かしておかないのだ。」

5 But Paul shook off the snake into the fire and was unharmed.

5 しかしパウロは蛇を火の中に振り落とし、無事なのでした。

6 The people waited for him to swell up or suddenly drop dead. But when they had waited a long time and saw that he wasn’t harmed, they changed their minds and decided he was a god.

6 島の人々はパウロがはれ上がるか、突然倒れて死ぬだろと待っていました。しかし長時間待ってもパウロに害がないのを見ると、人々は考えを変えてパウロは神だと決めました。

7 Near the shore where we landed was an estate belonging to Publius, the chief official of the island. He welcomed us and treated us kindly for three days.

7 私たちが上陸した海岸の近くに島の役人でポプリオという人の地所がありました。彼は私たちを歓迎し、三日の間親切に待遇してくれました。

8 As it happened, Publius’s father was ill with fever and dysentery. Paul went in and prayed for him, and laying his hands on him, he healed him.

8 たまたまポプリオの父が熱赤痢にかかっていました。パウロは入っていってこの人のためにお祈りをし、両手を彼の上に置いて癒やしました。

9 Then all the other sick people on the island came and were healed.

9 それから島の他の病人たちが全員来て癒やされました。

10 As a result we were showered with honors, and when the time came to sail, people supplied us with everything we would need for the trip.

10 結果として私たちには尊敬の言葉が浴びせられ、出帆するときが来ると、人々は私たちに旅に必要なものすべてを用意してくれました。



Paul Arrives at Rome

パウロがローマに到達する


11 It was three months after the shipwreck that we set sail on another ship that had wintered at the island -- an Alexandrian ship with the twin gods as its figurehead.

11 難破から三か月後、私たちはこの島で冬を過ごしていた別の船で出帆しました。双子の神の船首像があるアレキサンドリヤの船でした。

12 Our first stop was Syracuse, where we stayed three days.

12 最初の停泊地はシラクサで、私たちは三日間滞在しました。

13 From there we sailed across to Rhegium. A day later a south wind began blowing, so the following day we sailed up the coast to Puteoli.

13 そこからレギオンへ航海しました。一日後、南風が吹き始めたので私たちは翌日に沿岸を北上してポテオリに至りました。

14 There we found some believers, who invited us to spend a week with them. And so we came to Rome.

14 ここで私たちは何人かの信者に会い、彼らは私たちを招いて、彼らと一週間を過ごしました。そして私たちはローマに来ました。

15 The brothers and sisters in Rome had heard we were coming, and they came to meet us at the Forum on the Appian Way. Others joined us at The Three Taverns. When Paul saw them, he was encouraged and thanked God.

15 ローマの兄弟、姉妹たちは私たちが来ると聞いていて、アッピア街道のポロまで私たちを迎えに来てくれました。他の人たちはトレス・タベルネで私たちに合流しました。パウロは彼らに会って勇気づけられ、神さまに感謝しました。

16 When we arrived in Rome, Paul was permitted to have his own private lodging, though he was guarded by a soldier.

16 私たちがローマに到着すると、パウロは兵士に見張られていましたが、自分個人の宿に住むことを許されました。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第28章、最終章です。

第三回目の伝道旅行を終えてエルサレムに戻ったパウロは、パウロを付け狙うアジヤ州から来たユダヤ人に目撃され、そこからエルサレム中を巻き込む暴動が発生しました。パウロはローマ帝国軍の指揮官クラウデオ・ルシヤに命を救われ、その後、総督ペリクスのいるカイザリヤへ移送されます。

移送から五日後、エルサレムから大祭司のアナニヤが自らやってきて、弁護士のテルトロにパウロを告発させますが、彼らはそれを証明することが出来ません。ペリクスは判決を下すことなく審問を休会し、パウロはカイザリヤで二年間監禁されたままとなり、裁判は後任の総督ポルキオ・フェストに委ねられました。

着任したフェストはカイザリヤで法廷を開きますが、エルサレムから来た指導者たちは前回と同様、パウロの告発内容を証明することが出来ません。フェストがパウロにエルサレムで裁判を受けたいかとたずねると、パウロはローマ皇帝に上訴する、と言います。フェストはパウロの上訴を認め、パウロをローマへ送ることを決定します。

パウロたちはローマへ向けて出帆しますが、クレテ島の南岸を航海中に暴風に襲われ、船は南方へと流されて嵐の中を漂流します。嵐は14日間も続き、前回ようやく陸地にたどり着くことが出来ました。

下の地図ではパウロのローマへの護送の旅は、青い線で表されています(地図は『New Illustrated Bible Dictionary』より)。

paul-journey-2


第1節、パウロたちが漂着したのはシチリア島の南、80キロほどのところにあるマルタ島でした。

第2節、島の人たちはパウロたちを親切にもてなします。海岸にたき火を起こしてくれました。

第3節、パウロが木の枝を集めてたき火にくべていると、束の中から毒蛇(まむし)が這い出てきてパウロの手をかみます。この部分、[NLT]には「bit him on the hand(手をかんだ)」と書いてありますが、[KJV]は「fastened on his hand(手に取りついた)」と書いているので、はたしてパウロは毒蛇に手をかまれたのに命に別状がなかったのか、毒蛇が手に絡みついたのに手をかまれなかったのかはわかりません。

第4節、人々はこの出来事には因縁があると考え、パウロは海難は逃れても結局死ぬ運命だったのだと話します。

第5節~第6節、パウロは蛇をたき火の中に振り落とし、人々はパウロが絶命するのを待ちますが、パウロがいつまで経っても何ともないので今度はパウロを神格化します。

第7節~第9節、パウロたちは島の役人ポプリオの歓待を受け、パウロは彼の父の病気を癒やします。それをきっかけに島中の病人がパウロのところに連れてこられ、パウロはこれらの人たちをことごとく癒やしてしまいます。

第11節~第13節、三ヶ月が経って冬が終わるとパウロたちはアレクサンドリアの船で出航し、シチリア島のシラクサに三日間寄港し、イタリア半島南端のレギオンで二日を過ごし、沿岸沿いを北上して現在のナポリの近くのプテオリに到着します。

第14節、パウロはここで信者に会い、共に一週間を過ごします。

第15節、ここからは陸路を進みます。ローマまでは約180キロあります。ローマの信者たちがパウロを迎えに来ています。一組はポロまで、もう一組はトレス・タベルネまで来てくれました。パウロは迎えに来た信者たちに会って勇気づけられます。

第16節、ローマに到着するとパウロには個人宅が与えられました。パウロを監視している兵士は「a soldier」となっていますから、ひとりです。



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使徒の働き第28章第17節~第31節:パウロが警護の下にローマで伝道する使徒の働き:第28章