2015年08月05日

使徒の働き第27章第1節~第26節:パウロがローマへ向けて航海する、海上の嵐

第27章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Paul Sails for Rome

パウロがローマへ向けて航海する


1 When the time came, we set sail for Italy. Paul and several other prisoners were placed in the custody of a Roman officer named Julius, a captain of the Imperial Regiment.

1 その時が来て私たちはイタリヤへ向けて出帆しました。パウロと数人の他の囚人はユリアスという名前のローマ軍親衛隊の士官の管理下に置かれました。

2 Aristarchus, a Macedonian from Thessalonica, was also with us. We left on a ship whose home port was Adramyttium on the northwest coast of the province of Asia; it was scheduled to make several stops at ports along the coast of the province.

2 テサロニケのマケドニヤ人のアリスタルコも私たちと一緒にいました。私たちはアジヤ州の北西の海岸にあるアドラミテオを母港とする船に乗って出発し、アジヤ州の沿岸に沿っていくつかの港に寄港する予定となっていました。

3 The next day when we docked at Sidon, Julius was very kind to Paul and let him go ashore to visit with friends so they could provide for his needs.

3 翌日、私たちがシドンに入港したとき、ユリアスはパウロにとても親切で、パウロが上陸して友人を訪ね、友人たちが必要なものを提供するのを許可しました。

4 Putting out to sea from there, we encountered strong headwinds that made it difficult to keep the ship on course, so we sailed north of Cyprus between the island and the mainland.

4 そこから出帆すると私たちは強烈な向かい風に遭い、航路に沿うことが困難になりました。そこでキプロスの北方、島と本土の間を航行しました。

5 Keeping to the open sea, we passed along the coast of Cilicia and Pamphylia, landing at Myra, in the province of Lycia.

5 私たちは外海を航行し、キリキヤとパンフリヤの沿岸に沿って進み、ルキヤ州のミラに到着しました。

6 There the commanding officer found an Egyptian ship from Alexandria that was bound for Italy, and he put us on board.

6 そこで指揮官はイタリヤ行きのアレキサンドリヤのエジプト船を見つけ、私たちを乗り込ませました。

7 We had several days of slow sailing, and after great difficulty we finally neared Cnidus. But the wind was against us, so we sailed across to Crete and along the sheltered coast of the island, past the cape of Salmone.

7 数日の間、船はのろのろと進み、やっとのことで私たちはクニドに近づきました。ところが風が反対だったので、私たちはクレテへ航行し、島の陰に沿ってサルモネ岬を過ぎました。

8 We struggled along the coast with great difficulty and finally arrived at Fair Havens, near the town of Lasea.

8 私たちは苦労して沿岸を進み、ようやくラサヤの町の近くのフェアヘブンに到着しました。

9 We had lost a lot of time. The weather was becoming dangerous for sea travel because it was so late in the fall, and Paul spoke to the ship’s officers about it.

9 私たちは多くの日数を失っていました。秋もかなり深まり、気象も航海には危険になって来ていたので、パウロは船の士官たちにそのことを話しました。

10 “Men,” he said, “I believe there is trouble ahead if we go on -- shipwreck, loss of cargo, and danger to our lives as well.”

10 パウロは言いました。「みなさん、このまま進むと厄介なことになると思います。難破して積み荷を失い、私たちの生命にも危害があります。」

11 But the officer in charge of the prisoners listened more to the ship’s captain and the owner than to Paul.

11 しかし囚人を管理する士官は、パウロよりも船長や船主の話に耳を傾けました。

12 And since Fair Havens was an exposed harbor -- a poor place to spend the winter -- most of the crew wanted to go on to Phoenix, farther up the coast of Crete, and spend the winter there. Phoenix was a good harbor with only a southwest and northwest exposure.

12 またフェアヘブンはむき出しの港で、冬を過ごすのにはよろしくない場所だったので、乗組員の大半がクレテの岸を北方のピニクスまで行って、そこで冬を過ごしたいと思いました。ピニクスは南西と北西だけが海に開いていました。



The Storm at Sea

海上の嵐


13 When a light wind began blowing from the south, the sailors thought they could make it. So they pulled up anchor and sailed close to the shore of Crete.

13 南から緩やかな風が吹き始めて、水夫たちは行けると思いました。そこで水夫たちは錨を上げてクレテの海岸近くを航行しました。

14 But the weather changed abruptly, and a wind of typhoon strength (called a “northeaster”) burst across the island and blew us out to sea.

14 ところが天候は不意に変わり、「北東の強風」と呼ばれる台風級の強さの風が島を押し通ってきて私たちを海へと吹き飛ばしました。

15 The sailors couldn’t turn the ship into the wind, so they gave up and let it run before the gale.

15 水夫たちは船をその風の中に入れることができず、あきらめて船を風の前方を走るにまかせました。

16 We sailed along the sheltered side of a small island named Cauda, where with great difficulty we hoisted aboard the lifeboat being towed behind us.

16 私たちはクラウダという名前の小さな島の陰に沿って航海し、そこでようやく後方に曳いてきた救命艇を船に釣り上げることが出来ました。

17 Then the sailors bound ropes around the hull of the ship to strengthen it. They were afraid of being driven across to the sandbars of Syrtis off the African coast, so they lowered the sea anchor to slow the ship and were driven before the wind.

17 それから水夫たちは船体のまわりに強化のためのロープを巻きました。水夫たちはアフリカの沿岸のスルテスの砂州へと押し流されることを恐れ、減速のために錨を低くして、風の前を流されて行きました。

18 The next day, as gale-force winds continued to batter the ship, the crew began throwing the cargo overboard.

18 翌日も強風は船を叩き続け、水夫たちは積荷を船外に捨て始めました。

19 The following day they even took some of the ship’s gear and threw it overboard.

19 その次の日には、水夫たちは船具のいくつかまでも船外に捨てました。

20 The terrible storm raged for many days, blotting out the sun and the stars, until at last all hope was gone.

20 激しい嵐は何日も荒れ狂い、太陽も星も見えず、ついにあらゆる希望が失われました。

21 No one had eaten for a long time. Finally, Paul called the crew together and said, “Men, you should have listened to me in the first place and not left Crete. You would have avoided all this damage and loss.

21 だれも長いこと食べていませんでした。最後にパウロが水夫たちを呼び集めて言いました。「みなさん、あなた方は最初に私の話を聞き、クレテを離れるべきではなかったのです。この危害や損失も避けられたことでしょう。

22 But take courage! None of you will lose your lives, even though the ship will go down.

22 ですが勇気を出しなさい。たとえ船が沈んでも、あなた方は誰もいのちを失いません。

23 For last night an angel of the God to whom I belong and whom I serve stood beside me,

23 昨夜、私の仕える神さまの天使が私の横に立ちました。

24 and he said, ‘Don’t be afraid, Paul, for you will surely stand trial before Caesar! What’s more, God in his goodness has granted safety to everyone sailing with you.’


24 天使は言いました。『恐れてはいけません。パウロ、あなたは必ず皇帝の前で裁判に立ちます。さらに神さまは親切にも、あなたと航海している人全員に安全をお与えになりました。』

25 So take courage! For I believe God. It will be just as he said.

25 だから勇気を出しなさい。私は神さまを信じていますから、神さまが告げたとおりになります。

26 But we will be shipwrecked on an island.”

26 私たちはどこかの島で難破するでしょう。」




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第27章です。

第3回目の伝道旅行を終えてエルサレムに戻ったパウロは、パウロを付け狙うアジヤ州から来たユダヤ人に目撃され、そこからエルサレム中を巻き込む暴動が発生しました。パウロはローマ帝国軍の指揮官クラウデオ・ルシヤに命を救われ、その後、総督ペリクスのいるカイザリヤへ移送されます。

移送から五日後、エルサレムから大祭司のアナニヤが自らやってきて、弁護士のテルトロにパウロを告発させますが、彼らはそれを証明することが出来ません。ペリクスは判決を下すことなく審問を休会し、パウロはカイザリヤで二年間監禁されたままとなり、裁判は後任の総督ポルキオ・フェストに委ねられました。

着任したフェストはカイザリヤで法廷を開きますが、エルサレムから来た指導者たちは前回と同様、パウロの告発内容を証明することが出来ません。フェストがパウロにエルサレムで裁判を受けたいかとたずねると、パウロはローマ皇帝に上訴する、と言います。フェストはパウロの上訴を認め、パウロをローマへ送ることを決定します。

今回、パウロたちはローマへ向けて出帆しました。

文章の主語はみな「we(私たち)」になっていますから、航海には「Acts(使徒の働き)」を記述したルカが同行していることがわかります。他に同行者として第2節には「テサロニケのマケドニヤ人のアリスタルコ」が登場しています。アリスタルコは第19章でパウロがエペソにいたときに同行していたことが書かれていました。銀細工のアルテミス神殿の件で町が大騒ぎになったときです。

パウロを乗せた船はカイサリアを出港した後、シドンに寄港し、その後キプロス島の北を進んでミラに着きます。ミラはトルコ共和国のアンタルヤの南です。ここでエジプトのアレクサンドリアからイタリヤへ向かう船に乗り換えると、船は西に向かってのろのろと進み、クニドに近づきます。クニドはロードス島の北のあたりで、つまりエーゲ海への入り口です。

船はここで風向きに苦しんで北上することができずに南へ向かい、クレテ島の中央部南岸のフェアヘブンに着きます。パウロは時期的に航海が危険になっていると警告しますが、船はクレテ島西方のピニクスを目指して出港します。

ところが天候は急変し、船は暴風に襲われて、はるか南方の沖へと流されて行きます。太陽も星も見えない嵐が何日も続き、水夫たちは船の重量を軽くするため、積み荷や船具まで投げ捨てます。水夫たちがあらゆる希望を失いかけたとき、パウロは自分たちは必ず助かると天使が告げたと水夫たちを励まします。


english1982 at 22:00│使徒の働き