2015年08月07日

使徒の働き:第25章第13節~第27節パウロがフェストの前に立つ(続き)、パウロがアグリッパに話す

第25章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


13 A few days later King Agrippa arrived with his sister, Bernice, to pay their respects to Festus.

13 数日後、アグリッパ王が妹のベルニケを伴い、フェストに敬意を表するために到着しました。

14 During their stay of several days, Festus discussed Paul’s case with the king. “There is a prisoner here,” he told him, “whose case was left for me by Felix.

14 二人が数日間滞在していた間に、フェストはパウロの件を王と相談しました。フェストはアグリッパに言いました。「ペリクスが私に残していった訴訟の囚人がひとりいます。

15 When I was in Jerusalem, the leading priests and Jewish elders pressed charges against him and asked me to condemn him.

15 私がエルサレムに行ったときに祭司長たちやユダヤ人の長老たちがその男を告発し、その男を有罪とするように私に要求しました。

16 I pointed out to them that Roman law does not convict people without a trial. They must be given an opportunity to confront their accusers and defend themselves.

16 私は彼らにローマ法は裁判抜きで人を有罪には定められないと指摘しました。人には告発人と向き合い自身を弁護する機会が与えられなければなりません。

17 “When his accusers came here for the trial, I didn’t delay. I called the case the very next day and ordered Paul brought in.

17 その男の告発人たちが裁判のためにここに来たとき、私はぐずぐずしませんでした。翌日には裁判を開き、パウロを呼び入れました。

18 But the accusations made against him weren’t any of the crimes I expected.

18 ところが彼に対する告発は私が予期していたような犯罪ではなかったのです。

19 Instead, it was something about their religion and a dead man named Jesus, who Paul insists is alive.

19 と言うより、それは彼らの宗教とイエスという名前の死んだ男、パウロは彼が生きていると主張しているのですが、についての何かなのです。

20 I was at a loss to know how to investigate these things, so I asked him whether he would be willing to stand trial on these charges in Jerusalem.

20 これらの事柄をどのように調査すれば良いのか私には見当がつきませんでした。それで私はパウロにこれらの告発についてエルサレムで裁判を受けたいかたずねました。

21 But Paul appealed to have his case decided by the emperor. So I ordered that he be held in custody until I could arrange to send him to Caesar.”

21 しかしパウロは彼の訴訟は皇帝に判決を受けたいと願い出ました。それでパウロを皇帝に送る準備が整えられるまでの間、パウロを監禁しておくように命じました。

22 “I’d like to hear the man myself,” Agrippa said. And Festus replied, “You will -- tomorrow!”

22 アグリッパは言いました。「私も、その男の話を聞きたいです。」 フェストは答えました。「よいでしょう。明日に。」



Paul Speaks to Agrippa

パウロがアグリッパに話す


23 So the next day Agrippa and Bernice arrived at the auditorium with great pomp, accompanied by military officers and prominent men of the city. Festus ordered that Paul be brought in.

23 それで翌日、アグリッパとベルニケは華やかに着飾り、軍の士官たちや市の有力者たちを伴って講堂に到着しました。フェストはパウロを中に入れるように命じました。

24 Then Festus said, “King Agrippa and all who are here, this is the man whose death is demanded by all the Jews, both here and in Jerusalem.

24 フェストが言いました。「アグリッパ王、ならびにここに同席の方々、これがここでもエルサレムでも、すべてのユダヤ人がその死を望む男です。

25 But in my opinion he has done nothing deserving death. However, since he appealed his case to the emperor, I have decided to send him to Rome.

25 しかし私の見解では彼は死罪にあたることは何もしていません。それでも彼が皇帝に上訴しましたので、私は彼をローマへ送ることに決めました。

26 “But what shall I write the emperor? For there is no clear charge against him. So I have brought him before all of you, and especially you, King Agrippa, so that after we examine him, I might have something to write.

26 それにしても私は皇帝に何を書き送れば良いでしょうか。彼に対する明確な訴えはないのです。そこで私は彼をみなさんの前に、とりわけアグリッパ王、あなたの前に連れてきました。私たちで彼を取り調べた後、私には書くべきことが見つかるかも知れません。

27 For it makes no sense to send a prisoner to the emperor without specifying the charges against him!”

27 と言うのは囚人を皇帝に送るのに、その人への告発の内容を示さないのでは意味がないからです。」




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第25章です。

第3回目の伝道旅行を終えてエルサレムに戻ったパウロは、パウロを付け狙うアジヤ州から来たユダヤ人に目撃され、そこからエルサレム中を巻き込む暴動が発生しました。パウロはローマ帝国軍の指揮官クラウデオ・ルシヤに命を救われ、その後、総督ペリクスのいるカイザリヤへ移送されます。移送から五日後、エルサレムから大祭司のアナニヤが自らやってきて、弁護士のテルトロにパウロを告発させますが、彼らはそれを証明することが出来ません。ペリクスは判決を下すことなく審問を休会し、パウロはカイザリヤで二年間監禁されたままとなり、裁判は後任の総督ポルキオ・フェストに委ねられました。

着任したフェストはカイザリヤで法廷を開きますが、エルサレムから来た指導者たちは前回と同様、パウロの告発内容を証明することが出来ません。フェストがパウロにエルサレムで裁判を受けたいかとたずねると、パウロはローマ皇帝に上訴する、と言います。フェストはパウロの上訴を認め、パウロをローマへ送ることを決定します。

第25章の残りと第26章全体はパウロがアグリッパ王の前で行う弁明です。

ここに登場するアグリッパ王はアグリッパ二世です。

エルサレムの寺院の大改築を含む建築マニアだったヘロデ大王の死後、イスラエルは三人の息子、アルケラオ、ピリポ、ヘロデ・アンティパスに分割されます。この三人は王を名乗ることは許されませんでした。実はヘロデ大王には三人の息子の他に、アリストブロス四世とアレクサンドロスと言う息子がいましたが、ヘロデはこの二人を、産んだ母(つまり妻)をも含めて処刑しています(それどころか、妻の弟も妻の母も殺しているようです)。アグリッパ一世はヘロデ大王が処刑したアリストブロス四世の子供です(処刑される前に残していた子供ですね)。アグリッパ一世はローマ皇帝カリグラと巧みに知り合いになり、やがてピリポが統治していた地域を任されるようになります。その後統治地域を拡げ、結果としてヘロデ大王の頃の統治地域とほぼ同等の地域を任されるようになるのです。

今回登場したアグリッパ二世はこのアグリッパ一世の息子です。アグリッパ一世は急死し、その死後にイスラエルの統治はローマ帝国の直轄に移ったため、アグリッパ二世がアグリッパ一世の統治地域をそのまま引き継ぐことはありませんでした。が、アグリッパ二世もやはりローマ帝国に巧みに接近し、統治地域を少しずつ拡げて再びヘロデ大王の頃と同等の統治地域を回復していた模様です。アグリッパ二世はイスラエル全域を統治するほどの立場の人物なのですから、総督フェストがアグリッパに払う敬意の意味も理解できます。アグリッパ二世にはベレニケとドルシラの二人の妹がいて、ドルシラは第24章で総督ペリクスの妻として登場しました。ペリクスとドルシラはパウロが話す最後の裁きの話を聞いて恐怖していました。



english1982 at 21:00│使徒の働き