2015年08月10日

使徒の働き第22章第1節~第23節:パウロが群衆に話しかける(続き)

第22章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


1 “Brothers and esteemed fathers,” Paul said, “listen to me as I offer my defense.”

1 パウロは言いました。「兄弟たち、尊敬される父たちよ、私が話す弁明を聞いてください。」

2 When they heard him speaking in their own language, the silence was even greater.

2 人々はパウロが自分たちの言葉で話しているのを聞いて、ますます静かになりました。

3 Then Paul said, “I am a Jew, born in Tarsus, a city in Cilicia, and I was brought up and educated here in Jerusalem under Gamaliel. As his student, I was carefully trained in our Jewish laws and customs. I became very zealous to honor God in everything I did, just like all of you today.

3 それでパウロは言いました。「私はキリキヤのタルソで生まれたユダヤ人です。ここエルサレムで育てられ、ガマリエルの元で教育を受けました。ガマリエルの生徒として、私たちユダヤの律法と慣習について徹底的に鍛えられました。今日のみなさんと同様に、私は自分のするあらゆる事柄に於いて熱心に神さまを崇拝するようになりました。

4 And I persecuted the followers of the Way, hounding some to death, arresting both men and women and throwing them in prison.

4 そして私はその道の信者たちを迫害し、何名かは死に至るまで狩りたて、男も女も逮捕しては牢に投げこみました。

5 The high priest and the whole council of elders can testify that this is so. For I received letters from them to our Jewish brothers in Damascus, authorizing me to bring the followers of the Way from there to Jerusalem, in chains, to be punished.

5 これがそのとおりであることは、大祭司と長老たちの議会の全員が証言できます。と言うのも、私はこの人たちからダマスコのユダヤの兄弟たちへ宛てた手紙を受け取り、その手紙では、その道の信者たちに鎖をかけ、ダマスコからエルサレムへ連れて来て処罰する権限が私に与えられていたのです。

6 “As I was on the road, approaching Damascus about noon, a very bright light from heaven suddenly shone down around me.

6 旅の途上、私が正午ごろにダマスコに近づいて行くと、非常にまばゆい天からの光が突然私の回りに降り注いだのです。

7 I fell to the ground and heard a voice saying to me, ‘Saul, Saul, why are you persecuting me?’

7 私は地に倒れ、声が私に言うのを聞きました。『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。』

8 “‘Who are you, lord?’ I asked. “And the voice replied, ‘I am Jesus the Nazarene, the one you are persecuting.’

8 私はたずねました。『どなたですか、主よ。』 すると声は答えました。『私はあなたが迫害しているナザレのイエスだ。』

9 The people with me saw the light but didn’t understand the voice speaking to me.

9 私といっしょにいた人たちは光は見ましたが、私に話している声は理解しませんでした。

10 “I asked, ‘What should I do, Lord?’ “And the Lord told me, ‘Get up and go into Damascus, and there you will be told everything you are to do.’

10 私はたずねました。『私は何をすべきでしょうか、主よ。』 すると主は私に告げました。『起きてダマスコに入りなさい。そこであなたがすることすべてが告げられます。』

11 “I was blinded by the intense light and had to be led by the hand to Damascus by my companions.

11 私は強烈な光で目が不自由になり、ダマスコへは連れの人たちに手を引かれていかなければなりませんでした。

12 A man named Ananias lived there. He was a godly man, deeply devoted to the law, and well regarded by all the Jews of Damascus.

12 アナニヤという名前の人がダマスコに住んでいました。アナニヤは信仰の厚い男で、律法に深く専心しており、ダマスコのユダヤ人全員の間で評判の良い人でした。

13 He came and stood beside me and said, ‘Brother Saul, regain your sight.’ And that very moment I could see him!

13 アナニヤがやって来て私のそばに立ち、言いました。『兄弟サウロ、視力を回復しなさい。』 するとその瞬間、私はアナニヤが見えたのです。

14 “Then he told me, ‘The God of our ancestors has chosen you to know his will and to see the Righteous One and hear him speak.

14 それからアナニヤは私に言いました。『私たちの父祖たちの神さまがあなたを選び、あなたに神さまの意志を知らせ、義なる方を見せ、その方が話すのを聞かせることにしました。

15 For you are to be his witness, telling everyone what you have seen and heard.

15 それはあなたがその方の証人となり、すべての人にあなたの見たこと聞いたことを伝えるからです。

16 What are you waiting for? Get up and be baptized. Have your sins washed away by calling on the name of the Lord.’

16 あなたは何を待っているのですか。立って洗礼を受けなさい。主の名前を呼んで、あなたの罪を洗い流してもらいなさい。』

17 “After I returned to Jerusalem, I was praying in the Temple and fell into a trance.

17 私がエルサレムに戻った後で、私が寺院で祈っていると、うとうとと夢ごこちになりました。

18 I saw a vision of Jesus saying to me, ‘Hurry! Leave Jerusalem, for the people here won’t accept your testimony about me.’

18 私はイエスさまが次のように言う幻を見ました。『急ぎなさい。エルサレムを離れなさい。ここにいる人たちは私についてのあなたの証言を受け入れようとはしません。』

19 “‘But Lord,’ I argued, ‘they certainly know that in every synagogue I imprisoned and beat those who believed in you.

19 私は反論しました。『ですが主よ、彼らはあらゆる会堂で、私があなたを信じる人たちを牢に入れ、むちで叩いていたことを確かに知っているのです。

20 And I was in complete agreement when your witness Stephen was killed. I stood by and kept the coats they took off when they stoned him.’

20 そしてあなたの証人であるステパノが殺されたとき、私は完全に同意していたのです。人々がステパノを石打ちにしていたとき、私は近くに立って人々の脱いだ上着を預かっていたのです。』

21 “But the Lord said to me, ‘Go, for I will send you far away to the Gentiles!’”

21 しかし主は私に言いました。『行きなさい。私はあなたをはるか遠方の異邦人に遣わします。』」

22 The crowd listened until Paul said that word. Then they all began to shout, “Away with such a fellow! He isn’t fit to live!”

22 群衆はパウロがその言葉を言うまで聞いていました。それから群衆全員が叫び始めました。「そんな男は取り除いてしまえ。彼は生きるにふさわしくない。」

23 They yelled, threw off their coats, and tossed handfuls of dust into the air.

23 群衆は大声で叫び、上着を放り投げ、土をつかんで空中に投げました。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第22章です。

第3回目の伝道旅行を終えたパウロはエルサレムに戻り、エルサレムの教会でヤコブと長老たちに旅の報告をしました。パウロはそこでヤコブたちから、パウロが人々に律法に背くように教える背信者であるとの噂があると聞かされます。パウロはヤコブたちの提案に従い、ナジル人の誓願を立てていた他の四人と共に、寺院で清めといけにえを捧げる儀式に参加して、自分がユダヤの律法を遵守することをアピールしようと試みますが、パウロを目撃したアジヤ州から来たユダヤ人が暴動を扇動し、これがエルサレム中を巻き込む騒ぎへと発展しました。パウロは危うく殺されかける寸前に、報告を聞いて駆けつけたローマ帝国軍の指揮官に命を救われます。

暴動が収まらないので指揮官はパウロを要塞の中へ連れて行こうとしますが、パウロは要塞の入り口で群衆に話がしたいと指揮官に願い出て許しを得ます。今回はそのスピーチの内容でした。

前回の最後にパウロは群衆にアラム語で話しかけたと書かれていました。アラム語は当時のユダヤ人の公用語です。イエスさまも使徒たちもアラム語で話していました。群衆はパウロが静かにするようにと手振りで合図した後、アラム語で話し始めます。人々はパウロの口から自分たちの言葉が出てくるのを聞いて耳を澄まします。パウロは本当にスピーチに長けた人です。

話の内容は第9章で読んだパウロの改修の顛末からスタートしますが、ここにはいくつか新しい情報が含まれています。まずキリキア州のタルソで生まれたパウロはエルサレムで育てられ、ガマリエルに学んでいます。ガマリエルは第5章でペテロが逮捕された場面で登場し、サンヘドリンに対して議員の一人としてスピーチしました。 Acts 5:38-19(使徒の働き第5章第38節~39節)です。「38 そこで今、あなたがたに申したいのです。あの人たちから手を引き、放っておきなさい。もし、その計画や行動が人から出たものならば、自滅してしまうでしょう。39 しかし、もし神から出たものならば、あなたがたには彼らを滅ぼすことはできないでしょう。もしかすれば、あなたがたは神に敵対する者になってしまいます。」([新改訳])。

議会はこれを受け入れてペテロたちはむちで打たれた後で釈放されます。この時代、ファリサイ派の律法学者で高名なのはシャンマイとヒレルで、二人は異なる学説を展開して対立していたようですが、ガマリエルはヒレル派のひとりでした。パウロはこのガマリエルの元で律法や慣習法の専門教育を受けていたのです。

次の新しい情報は、第14節~第16節、ダマスコでイエスさまから遣わされたアナニヤがパウロに語った言葉です。『私たちの父祖たちの神さまがあなたを選び、あなたに神さまの意志を知らせ、義なる方を見せ、その方が話すのを聞かせることにしました。それはあなたがその方の証人となり、すべての人にあなたの見たこと聞いたことを伝えるからです。あなたは何を待っているのですか。立って洗礼を受けなさい。主の名前を呼んで、あなたの罪を洗い流してもらいなさい。』 これは他でもないイエスさまが、アナニヤにパウロに伝えるようにと授けた言葉だと思います。パウロはダマスコへの途上でイエスさまの声を聞き、こうしてアナニヤを通じて自分の使命を聞かされたのです。そしてアナニヤに促されてイエスさまを救世主と呼び、自分の罪を洗い流してもらったのでした。このときにパウロには精霊が宿ったはずで、第9章にはパウロがすぐにイエスさまに関わる福音の伝道活動を開始したと書かれています。

そして第17節からは、パウロが幻の中でイエスさまに出会う話が書かれています。ここでイエスさまはすぐにエルサレムを離れて他の場所で福音を伝えるようにと命じますが、パウロはどこの町の会堂へ行っても、自分がかつてイエスさまの信者を厳しく迫害していたことは知れ渡っていると反論します。しかしイエスさまはパウロの反論には耳を貸さず、パウロを遠方の異邦人へ遣わす、と告げます。群衆はパウロが異邦人のために活動すると話すと、この言葉に激怒します。




english1982 at 22:00│使徒の働き