2015年08月13日

使徒の働き第19章第23節~第41節:エペソの暴動

第19章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


The Riot in Ephesus

エペソの暴動


23 About that time, serious trouble developed in Ephesus concerning the Way.

23 そのころ、その道のことで、エペソで重大な問題が明らかになりました。

24 It began with Demetrius, a silversmith who had a large business manufacturing silver shrines of the Greek goddess Artemis. He kept many craftsmen busy.

24 問題はデメテリオという、ギリシヤ神話の女神アルテミスの銀製の神殿を製造する大規模な事業を行っている銀細工師から始まりました。デメテリオはたくさんの職人を抱えて働かせていました。

25 He called them together, along with others employed in similar trades, and addressed them as follows: “Gentlemen, you know that our wealth comes from this business.

25 デメテリオは職人たちを集め、同業の他の人たちも呼んで、次のように言いました。「みなさん、ご存じのように私たちの富はこの事業から来ているのです。

26 But as you have seen and heard, this man Paul has persuaded many people that handmade gods aren’t really gods at all. And he’s done this not only here in Ephesus but throughout the entire province!

26 ところがみなさんが見たり聞いたりして来たように、このパウロと言う男が、手で作った神など本当の神ではないと、たくさんの人を納得させました。パウロはエペソばかりでなく州全体でこれをやったのです。

27 Of course, I’m not just talking about the loss of public respect for our business. I’m also concerned that the temple of the great goddess Artemis will lose its influence and that Artemis -- this magnificent goddess worshiped throughout the province of Asia and all around the world -- will be robbed of her great prestige!”

27 もちろん私は私たちの事業が公的な関心を失うことだけを言っているのではありません。私が同じように心配しているのは、偉大な女神アルテミスの神殿が威光を失い、アジア州と全世界で崇拝されている偉大な女神アルテミスが、その崇高な威信を奪われてしまうのではないかと言うことです。」

28 At this their anger boiled, and they began shouting, “Great is Artemis of the Ephesians!”

28 これを聞いて人々の怒りが噴出し、人々は叫び始めました。「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ!」

29 Soon the whole city was filled with confusion. Everyone rushed to the amphitheater, dragging along Gaius and Aristarchus, who were Paul’s traveling companions from Macedonia.

29 すぐに町全体が混乱で一杯になりました。マケドニヤからパウロの旅行に同行してきたガイオとアリスタルコを引き出して、みなが円形劇場へ殺到しました。

30 Paul wanted to go in, too, but the believers wouldn’t let him.

30 パウロも中に入りたがりましたが、信者たちはそうさせませんでした。

31 Some of the officials of the province, friends of Paul, also sent a message to him, begging him not to risk his life by entering the amphitheater.

31 州の役人でパウロの友人である何名かも、パウロに伝言を送り、円形劇場に入って命を危険にさらすようなことをしないようにと頼みました。

32 Inside, the people were all shouting, some one thing and some another. Everything was in confusion. In fact, most of them didn’t even know why they were there.

32 中では人々全員が、何名かはあることを、何名かは別のことを叫んでいました。すべてが混乱の中にありました。実際のところ、大半の人たちは自分たちがなぜそこにいるのかさえ知りませんでした。

33 The Jews in the crowd pushed Alexander forward and told him to explain the situation. He motioned for silence and tried to speak.

33 ユダヤ人たちはアレキサンデルを前に押し出し、状況について説明するように言いました。アレキサンデルは静まるようにと合図して発言しようとしました。

34 But when the crowd realized he was a Jew, they started shouting again and kept it up for about two hours: “Great is Artemis of the Ephesians! Great is Artemis of the Ephesians!”

34 しかし群衆はアレキサンデルがユダヤ人だと知ると再び叫び始め、約二時間の間、叫び続けました。「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ!偉大なのはエペソ人のアルテミスだ!」

35 At last the mayor was able to quiet them down enough to speak. “Citizens of Ephesus,” he said. “Everyone knows that Ephesus is the official guardian of the temple of the great Artemis, whose image fell down to us from heaven.

35 ようやく市長は話ができる程度に群衆を静めることが出来ました。「エペソの市民のみなさん、偉大なる女神アルテミスの像が天から私たちのところへ降ってきて、エペソ人がアルテミスの神殿の公式な守護者であることは誰もが知っています。

36 Since this is an undeniable fact, you should stay calm and not do anything rash.

36 これは否定できない事実なのですから、みなさんは冷静を保ち、早まったことはしないでください。

37 You have brought these men here, but they have stolen nothing from the temple and have not spoken against our goddess.

37 みなさんはこの人たちをここへ連れて来ましたが、彼らは神殿から何かを盗んだわけではないし、私たちの女神を悪く言ったのでもないのです。

38 “If Demetrius and the craftsmen have a case against them, the courts are in session and the officials can hear the case at once. Let them make formal charges.

38 もしデメテリオと職人たちが彼らに対して言い分があるのなら、法廷は開かれていて役人たちがすぐに申し立てを聞くことができます。彼らに正式に告訴させてください。

39 And if there are complaints about other matters, they can be settled in a legal assembly.

39 もし他のことについて不満があるのなら、正式な議会で決着できます。

40 I am afraid we are in danger of being charged with rioting by the Roman government, since there is no cause for all this commotion. And if Rome demands an explanation, we won’t know what to say.”

40 この騒動には十分な理由がないのですから、私たちはローマ帝国政府から騒乱罪に問われる恐れがあります。そしてもしローマ政府が説明を求めてきたら、私たちには何を言うべきなのかがわかりません。」

41 Then he dismissed them, and they dispersed.

41 それから市長は群衆を解散させ、群衆は散っていきました。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第19章です。

パウロは第3回目の伝道旅行に出ています。パウロは陸路を北から西へ向かい、キリキヤのタルソを抜けてデルベへ至り、そこからルステラ、イコニウム、ピシディアのアンテオケへと進んで行き、エーゲ海に面するエペソに至りました。

エペソは紀元前2世紀にローマ帝国の支配下に入った後は、アジア州の州都として発展し、大きな町になっていました。エペソはギリシヤ神話の狩猟と貞潔の女神アルテミスを崇拝する町として有名で、町にはアルテミスを奉った大きな神殿があり、周辺地域から多くの巡礼者・参詣者を集めていました。町ではその人たちを相手に銀製の神殿模型を売って大きな収益を上げていました。

前回、エペソでのパウロの伝道活動は初期にユダヤ人との衝突があって後、活動の拠点がユダヤの会堂から、「ツラノの講堂」という場所に移ったこと、さらに会堂を出たことでユダヤの慣習から脱却して、パウロの伝道活動は毎週一回安息日に行うのではなく、講堂で毎日行うようになったことが書かれていました。そしてそれが二年間続いたら、ユダヤ人も異邦人も含めてアジヤ州全域の人たちがパウロの福音メッセージに触れたとも書かれていました。

今回はこれによって問題が起こります。銀職人のデメテリオと言う人が、職人や同じビジネスをやっている同志を集めた集会を開き、ここで反キリスト教、反パウロの扇動演説を行ったのです。これをきっかけにエペソの町は大混乱に陥ります。

第23節に「the Way(その道)」と書かれているのは、ルカがActs(使徒の働き)の中でときどき用いる「福音の教え」、つまりはキリスト教の呼び名です。

たしかにパウロはギリシヤの町のあらゆるところにあるギリシヤ神話の偶像や神殿に頭を痛め、伝道ではそれらを否定して、宇宙の創造主である旧約聖書の神さまと、神さまが地上に遣わした救世主イエスさまについての福音を伝えて来ました。それが結果的にギリシヤ神話を下敷きにビジネスをしている人たちを敵に回すことにつながったのです。

人々は暴徒と化して屋外の円形劇場へ押しかけます。大きな町にある円形劇場は劇などの催し物も行われましたが、市民の集会にも使われていたようです。パウロの同行者のガイオとアリスタルコが引きずり出されたので、パウロも円形劇場へ入って人々と議論を試みたいと思いますが、それはあまりにも危険であると信者たちに止められます。途中、ユダヤ人のアレキサンデルという人物が登場していますが、結局アレキサンデルの発言は聞けませんでしたので、この人がどのような人なのかはわかりません。

さんざん騒乱が続いた後でようやく市長が話せる状態となり、市長は筋の通った話をして群衆を落ち着かせ解散させます。




english1982 at 21:00│使徒の働き