2015年08月13日

使徒の働き第19章第1節~第22節:パウロの三度目の伝道旅行、パウロがエペソで仕事をする

第19章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Paul’s Third Missionary Journey

パウロの三度目の伝道旅行


1 While Apollos was in Corinth, Paul traveled through the interior regions until he reached Ephesus, on the coast, where he found several believers.

1 アポロがコリントにいた間にパウロは内地の地方を巡り、海岸のエペソに到達しました。そこでパウロは何人かの信者に出会いました。

2 “Did you receive the Holy Spirit when you believed?” he asked them. “No,” they replied, “we haven’t even heard that there is a Holy Spirit.”

2 パウロは信者たちにたずねました。「あなた方が信じたとき、聖霊を受けましたか。」 彼らは答えました。「いいえ。私たちは聖霊がいることさえ聞いたことがありません。」

3 “Then what baptism did you experience?” he asked. And they replied, “The baptism of John.”

3 パウロはたずねました。「それではどのような洗礼を受けたのですか。」 信者たちは答えました。「ヨハネの洗礼です。」

4 Paul said, “John’s baptism called for repentance from sin. But John himself told the people to believe in the one who would come later, meaning Jesus.”

4 パウロは言いました。「ヨハネの洗礼は罪からの悔い改めを必要としました。しかしヨハネ自身が、後から来る人、つまりイエスさまを信じるように人々に話したのです。」

5 As soon as they heard this, they were baptized in the name of the Lord Jesus.

5 人々はこれを聞くとすぐに主イエスさまの名前によって洗礼を受けました。

6 Then when Paul laid his hands on them, the Holy Spirit came on them, and they spoke in other tongues and prophesied.

6 それからパウロが彼らの上に手を置くと、彼らに聖霊が訪れ、彼らは他の国の原語を話し、預言をしました。

7 There were about twelve men in all.

7 その人たちは全部で十二人ほどでした。



Paul Ministers in Ephesus

パウロがエペソで仕事をする


8 Then Paul went to the synagogue and preached boldly for the next three months, arguing persuasively about the Kingdom of God.

8 それからパウロは会堂に行き、続く三か月の間、大胆に伝道し、神さまの王国について説得力を持って論じました。

9 But some became stubborn, rejecting his message and publicly speaking against the Way. So Paul left the synagogue and took the believers with him. Then he held daily discussions at the lecture hall of Tyrannus.

9 しかし中には強情になる者もいて、パウロの言葉を拒絶し、公衆の前でその道に反論しました。そこでパウロは会堂を去り、信者たちを連れて行きました。それからパウロは毎日、ツラノの講堂で話し合いを持ちました。

10 This went on for the next two years, so that people throughout the province of Asia -- both Jews and Greeks -- heard the word of the Lord.

10 これがそれから二年の間続いたので、アジヤ州全域の人たちが、ユダヤ人も異邦人も主のことばを聞きました。

11 God gave Paul the power to perform unusual miracles.

11 神さまはパウロに並外れた奇跡を行う力を与えました。

12 When handkerchiefs or aprons that had merely touched his skin were placed on sick people, they were healed of their diseases, and evil spirits were expelled.

12 単にパウロの皮膚に触れただけのハンカチや前掛けを病人の上に置くと、病気が治り、悪霊が追い払われました。

13 A group of Jews was traveling from town to town casting out evil spirits. They tried to use the name of the Lord Jesus in their incantation, saying, “I command you in the name of Jesus, whom Paul preaches, to come out!”

13 あるユダヤ人のグループが悪霊を追い出して町から町へと旅していました。彼らはためしに自分たちの呪文の中で主イエスさまの名前を使って次のように言いました。「パウロの伝えるイエスさまの名前によりお前に出て行くように命じる。」

14 Seven sons of Sceva, a leading priest, were doing this.

14 祭司長スケワの七人の息子たちがこれをしていました。

15 But one time when they tried it, the evil spirit replied, “I know Jesus, and I know Paul, but who are you?”

15 ところがあるとき彼らがこれをためすと、悪霊が答えました。「自分はイエスを知っている。パウロも知っている。だがお前たちは誰だ?」

16 Then the man with the evil spirit leaped on them, overpowered them, and attacked them with such violence that they fled from the house, naked and battered.

16 そして悪霊に取り憑かれていた人は彼らに飛びかかり、彼らを打ち負かして、ものすごい暴力で彼らに攻撃したので、彼らは裸のまま、めちゃめちゃに叩かれた状態でその家から逃げました。

17 The story of what happened spread quickly all through Ephesus, to Jews and Greeks alike. A solemn fear descended on the city, and the name of the Lord Jesus was greatly honored.

17 この一部始終の話はすぐにエペソ全体にユダヤ人にもギリシヤ人にも広まりました。厳粛な畏怖の念が町に降りて、主イエスさまの名前に大きな敬意が払われました。

18 Many who became believers confessed their sinful practices.

18 信者になった多くの人たちが自分たちの罪深い行動を告白しました。

19 A number of them who had been practicing sorcery brought their incantation books and burned them at a public bonfire. The value of the books was several million dollars.

19 魔術を行なっていた多くの者は、魔術の本を持って来て、それを人々の前でたき火をして燃やしました。本の価値は数百万ドルもありました。

20 So the message about the Lord spread widely and had a powerful effect.

20 そして主のことばは広域に伝えられ、そこには力強い効果がありました。

21 Afterward Paul felt compelled by the Spirit to go over to Macedonia and Achaia before going to Jerusalem. “And after that,” he said, “I must go on to Rome!”

21 この後、パウロはエルサレムに行く前に、マケドニヤとアカヤへ行くようにとの、霊による抗しがたい力を感じました。パウロは言いました。「そしてその後で、私はローマへ行かなければなりません。」

22 He sent his two assistants, Timothy and Erastus, ahead to Macedonia while he stayed awhile longer in the province of Asia.

22 パウロはなおしばらくアジア州に滞在している間に、自分の助手であるテモテとエラストのふたりを先にマケドニヤに送りました。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第19章です。

第2回目の伝道旅行から戻ったパウロは、シリアのアンテオケにしばらく滞在した後、すぐに第3回目の伝道旅行に出発しました。第2回目の伝道旅行と同様、パウロは陸路を北から西へ向かい、キリキヤのタルソを抜けてデルベへ至り、そこからルステラ、イコニウム、ピシディアのアンテオケへと進んで行き、エーゲ海に面するエペソの町に至ります。

エペソはwikipediaには「エフェソス」で登録されています。記述によると、エフェソスはトルコ共和国西部の小アジアの古代都市で、現在のイズミル県のセルチュク近郊に位置していますが、現在は遺跡が残っているだけのようです。もとは港湾都市でしたが、現在は土砂が堆積して海岸から離れてしまっています。真偽のほどはわかりませんが、キリスト教に関する様々な伝承のある町のようです。エペソは紀元前2世紀にローマ帝国の支配下に入った後は、アジア州の州都として発展し、大きな町になっていました。エペソはギリシヤ神話の狩猟と貞潔の女神アルテミスを崇拝する町として有名で、町にはアルテミスを奉った大きな神殿があり、周辺地域から多くの巡礼者・参詣者を集めていました。町ではその人たちを相手に銀製の神殿模型を売って大きな収益を上げていました。

この頃にパウロによって書かれたとされる1 Corinthians(コリント人への手紙第1)の16:1-3(第16章第1節~第3節)には、「1 さて、聖徒たちのための献金については、ガラテヤの諸教会に命じたように、あなたがたにもこう命じます。2 私がそちらに行ってから献金を集めるようなことがないように、あなたがたはおのおの、いつも週の初めの日に、収入に応じて、手もとにそれをたくわえておきなさい。3 私がそちらに行ったとき、あなたがたの承認を得た人々に手紙を持たせて派遣し、あなたがたの献金をエルサレムに届けさせましょう。」([新改訳])と書かれており、パウロはエペソに至る小アジア内陸の旅行の間、エルサレムの教会へ送るための資金を集めていたようです。アジア州の内陸部には、ペルガモン、スミルナ、テアテラ、サルディス、フィラデルフィア、ラオデキア、コロサイなどの町があります。これらの町はパウロの書簡や、ヨハネの黙示録に登場しますから、パウロはこれらの町のいくつかを経由してエペソに至ったと思われます。

さて今回の第1節です。パウロがエペソの町に到着するとそこにはすでに信者がいます。これは第18章に書かれていたように、パウロは前回の伝道旅行で、プリスキラとアクラの夫婦をエペソに残して来たので、パウロが戻ってくるまでに間に彼らが福音を伝えて、信者が育っていたと考えられます。またエペソではパウロが来る前に、エジプトのアレキサンドリアからアポロが来ていて、パウロが伝道する前にイエスさまの福音を伝えていました。この活動もエペソで信者を増やすのに貢献したことでしょう。

第2節~第7節、パウロがエペソで出会った信者たちに、福音を信じたときにどのような洗礼を受けたかをたずねると、それは「ヨハネの聖霊」、つまり洗礼者ヨハネが行った信者を水没させるタイプの洗礼であり、彼らはまだ聖霊を受けていないのでした。そこでパウロは彼らにイエスさまの名前による洗礼を施し、彼らの上に手を置くと、信者のひとりひとりに聖霊が訪れます。聖霊を受けた人は「異言」と言って、突然話したこともない外国語で話し出したり、神さまから授かった言葉を話す「預言」を行って、このときにはその人が身体に聖霊を受けたことが周囲の人にもわかるのでした。

第8節~第10節、パウロはユダヤ人の会堂で、三ヶ月にわたって伝道活動を行います。パウロは以前、「自分は異邦人の所へ行く」と宣言したものの、決してユダヤ人を見捨てることはしません。パウロはいつもユダヤ人のことを気にかけているのです。新しい町での伝道活動は必ずユダヤ人を相手にスタートさせています。しかし他の町と同様、エペソでもパウロの前に福音の伝道に反対するユダヤ人が現れ、パウロはこれによってユダヤの会堂を去ることを余儀なくされます。パウロはそれからはツラノの講堂と言う場所で講義します。ユダヤの会堂では安息日の毎週土曜日が伝道活動の時間でしたが、ツラノ講堂に移ってからはパウロはユダヤのルールから脱却して毎日教えるようになるのです。パウロはこの活動を二年間継続しますが、これによってアジア州でパウロの福音を耳にしたことのない人がいなくなります。

第11節~第12節では、神さまがパウロに授けた奇跡の力が説明されています。パウロは弁舌の才で人々を福音へ導いただけでなく、ペテロなどの使徒と同様に奇跡のわざも行ったのです。福音書ではイエスさまの衣類の房に触れただけで病が癒やされた女性の話がありましたし、Acts 5(使徒の働き第5章)には、ペテロが通りかかるときにその影がかかるように、あらかじめ通りに寝台を並べてそこに病人を寝かせておいたとありました。パウロについても同様に、パウロが触れたハンカチや前掛けにも病を癒やし、悪霊を追い出す効力があるのでした。

第13節~第17節は、もう一つのエピソードで、パウロの伝道活動があまりにも有名になると、これに便乗して除霊を行う人たちが現れました。祭司長のスケワと言う人の息子たちのグループも便乗組のひとつで、彼らはパウロを真似してイエスさまの名前による除霊を行いましたが、結果としてさんざんな目に遭わされます。ですが結果としてこのエピソードも、イエスさまの名前に栄光をもたらすことになるのです。

第18節~第20節、信者になった人たちの中には、自分たちの行ってきた魔術や呪術の類いが神さまの意志に反する罪であると告白し、公開のたき火でそれらに関わる本を燃やしました。燃やされた本の価値は数百万ドル、つまり数億円と書かれていますから、これも当時の人たちにとっては印象に残る衝撃の出来事だったのでしょう。

第21節~第22節、パウロはエペソでの伝道活動を終えるにあたり、エルサレムへ戻る前に、聖霊の導きにより再度マケドニヤとアカヤを訪れることを決めます。マケドニヤはギリシヤの北方でピリピ、テサロニケ、ベレヤのある地域、アカヤはギリシヤ南部のアテネとコリントのある地域です。またパウロは、自分はローマに行かなければならないとも言っています。パウロは自分に先立ち、テモテとエラストのふたりをマケドニヤへ送り出します。




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