使徒の働き第17章第16節~第34節:パウロがアテネで伝道する使徒の働き:第17章

2015年08月15日

使徒の働き第17章第1節~第15節:パウロがテサロニケで伝道する、ベレヤのパウロとシラス

第17章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Paul Preaches in Thessalonica

パウロがテサロニケで伝道する


1 Paul and Silas then traveled through the towns of Amphipolis and Apollonia and came to Thessalonica, where there was a Jewish synagogue.

1 それからパウロとシラスはアムピポリスとアポロニヤの町を通ってテサロニケへ行きました。そこにはユダヤ人の会堂がありました。

2 As was Paul’s custom, he went to the synagogue service, and for three Sabbaths in a row he used the Scriptures to reason with the people.

2 いつものようにパウロは会堂の儀式に行き、三回の安息日にわたって聖書を使って人々と論じ合いました。

3 He explained the prophecies and proved that the Messiah must suffer and rise from the dead. He said, “This Jesus I’m telling you about is the Messiah.”

3 パウロはいくつもの預言を説明して、救世主が苦しみを受け、死者の中からよみがえらなければならないことを証明しました。パウロは言いました。「私があなた方に話しているこのイエスさまこそが救世主なのです。」

4 Some of the Jews who listened were persuaded and joined Paul and Silas, along with many God-fearing Greek men and quite a few prominent women.

4 たくさんの神さまを畏れるギリシヤ人と多くの貴婦人たちに加えて、聞いていたユダヤ人の中にも納得してパウロとシラスに加わる人がいました。

5 But some of the Jews were jealous, so they gathered some troublemakers from the marketplace to form a mob and start a riot. They attacked the home of Jason, searching for Paul and Silas so they could drag them out to the crowd.

5 しかしユダヤ人の中には妬んだ者もいて、市場からならず者たちを集めてきて暴徒とし、暴動を起こしました。暴徒はパウロとシラスを人々の前へ引きずり出そうと、捜索のためにヤソンの家を襲いました。

6 Not finding them there, they dragged out Jason and some of the other believers instead and took them before the city council. “Paul and Silas have caused trouble all over the world,” they shouted, “and now they are here disturbing our city, too.

6 しかしそこで見つからないので、暴徒は代わりにヤソンと信者たちを何人かを引っ張り出し、市の議会の前へ連れて行きました。暴徒は叫びました。「パウロとシラスは世界中で問題を起こしてきています。いまや彼らはここにいて、私たちの町の平和を乱しています。

7 And Jason has welcomed them into his home. They are all guilty of treason against Caesar, for they profess allegiance to another king, named Jesus.”

7 ヤソンは彼らを自分の家に迎え入れました。彼らはみなシーザーに対する反逆で有罪です。なぜなら彼らはイエスという別の王への忠誠を明言しているからです。」

8 The people of the city, as well as the city council, were thrown into turmoil by these reports.

8 この報告で町の人たちと市議会は混乱に陥りました。

9 So the officials forced Jason and the other believers to post bond, and then they released them.

9 それで役人たちはヤソンと他の信者たちに保釈金を入れさせ、それから彼らを釈放しました。



Paul and Silas in Berea

ベレヤのパウロとシラス


10 That very night the believers sent Paul and Silas to Berea. When they arrived there, they went to the Jewish synagogue.

10 その夜、信者たちはパウロとシラスをベレヤへ送り出しました。ふたりはベレヤに着くとユダヤ人の会堂へ行きました。

11 And the people of Berea were more open-minded than those in Thessalonica, and they listened eagerly to Paul’s message. They searched the Scriptures day after day to see if Paul and Silas were teaching the truth.

11 ベレヤの人たちはテサロニケの人たちよりも偏見がなく、パウロの話に熱心に耳を傾けました。彼らは毎日聖書の中を探してパウロとシラスが本当のことを言っているか調べました。

12 As a result, many Jews believed, as did many of the prominent Greek women and men.

12 結果として多くのユダヤ人が信じました。たくさんのギリシヤの貴婦人や男子も信じました。

13 But when some Jews in Thessalonica learned that Paul was preaching the word of God in Berea, they went there and stirred up trouble.

13 ところがテサロニケのユダヤ人の中にパウロがベレヤで神さまのことばを伝えていることを知った人がいて、彼らはベレヤに行って騒動を起こしました。

14 The believers acted at once, sending Paul on to the coast, while Silas and Timothy remained behind.

14 信者たちは速やかに行動し、パウロを海岸へと送り出しました。一方、シラスとテモテはベレヤに残りました。

15 Those escorting Paul went with him all the way to Athens; then they returned to Berea with instructions for Silas and Timothy to hurry and join him.

15 パウロに付き添った人たちは、パウロと一緒にアテネまで行きました。彼らはシラスとテモテ宛てに、急いでパウロと合流するようにとの命令を持ってベレヤに帰りました。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第17章です。

パウロはシラスを連れて第二回目の伝道の旅に出ています。

パウロはエーゲ海に面したトロアスの港に来たところで幻を見ます。幻の中ではギリシヤ北部のマケドニヤ人が、マケドニヤに来て私たちを助けてください、とパウロを招きました。トロアスの港で一行にルカが加わり、一行はサモトラケ島(サモトラキ島)という小さな島経由でマケドニアのネアポリスに上陸しました。そしてピリピへ到着すると、ピリピにしばらく滞在します。

下の地図ではパウロの第二回目の伝道旅行は、緑色の線で表されています(地図は『New Illustrated Bible Dictionary』より)。

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ピリピでは信者を得ましたが、霊に取り憑かれた奴隷の少女につきまとわれ、その悪霊を追い出したことで、少女の占いをビジネスの種にしていた町の有力者たちから反感を買い、パウロとシラスは逮捕され、棒で打たれて投獄されてしまいます。翌日、市当局はふたりを拘束する理由が見つけられずに釈放し、ふたりは次の町へ向かいました。

ふたりが次に到着した町はマケドニア州の州都テサロニケです。wikipediaでは「テッサロニキ」で登録されており、現在は周辺部も含めると100万人が暮らすギリシヤ第二の大都市です。当時もここは大きな町で、ディアスポラのユダヤ人もたくさん暮らしており、と言うことは会堂があります。パウロはいつものように会堂で教え、異邦人とユダヤ人の信者を獲得しました。

ちなみに第16章第10節から、「we(私たち)」に変化した主語は、第17章から再び三人称の「Paul and Silas(パウロとシラス)」に戻っています。と言うことはトロアスから旅に同行したルカはピリピに残ったと言うことになります。

第5節、パウロとシラスに嫉妬を抱くユダヤ人が現れます。彼らは暴動を起こしてふたりを捜索します。ヤソンと言う、ふたりを滞在させていたのであろう人物の家が襲われ、ふたりの代わりにヤソンと信者の何人かが市議会の前に連れて行かれました。

第7節、ユダヤ人が暴動を起こしたきっかけは「嫉妬」だったはずですが、彼らが当局に訴えた理由は、シーザーへの反逆です。このあたりはエルサレムの指導者たちがイエスさまを告発したときと、やり方や考え方が似ています。

ここまでパウロに敵意をむき出しにしたユダヤ人たちの動機は、パウロがモーゼの律法をないがしろにしてイエスさまへの信仰を優先しているように見えることや、パウロが割礼の儀式抜きで異邦人を信者に迎え入れ、異邦人と食事をするなど親しく交わっていることです。ユダヤ人たちは本当のところは、嫉妬と言うよりもモーゼの律法に対する冒涜の罪で、パウロを石打ちの刑で殺したいと考えていたはずです。

第9節、ヤソンたちは保釈金を入れることで釈放されます。勾留しておく理由が見つからないからでしょう。

第10節、テサロニケを脱出したパウロとシラスが次に向かった町はテサロニケから60~70キロ西にあるベレアです。地図上では「ベリア」として見つかります。

第11節、ベレヤの人たちは熱心にパウロの話を聞き、パウロの解説する預言書の中身について、自分たちで聖書を調べて確認します。

第12節、そして納得して信じるのです。パウロの教える福音の話は、ロジカルでわかりやすく筋道が通っているからでしょう。

第13節、ところがパウロに敵意を抱くユダヤ人たちは、ベレヤまで追いかけてきます。やはり嫉妬などと言うレベルではなく、これは殺意です。

パウロはシラスとテモテをベレヤに残して、海岸からずっと南のアテネへと逃れます。



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使徒の働き第17章第16節~第34節:パウロがアテネで伝道する使徒の働き:第17章