使徒の働き:第17章使徒の働き第16章第1節~第15節:パウロの二度目の伝道旅行、マケドニヤからの招き、ピリピのルデヤがイエスさまを信じる

2015年08月16日

使徒の働き第16章第16節~第40節:パウロとシラスが投獄される

第16章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Paul and Silas in Prison

パウロとシラスが投獄される


16 One day as we were going down to the place of prayer, we met a slave girl who had a spirit that enabled her to tell the future. She earned a lot of money for her masters by telling fortunes.

16 ある日、私たちが祈りの場所に行く途中、霊に取り憑かれた奴隷の少女に会いました。霊は少女に未来を語る能力を与えていました。少女は占いをして主人たちにたくさんのお金を稼いでいました。

17 She followed Paul and the rest of us, shouting, “These men are servants of the Most High God, and they have come to tell you how to be saved.”

17 少女はパウロと私たちのあとについて来て、叫び続けました。「この人たちは最も高き神さまのしもべで、どうすれば救われるかをみなさんに伝えるために来たのです。」

18 This went on day after day until Paul got so exasperated that he turned and said to the demon within her, “I command you in the name of Jesus Christ to come out of her.” And instantly it left her.

18 これが何日も続いたので、ついにパウロは腹を立て、振り向いて少女の中の悪魔に言いました。「私はイエス・キリストの名前によって彼女から出るようにお前に命じる。」 すると即座に霊は出て行きました。

19 Her masters’ hopes of wealth were now shattered, so they grabbed Paul and Silas and dragged them before the authorities at the marketplace.

19 少女の主人たちの富の希望が砕かれたので、主人たちはパウロとシラスを捕らえ、市場の役人たちの前へ引き立てて行きました。

20 “The whole city is in an uproar because of these Jews!” they shouted to the city officials.

20 主人たちは市の役人たちに大声で言いました。「このユダヤ人たちのせいで、市全体が大騒ぎになっています。

21 “They are teaching customs that are illegal for us Romans to practice.”

21 彼らは私たちローマ人が実行すると違法となる風習を教えているのです。」

22 A mob quickly formed against Paul and Silas, and the city officials ordered them stripped and beaten with wooden rods.

22 パウロとシラスに対してすぐに暴徒が集まると、市の役人たちはふたりの服をはいで木製の棒で打つように命じました。

23 They were severely beaten, and then they were thrown into prison. The jailer was ordered to make sure they didn’t escape.

23 ふたりはひどく打たれ、それから牢に入れられました。看守はふたりが逃げないように命令を受けました。

24 So the jailer put them into the inner dungeon and clamped their feet in the stocks.

24 それで看守はふたりを奥の牢に入れ、ふたりの足をさらし台に固定しました。

25 Around midnight Paul and Silas were praying and singing hymns to God, and the other prisoners were listening.

25 真夜中ごろ、パウロとシラスは神さまに祈り、賛美歌を歌い、ほかの囚人たちはそれをじっと聞いていました。

26 Suddenly, there was a massive earthquake, and the prison was shaken to its foundations. All the doors immediately flew open, and the chains of every prisoner fell off!

26 突然大きな地震が起こり、刑務所は土台から揺れ動きました。すべてのドアが突然ぱっと開き、あらゆる囚人の鎖が解け落ちました。

27 The jailer woke up to see the prison doors wide open. He assumed the prisoners had escaped, so he drew his sword to kill himself.

27 看守が目を覚ますと牢のドアが大きく開いていました。看守は囚人がたちが逃げたと思い込み、剣を抜いて自殺しようとしました。

28 But Paul shouted to him, “Stop! Don’t kill yourself! We are all here!”

28 しかしパウロが看守に向かって叫びました。「待ちなさい。自殺してはいけません。私たちはみなここにます。」

29 The jailer called for lights and ran to the dungeon and fell down trembling before Paul and Silas.

29 看守は灯りを持ってこさせ、牢へと走り、パウロとシラスとの前に震えながら崩れ落ちました。

30 Then he brought them out and asked, “Sirs, what must I do to be saved?”

30 それから看守はふたりを外に連れ出してたずねました。「だんな様方、救われるためには私は何をしなければなりませんか。」

31 They replied, “Believe in the Lord Jesus and you will be saved, along with everyone in your household.”

31 ふたりは答えました。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も全員救われます。」

32 And they shared the word of the Lord with him and with all who lived in his household.

32 そしてふたりは主の言葉を看守と、看守の家に住む者全員に伝えました。

33 Even at that hour of the night, the jailer cared for them and washed their wounds. Then he and everyone in his household were immediately baptized.

33 夜にも関わらず、看守はふたりの世話をし、ふたりの傷を洗いました。それから看守と家の全員がすぐに洗礼を受けました。

34 He brought them into his house and set a meal before them, and he and his entire household rejoiced because they all believed in God.

34 看守はふたりを自分の家に連れて行き、ふたりの前に食事を出しました。そして看守と家族全員が、神さまを信じたことを喜びました。

35 The next morning the city officials sent the police to tell the jailer, “Let those men go!”

35 翌朝、市の役人たちは看守のもとへ警官を送って伝えさせました。「あの人たちを釈放しなさい」。

36 So the jailer told Paul, “The city officials have said you and Silas are free to leave. Go in peace.”

36 それで看守はパウロに言いました。「市の役人たちがあなたとシラスは出て行って良いと言っています。ご無事に行ってください。」

37 But Paul replied, “They have publicly beaten us without a trial and put us in prison -- and we are Roman citizens. So now they want us to leave secretly? Certainly not! Let them come themselves to release us!”

37 しかしパウロは答えました。「彼らは裁判抜きで私たちを公衆の前で打ち、牢に入れました。私たちはローマ市民です。それでいま彼らは私たちに秘密裏に去って欲しいですって? とんでもありません。彼ら自身がここへ来て私たちを釈放すべきです。」

38 When the police reported this, the city officials were alarmed to learn that Paul and Silas were Roman citizens.

38 警官がこのことを報告すると、市の役人たちはパウロとシラスがローマ市民であると知って不安になりました。

39 So they came to the jail and apologized to them. Then they brought them out and begged them to leave the city.

39 それで市の役人たちは牢に来て、ふたりに謝罪しました。そしてふたりを外に連れ出して、町を去るように頼みました。

40 When Paul and Silas left the prison, they returned to the home of Lydia. There they met with the believers and encouraged them once more. Then they left town.

40 パウロとシラスは牢を出ると、ルデヤの家に戻りました。そこでふたりは信者たちに会い、もう一度信者たちを励ましました。それからふたりは町を出ました。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第16章です。

パウロはシラスを連れて第二回目の伝道の旅に出ています。

パウロはエーゲ海に面したトロアスの港に来たところで幻を見ます。幻の中ではギリシヤ北部のマケドニヤ人が、マケドニヤに来て私たちを助けてください、とパウロを招きます。トロアスで一行にはルカが加わり、一行はサモトラケ島(サモトラキ島)という小さな島経由でマケドニアのネアポリスに上陸しました。そしてピリピへ到着すると、ピリピにしばらく滞在します。

下の地図ではパウロの第二回目の伝道旅行は、緑色の線で表されています(地図は『New Illustrated Bible Dictionary』より)。

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今回はピリピに滞在中の話です。ピリピはwikipediaには「ピリッポイ」として登録されています。紀元前2世紀にマケドニアはローマ帝国の支配下に入り、以降、ローマ帝国はピリピに退役兵を継続的に入植させ、付近の金鉱山を足がかりにして経済的に大きな都市へと発展させたようです。

第16節~第17節、ピリピに滞在中、悪霊に取り憑かれた少女が現れて、パウロたちの一行につきまとい、「この人たちは最も高き神さまのしもべで、どうすれば救われるかをみなさんに伝えるために来たのです。」と叫び続けます。悪霊にはパウロたちがイエスさまの権能を授けられて福音を伝えていることがわかるのです。ここだけを読むと悪霊は少女を利用して、パウロたちのために宣伝活動をしてくれているようにも読めますが、パウロたちはどの町へ行っても新しい信者を獲得すると同時に、必ずパウロたちを迫害する敵を作って来ていますから、このような宣伝が必ずしも歓迎されるわけではありません。悪霊はそれを知っているのでしょう。

第18節、つきまとう少女にうんざいりしたパウロは、イエスさまの名前によって悪霊に少女から出るように命令し、悪霊は即座に出て行きます。

すると第19節、このことで悪霊が少女に与えていた予言の能力を使った占いのビジネスで富を得ていた少女の主人が腹を立て、パウロとシラスを捕らえてローマ帝国の役人のところへ連れて行きます。

第22節、おそらくパウロとシラスを捕らえた人たちは町の実力者だったのでしょう。すぐにパウロとシラスを糾弾する暴動が起こりそうになります。役人はとりあえず事態を収拾するため、パウロとシラスの服を剥いで裸にさせ、公衆の面前で棒打ちの刑に処した上で牢に入れました。

第26節、夜中に大きな地震が起こると、これで牢獄のドアがすべて開き、囚人たちを固定していた鎖が外れ落ちます。これはまるで第12章で天使がペテロを牢屋から助け出したときのようです。

第27節、囚人たちが逃げたと思い込んだ看守が自殺しようとします。ローマ帝国では囚人を逃がした兵は死刑になるからです。

第28節~第34節、パウロは看守の自殺を思いとどまらせ、看守とその家族が福音を受け入れて救われます。

第35節、ローマ帝国の役人からパウロとシラスを解放する許可が出ますが、第37節、パウロは自分たちがローマ帝国市民であるにも関わらず、裁判抜きで公衆の面前で裸にされて棒打ちに処され、投獄されたことに腹を立て、筋を通すようにと要求します。

第39節、ローマ帝国の役人は牢に出向いて謝罪し、無用な混乱を避けるために、町を出るようにと促します。

第40節、パウロとシラスは前回福音を受け入れて救われたルデアの家に戻り、信者たちを励ました後にピリピを後にします。




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