2015年08月22日

使徒の働き第10章第9節~第33節:ペテロがコルネリオを訪問する

第10章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Peter Visits Cornelius

ペテロがコルネリオを訪問する


9 The next day as Cornelius’s messengers were nearing the town, Peter went up on the flat roof to pray. It was about noon,

9 その翌日、コルネリオの使いが町の近くまで来た頃、ペテロはお祈りをするために平らな屋上に上りました。昼の十二時頃でした。

10 and he was hungry. But while a meal was being prepared, he fell into a trance.

10 ペテロは空腹でしたが、食事の用意がされている間にペテロはうとうとと夢ごこちになりました。

11 He saw the sky open, and something like a large sheet was let down by its four corners.

11 ペテロは空が開くのを見ました。そして何か大きな布のようなものが、四隅を吊されて降りて来ました。

12 In the sheet were all sorts of animals, reptiles, and birds.

12 その布の中には、あらゆる種類の動物や、はちゅう類や鳥がいました。

13 Then a voice said to him, “Get up, Peter; kill and eat them.”

13 それからペテロに向かって声がしました。「起きなさい、ペテロ。これらを殺して食べなさい。」

14 “No, Lord,” Peter declared. “I have never eaten anything that our Jewish laws have declared impure and unclean.”

14 しかしペテロははっきり言いました。「主よ。いけません。私はユダヤの律法が不純や不浄と定めた物は、これまで一度も食べたことがありません。」

15 But the voice spoke again: “Do not call something unclean if God has made it clean.”

15 ところが声は再び言いました。「神が清めた物を、不純などと言ってはならない。」

16 The same vision was repeated three times. Then the sheet was suddenly pulled up to heaven.

16 同じ幻は三度も繰り返されました。それから布は突然天へ引き上げられました。

17 Peter was very perplexed. What could the vision mean? Just then the men sent by Cornelius found Simon’s house. Standing outside the gate,

17 ペテロは非常に当惑しました。この幻はいったいどういう意味なのでしょう。そのときちょうどコルネリオが遣わした人たちがシモンの家を見つけました。門の外に立つと、

18 they asked if a man named Simon Peter was staying there.

18 彼らはここにシモン・ペテロと呼ばれる人が滞在しているかとたずねました。

19 Meanwhile, as Peter was puzzling over the vision, the Holy Spirit said to him, “Three men have come looking for you.

19 ペテロが幻について頭をかかえていると聖霊がペテロに言いました。「三人の人があなたを探して来ています。

20 Get up, go downstairs, and go with them without hesitation. Don’t worry, for I have sent them.”

20 立って階下に降りなさい。そして迷わずに彼らと共に行きなさい。心配は要りません。彼らを遣わしたのは私だからです。」

21 So Peter went down and said, “I’m the man you are looking for. Why have you come?”

21 そこでペテロは下へ降りて行って言いました。「あなた方の探しているのは私です。どんなご用でおいでになったのですか。」

22 They said, “We were sent by Cornelius, a Roman officer. He is a devout and God-fearing man, well respected by all the Jews. A holy angel instructed him to summon you to his house so that he can hear your message.”

22 彼らは言いました。「私たちはローマ人の士官でコルネリオという人の使いで来ました。コルネリオは敬虔で神を畏れる人です。ユダヤ人のみなから尊敬を受けています。聖霊がコルネリオに、あなたを家にお招きして、そうしてあなたから話が聞けるようにと示されたのです。」

23 So Peter invited the men to stay for the night. The next day he went with them, accompanied by some of the brothers from Joppa.

23 そこでペテロは彼らを中に招き入れて泊まらせ、翌日彼らと共に出かけました。ヨッパの兄弟たちも数人同行しました。

24 They arrived in Caesarea the following day. Cornelius was waiting for them and had called together his relatives and close friends.

24 その翌日、ペテロたち一行はカイザリヤに着きました。コルネリオは彼らの到着を待っていて、すでに親族や親しい友人たちを呼び集めていました。

25 As Peter entered his home, Cornelius fell at his feet and worshiped him.

25 ペテロが家に入って行くと、コルネリオはペテロの足もとにひれ伏してペテロを拝みました。

26 But Peter pulled him up and said, “Stand up! I’m a human being just like you!”

26 しかしペテロはコルネリオを引き起こして言いました。「お立ちなさい。私はあなたと同じ、ひとりの人間です」。

27 So they talked together and went inside, where many others were assembled.

27 それから二人は話をして家の中に入りました。中にはたくさんの人が集まっていました。

28 Peter told them, “You know it is against our laws for a Jewish man to enter a Gentile home like this or to associate with you. But God has shown me that I should no longer think of anyone as impure or unclean.

28 ペテロは人々に言いました。「ご承知のことと思いますが、こうしてユダヤ人が異邦人の家に入ったり交流したりするのは、律法に反することです。ところが神さまが私に示されたのは、もはやどんな人も清くないとか、汚れているとか考えてはいけないということです。

29 So I came without objection as soon as I was sent for. Now tell me why you sent for me.”

29 そこで私はお招きを受けたときにためらうことなく来たのです。さぁ、今度はどうしてあなたが私を招いたのかを教えてください。」

30 Cornelius replied, “Four days ago I was praying in my house about this same time, three o’clock in the afternoon. Suddenly, a man in dazzling clothes was standing in front of me.

30 コルネリオが答えて言いました。「四日前のことです。ちょうどこのくらいの時刻、午後三時に私は家でお祈りをしていました。突然、輝くような衣を着た人が私の前に立っていました。

31 He told me, ‘Cornelius, your prayer has been heard, and your gifts to the poor have been noticed by God!

31 その人はこう言いました。『コルネリオよ、あなたの祈りは聞き入れられました。貧しい人たちへのあなたの施しは神さまも知っています。

32 Now send messengers to Joppa, and summon a man named Simon Peter. He is staying in the home of Simon, a tanner who lives near the seashore.’

32 さぁ、ヨッパに人を遣わしてシモン・ペテロという人を招きなさい。この人は海岸近くに住む皮なめし職人のシモンの家に滞在しています。』

33 So I sent for you at once, and it was good of you to come. Now we are all here, waiting before God to hear the message the Lord has given you.”

33 それで私はすぐにあなたのところへ人を送ったのです。よくおいでくださいました。いま私たちはみなここに集まり、主があなたに与えたメッセージを聞かせていただこうと、神さまの前で待っているのです。」




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第10章です。

その頃、ペテロはヨッパという地中海に面した港町で皮なめし職人のシモンの家に滞在していました。ローマ帝国のユダヤ領の首都カイザリヤにいたコルネリオと言う信心深いローマ帝国軍の百人隊長の幻の中に天使が現れ、ヨッパからペテロを呼び寄せるように指示が出ます。

今回はこの続きです。

ペテロがヨッパの家の屋上でお祈りを捧げようとしていると幻を見ます。その幻の中でペテロはあらゆる種類の動物や、はちゅう類や鳥を見せられ、「これらを殺して食べなさい」と命じられます。これに対するペテロの答は「私はユダヤの律法が不純や不浄と定めた物は、これまで一度も食べたことがありません」でした。

旧約聖書の律法書のひとつである「Leviticus(レビ記))」では、第11章で食べて良い動物と食べてはいけない動物が細かく指示されています。食べてはいけないものを食べると人は宗教的に「汚れて」しまうのです。 たとえば冒頭の部分を読んでみましょう。Leviticus 11:1-8(レビ記第11章第1節~第8節)です。

「1 それから、主はモーセとアロンに告げて仰せられた。2 「イスラエル人に告げて言え。地上のすべての動物のうちで、あなたがたが食べてもよい生き物は次のとおりである。3 動物のうちで、ひづめが分かれ、そのひづめが完全に割れているもの、また、反芻するものはすべて、食べてもよい。4 しかし、反芻するもの、あるいはひづめが分かれているもののうちでも、次のものは、食べてはならない。すなわち、らくだ。これは反芻するが、そのひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。 5 それから、岩だぬき。これも反芻するが、そのひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。6 また、野うさぎ。これも反芻するが、そのひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。7 それに、豚。これは、ひづめが分かれており、ひづめが完全に割れたものであるが、反芻しないので、あなたがたには汚れたものである。8 あなたがたは、それらの肉を食べてはならない。またそれらの死体に触れてもいけない。それらは、あなたがたには汚れたものである。」([新改訳]。)

第11章はこれに引き続き食べてはいけない動物、水に住む生き物、鳥、虫、はちゅう類などに関する記述が延々と続きます。そして幻の中で、声はペテロに繰り返しこれらを食べろ、と命じます。

上の引用の中にもありますが、「Leviticus(レビ記)」は動物の死体に関する記述も含んでいて、律法は動物の死体に触れることも「汚れ」として禁じているのですが、ペテロがヨッパで滞在しているシモンの家は皮なめし職人の家であり、と言うことはペテロはすでに仕事として動物の死体に触る人、つまり律法で言えば「汚れた」人と一緒に住んでいることになります。前々回、これについてペテロがすでにユダヤの律法からの脱却を始めていると書きました。

声はペテロにさらなる脱却を求めているようです。声はペテロの反論を「神が清めた物を、不純などと言ってはならない」と却下します。

ユダヤ人にとって外国人(異邦人)とは異なる神を信奉する異教の民族であり、律法はこれら他民族との交流の際には注意を払うように何度も警告します。しかしその一方で神さまは自分を信仰する人であれば、それがユダヤ人でも異国人でも同じように祝福を与えて来ました。このことは、イエスさまが地上に現れる前の旧約聖書の中にも度々記述されています。

聖書の中のユダヤ人の位置づけは、神さまのメッセージの運び手として選ばれた特別な民族には変わりありませんが、神さまの祝福や救済はすべての民族に等しく開かれています(と言うよりも実際の聖書の展開は、せっかくユダヤ人のために用意された祝福や福音だったのですが、ユダヤ人が頑固で神さまの期待や意図を裏切ることばかり続けるから、その祝福を他民族に向けることになった、となっています)。

声はペテロにそのこと、つまり異邦人は神さまから見放された劣等な民族なのではなく、ユダヤ人と同様の祝福や救済を受けることができるのだ、そのように認識を改めなさい、と教えようとしているようです。ペテロは聖霊の声に促されて、異邦人であるローマ人を招いて同じ家に宿泊させ、翌日一緒に出発します。このような光景は頑固なユダヤ人の目に留まれば、「不浄」との批判を受けかねない行為なのです。

ペテロを迎えたコルネリオが最初にしたことは、ペテロの前にひざまずいての崇拝でした。コルネリオはローマ帝国軍の士官なのですから、それだけの立場の人が一介のユダヤ人の前にひざまずくのですから、それはそれで大変なことです。ペテロはもともと漁師ですし、ローマ帝国はユダヤを支配しているのです。ペテロは自分はコルネリオと同じひとりの人間なのだから、そういうことはしないで欲しいと言います。そこにはユダヤ人として異邦人を見下す姿勢も、イエスさまの使徒としての横柄さも見られません。崇拝して褒め称えるべきは、自分ではなく、主イエスさまだ、自分はイエスさまについての福音のメッセージを伝道する使徒にすぎない、とペテロは言いたいのです。

ペテロはコルネリオの家に入りますが、ペテロが説明しているとおり、ユダヤ人は汚れを嫌って異邦人とは交流しませんし、異邦人の家に入ることもしません。ペテロはこれまで自分を支配してきたユダヤ律法の禁を破ってコルネリオの家に入ったことになります。

ペテロがコルネリオに自分を招いた経緯をたずねると、コルネリオの話はペテロが聖霊から告げられた話とまったく一致します。こうしてペテロは、この機会が神さまから用意された計画だと知るのです。

次回、ペテロはコルネリオに福音のメッセージを伝えます。ペテロはそのためにカイザリヤへ来たのです。




english1982 at 21:00│使徒の働き