2015年08月26日

使徒の働き第6章第1節~第7節:つとめのために七人が選ばれる

第6章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Seven Men Chosen to Serve

つとめのために七人が選ばれる


1 But as the believers rapidly multiplied, there were rumblings of discontent. The Greek-speaking believers complained about the Hebrew-speaking believers, saying that their widows were being discriminated against in the daily distribution of food.

1 しかし信者が急速に増えると不平不満が出て来ました。ギリシヤ語を話す信者たちはヘブライ語を話す信者たちについて、自分たちの側の未亡人が日々の食料の配給で差別待遇を受けていると不平を言いました。

2 So the Twelve called a meeting of all the believers. They said, “We apostles should spend our time teaching the word of God, not running a food program.

2 そこで十二人は全信者による会議を開きました。十二人は言いました。「私たち使徒は、食料のプログラムを運用するのではなくて、神さまのことばを教えることに時間を費やすべきです。

3 And so, brothers, select seven men who are well respected and are full of the Spirit and wisdom. We will give them this responsibility.

3 そこで兄弟たち、よく尊敬されていて聖霊と知恵に満ちた人、七人を選びなさい。私たちはその人たちにこの仕事の責任を与えます。

4 Then we apostles can spend our time in prayer and teaching the word.”

4 そうすれば私たち使徒は私たちの時間をお祈りと、ことばを教えることに使うことができます。」

5 Everyone liked this idea, and they chose the following: Stephen (a man full of faith and the Holy Spirit), Philip, Procorus, Nicanor, Timon, Parmenas, and Nicolas of Antioch (an earlier convert to the Jewish faith).

5 みながこの提案を気に入り、信者たちは次の者たちを選びました。ステパノ(信仰と聖霊とに満ちた人)、ピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、そしてアンテオケのニコラオ(初期のユダヤ教への改宗者)です。

6 These seven were presented to the apostles, who prayed for them as they laid their hands on them.

6 この七人は使徒たちの前に立たされ、使徒たちは彼らの上に手を置いて、彼らのために祈りました。

7 So God’s message continued to spread. The number of believers greatly increased in Jerusalem, and many of the Jewish priests were converted, too.

7 そして神のことばは広まり続けました。信者の数はエルサレムで大いに増加しました。そして祭司たちも多く改宗しました。





ミニミニ解説

「使徒の働き」の第6章です。

この章より福音の伝道が広く拡大していく様子が書かれます。

第1節、これまではすべての持ち物を分かち合うなどして、心を一つにした調和の中で教会が拡大していく様子が書かれてきましたが、やはり人が増えればいろいろとゴタゴタが始まるのはどこでも同じことのようです。ここではギリシヤ語を話す信者たちがヘブライ語を話す信者たちについて文句を言っていると書かれています。

ここでまず注目すべきは、信者たちの中にギリシヤ語を話す人たちとヘブライ語を話す人たちがいたと言うことです。当時、ユダヤ人が住んでいたのはイスラエル国内だけではなく、地中海沿岸の大都市に共同体を築いてたくさんの国外居住のユダヤ人がいました。実際のところ、国外居住のユダヤ人の数の方がイスラエル国内のユダヤ人よりも圧倒的に多かったのです。この人たちが律法で定められた年次の祭りの際に、エルサレムの寺院に参拝するために巡礼の旅をしてイスラエルへ戻ってくることや、その人たちの中には老後にエルサレムの周辺にあこがれていて、そうやってイスラエルに戻って定着する人たちも多数いたことなどは、これまでも何度か書いて来ています。

こういう国外に住んでいるユダヤ人のことを「ディアスポラ」と呼びます。意味は「撒き散らされたもの」で、つまり離散したユダヤ人と言うことです。この人たちは旧約聖書にも書かれているユダヤの歴史上の出来事、つまりイスラエルがかつて南北に分かれた後にどちらも滅ぼされて、そのときに国民の大半が異国へ連れ去られた出来事や、他にもさまざまな理由で海外に居住して来ました。しかしどの町のユダヤ人の共同体にも必ず会堂(シナゴーグ)があって、そこでは毎週土曜日に成人男子が集まって聖書や律法やユダヤの文化を学んで来ているのです。これらの会堂にはユダヤ人のみならず、ユダヤ人の旧約聖書の神さまを信奉しようとする異邦人の改宗者も集まっています。

この各町に存在するディアスポラの共同体が、これから初期の教会がキリスト教を地中海沿岸へ広める拠点となっていきます。当時はローマ帝国が地中海沿岸の広い領土を支配していて、帝国内の共通言語はギリシヤ語でした。つまりギリシヤ語を話す信者たちというのは、主にディアスポラ系のユダヤ人でキリスト教に改宗した人たちと言うことです。

一方ヘブライ語を話す信者たちと言うのはもともとイスラエル国内にいた人たちで、この人たちが話していたのはアラム語です(二つの言語はとてもよく似ているそうです)。これは当時のイスラエルの住民の公用語で、イエスさまも弟子たちもアラム語を話していました。旧約聖書はヘブライ語とアラム語で書かれていて、当時、ディアスポラのユダヤ人たちによってギリシヤ語訳の旧約聖書が作成されました。新約聖書はギリシヤ語で書かれています。

次に注目すべきは不和の原因が食糧の配給についてだったと言うところです。これまでに読んできた内容では、信者たちが不動産を含む自分の持ち物を売って、その代金の大部分を教会へ寄付することで資金が捻出され、教会が運営されてきたのでした。 ところが信者の数が爆発的に増えてくると、信者全員が毎日お腹を満たして暮らすだけの資金を、そのような方法だけで集めることが困難となり、あちこちに問題が出て来ます。おそらくもともとエルサレムに住んでいて食料調達なども担当していたヘブライ語を話す信者たちは、全員に配るだけの食料の調達が困難になってきたときに、国外から来たディアスポラ系の信者たちを差別待遇することに決めたのでしょう。

第2節、十二人の使徒たちが全信徒による集会を開き、「私たち使徒は、食料のプログラムを運用するのではなくて、神さまのことばを教えることに時間を費やすべきです。」と言い、第3節、「よく尊敬されていて聖霊と知恵に満ちた人、七人を選びなさい。」と指示します。

第5節、選ばれた七人はステパノ、ピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、ニコラオです。

第6節、使徒たちは七人の上に手を置いてお祈りをします。

次回はこの七人のうち、ステパノに関する話です。



english1982 at 22:00│使徒の働き