2015年08月27日

使徒の働き第5章第1節~第16節:アナニヤとサッピラ、使徒が多くの人を癒やす

第5章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Ananias and Sapphira

アナニヤとサッピラ


1 But there was a certain man named Ananias who, with his wife, Sapphira, sold some property.

1 しかしアナニヤという名前の男がいて、妻のサッピラとともに不動産を売りました。

2 He brought part of the money to the apostles, claiming it was the full amount. With his wife’s consent, he kept the rest.

2 アナニヤは代金の一部を使徒たちのところへ、それが代金の全部だと言って持ってきました。妻も同意して、残りのお金はアナニヤが自分で持っていました。

3 Then Peter said, “Ananias, why have you let Satan fill your heart? You lied to the Holy Spirit, and you kept some of the money for yourself.

3 するとペテロが言いました。「アナニヤ、どうしてあなたはサタンに心を明け渡したのですか。あなたは聖霊に嘘をつき、お金のいくらかを自分のために取っておきました。

4 The property was yours to sell or not sell, as you wished. And after selling it, the money was also yours to give away. How could you do a thing like this? You weren’t lying to us but to God!”

4 不動産はあなたのものでした。自分の思うとおりに、売っても売らなくてもよかったのです。そして売った後も代金はあなたのもので、好きなように寄付できたのです。あなたはどうしてこんなことができたのですか。あなたは私たちに嘘をついたのではなく、神さまに嘘をついたのです。」

5 As soon as Ananias heard these words, he fell to the floor and died. Everyone who heard about it was terrified.

5 アナニヤはこの言葉を聞くとすぐに床に倒れて死にました。これを聞いた人の全員が恐れおののきました。

6 Then some young men got up, wrapped him in a sheet, and took him out and buried him.

6 それから若い者が何名か立ち上がり、アナニヤを布に包み、運び出して葬りました。

7 About three hours later his wife came in, not knowing what had happened.

7 約三時間ほどして、彼の妻が、何が起こったかを知らずに入って来ました。

8 Peter asked her, “Was this the price you and your husband received for your land?” “Yes,” she replied, “that was the price.”

8 ペテロは彼女に妻にたずねました。「これはあなたと夫が土地を売って受け取ったお金ですか。」 彼女は言いました。「はい。それが代金でした。」

9 And Peter said, “How could the two of you even think of conspiring to test the Spirit of the Lord like this? The young men who buried your husband are just outside the door, and they will carry you out, too.”

9 ペテロは言いました。「どうしてあなた方ふたりはこのように共謀して主の霊を試そうなどと考えられたのですか。あなたの夫を葬った若者たちが戸口のすぐ外にいます。彼らがあなたも運び出すでしょう。」

10 Instantly, she fell to the floor and died. When the young men came in and saw that she was dead, they carried her out and buried her beside her husband.

10 その瞬間、彼女は床に倒れて死にました。若者たちが入ってきて彼女が死んでいるのを見ると、彼らは彼女を運び出して夫の横に葬りました。

11 Great fear gripped the entire church and everyone else who heard what had happened.

11 教会全体と、起こったことについて聞いたすべての人を、大きな恐れが捕らえました。


The Apostles Heal Many

使徒が多くの人を癒やす


12 The apostles were performing many miraculous signs and wonders among the people. And all the believers were meeting regularly at the Temple in the area known as Solomon’s Colonnade.

12 使徒たちは人々の間で、多くの奇跡のしるしと不思議なわざを行っていました。そして信者全員が寺院の、ソロモンの回廊として知られる場所で定期的に集会を持っていました。

13 But no one else dared to join them, even though all the people had high regard for them.

13 しかし他には誰も信者たちに加わろうとはしませんでした。しかし人々はみな信者たちを尊敬していました。

14 Yet more and more people believed and were brought to the Lord -- crowds of both men and women.

14 それでもより多くの人たちが信じて、主の元へ連れてこられました。たくさんの男性と女性たちです。

15 As a result of the apostles’ work, sick people were brought out into the streets on beds and mats so that Peter’s shadow might fall across some of them as he went by.

15 使徒たちの働きにより、病人は寝台や寝床に載せたまま通りへと連れ出されるようになりました。それはペテロが通りかかるときに、その影がその何人かの上にかかるかも知れないからです。

16 Crowds came from the villages around Jerusalem, bringing their sick and those possessed by evil spirits, and they were all healed.

16 群衆がエルサレム周辺の村から、病人や邪悪な霊に取り憑かれた人たちを連れて来ました。そしてその人たち全員が癒やされました。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第5章です。

第4章の最後には、最初の教会の信者たちがひとつにまとまり、すべてを分かち合っていた様子が書かれていました。例として自分の土地や家屋を売り、その代金をそっくり教会に全部持って来たバルナバのことが書かれていました。

今回はいままでの話の流れに突然水を差すような、アナニヤとサッピラの話です。ふたりはやはり同じように自分たちの土地を売ったのですが、その代金の一部を自分の手元に残しておいて、しかし教会にはそれが代金の全部だ、と言って持ってきたのでした。

ペテロによれば、第4節、まず不動産などの自分の持ち物を売るか売らないかは、信者の判断に委ねられているのです。信者は財産の処分を強制されているわけではありません。また売却して受け取った代金も信者のもので、そこからどれくらいを教会に寄付するかは自分で判断して決めて良かったのです。代金は必ず全額を持ってくるなどと言うルールもありませんでした。

しかしアナニヤとサッピラの夫婦は持ってきたお金が、土地を売った代金の全部だと、嘘を言ってお金を持ってきました。このことによってふたりとも死んでしまいます。これは神さまの仕事に従事する上での厳粛さが言われているのだと思います。

この話を読んで私が思い出すのは、旧約聖書でモーゼが神さまから預かった十戒が刻まれた石版などを納めていた「主の契約の箱」にまつわる話です。この箱はちょうど日本のお祭りの御神輿(おみこし)のような形状をしていて、前後に伸びた棒をもって運べるように作ってあります。この箱は常に神殿の最深部に安置され、大祭司が神さまに罪の購いをお願いするときに中心の役割を果たすのですが、あるとき異邦人に奪われて異邦人の間を転々とします。

ダビデはこの箱をエルサレムの神殿へ戻すべく行動するのですが、部下がこの箱の取り扱いを間違えたことで死んでしまう場面があります。2 Samuel 6:1-7(サムエル記第2第6章第1節~第7節)です。「1 ダビデは再びイスラエルの精鋭三万をことごとく集めた。2 ダビデはユダのバアラから神の箱を運び上ろうとして、自分につくすべての民とともに出かけた。神の箱は、ケルビムの上に座しておられる万軍の主の名で呼ばれている。3 彼らは、神の箱を、新しい車に載せて、丘の上にあるアビナダブの家から運び出した。アビナダブの子、ウザとアフヨが新しい車を御していた。4 丘の上にあるアビナダブの家からそれを神の箱とともに運び出したとき、アフヨは箱の前を歩いていた。 5 ダビデとイスラエルの全家は歌を歌い、立琴、琴、タンバリン、カスタネット、シンバルを鳴らして、主の前で、力の限り喜び踊った。6 こうして彼らがナコンの打ち場まで来たとき、ウザは神の箱に手を伸ばして、それを押さえた。牛がそれをひっくり返しそうになったからである。7 すると、主の怒りがウザに向かって燃え上がり、神は、その不敬の罪のために、彼をその場で打たれたので、彼は神の箱のかたわらのその場で死んだ。」([新改訳])。

ウザと言う人は移動中に牛がひっくり返しそうになった箱を手で押さえたことで命を奪われてしまいます。ウザは神聖な神さまの箱に触れてはいけない、というルールは知っていましたが、箱がひっくり返りそうになったのでつい触れてしまったのです。 ウザには悪意はありません。箱をエルサレムに戻そうとダビデの指揮下で手伝っていたのです。しかしルールを犯して死んでしまいます。神さまの仕事を侮ってはいけないのです。それほど神聖なものだということでしょう。

今回の第11節にも人々がアナニヤとサッピラが死んだことで、教会と周囲に「畏れ」が生じたと書いています。

第12節以降には初期の教会では、使徒たちが数々の奇跡のわざを行っていたと書かれています。ペテロが通りかかりそうな場所には、せめてそこを歩くペテロの影がかかるようにと、人々が病人をベッドや寝床に載せたまま、ずらりと並べておいたほどだったのです。そして第16節には人々がエルサレムの周辺から連れてきた病人や邪悪な霊に取り憑かれた人たちは、その全員が癒やされたと書かれていますから、きっと通りがかりにペテロの影がかかった人たちさえ癒やされていたのでしょう。

第12節、信者たちは寺院の中のソロモンの回廊で定期的に集会を持っていたと書かれています。そして第13節、人々はみな信者たちを尊敬していたのです。アナニヤとサッピラの事例もありましたから、信者たちは真剣に、厳格に神さまの仕事に従事していたのだと思います。

第13節と第14節を読むと、「他には誰も信者たちに加わろうとはしませんでした」が、それでも多くの男女が教会に加わったとありますから、教会は近寄りがたい厳密な境界のようなものをもってユダヤ人社会の中に存在するようになり、そう易々と信者に加わる人はいなかったけれども、それでもなお信じて加わる人が続いたのです。現在のキリスト教の教会も、信者でない人が最初に教会の集会などに加わるのには、覚悟と勇気を要するような独特の雰囲気を持っています。それでもなお、神さまに呼ばれる人たちはいろいろな形で教会の門をたたき、その中から信者が誕生しています。




english1982 at 22:00│使徒の働き