2015年08月28日

使徒の働き第4章第1節~第22節:ペテロとヨハネが議会の前に立つ

第4章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Peter and John before the Council

ペテロとヨハネが議会の前に立つ


1 While Peter and John were speaking to the people, they were confronted by the priests, the captain of the Temple guard, and some of the Sadducees.

1 ペテロとヨハネが人々に話していると、祭司たち、寺院の守衛、そしてサドカイ派の人たちがやって来ました。

2 These leaders were very disturbed that Peter and John were teaching the people that through Jesus there is a resurrection of the dead.

2 この指導者たちは、ペテロとヨハネが人々に対してイエスさまのことを通じて死者の復活があると教えていたので、とても困惑していました。

3 They arrested them and, since it was already evening, put them in jail until morning.

3 指導者たちはペテロとヨハネを逮捕し、すでに夕方だったので、朝までふたりを牢に入れました。

4 But many of the people who heard their message believed it, so the number of believers now totaled about 5,000 men, not counting women and children.

4 しかしふたりの話を聞いたたくさんの人たちがそれを信じ、信者の数は女性と子供を除いて男で約五千人になりました。

5 The next day the council of all the rulers and elders and teachers of religious law met in Jerusalem.

5 翌日、すべての指導者たち、長老たち、律法の学者たちによる議会がエルサレムで会しました。

6 Annas the high priest was there, along with Caiaphas, John, Alexander, and other relatives of the high priest.

6 大祭司のアンナスが、カヤパと、ヨハネ、アレキサンデル、及びその他の大祭司の親族と共に出席しました。

7 They brought in the two disciples and demanded, “By what power, or in whose name, have you done this?”

7 彼らはふたりの使徒を連れてきて尋問しました。「何の力によって、あるいは誰の名前によって、あなた方はこれを行ったのですか。」

8 Then Peter, filled with the Holy Spirit, said to them, “Rulers and elders of our people,

8 するとペテロは聖霊に満たされて彼らに言いました。「私たちの民の指導者たち、及び長老のみなさん、

9 are we being questioned today because we’ve done a good deed for a crippled man? Do you want to know how he was healed?

9 今日私たちは、ある身体が不自由な人のために、良い行いをしたことのかどで尋問を受けているのでしょうか。あなた方はこの人がどうやって癒やされたのかを知りたいのですか。

10 Let me clearly state to all of you and to all the people of Israel that he was healed by the powerful name of Jesus Christ the Nazarene, the man you crucified but whom God raised from the dead.

10 みなさん全員に、そしてイスラエルの人々全員に明確に言わせてください。この人が癒やされたのは、ナザレのイエス・キリストの力強い名前によるものです。あなた方が十字架にかけ、神さまが死者の中からよみがえらせた方です。

11 For Jesus is the one referred to in the Scriptures, where it says, ‘The stone that you builders rejected has now become the cornerstone.’

11 というのはイエスさまは、聖書の中に『あなた方建設者が拒絶した石が、いまや礎石となった』と書かれている部分で言及している方だからです。

12 There is salvation in no one else! God has given no other name under heaven by which we must be saved.”

12 他の誰には誰も救いはありません。私たちが救われるのに、天の下で、神さまは他の名前は与えていないのです。」

13 The members of the council were amazed when they saw the boldness of Peter and John, for they could see that they were ordinary men with no special training in the Scriptures. They also recognized them as men who had been with Jesus.

13 議会のメンバーはペテロとヨハネの大胆さを見て驚きました。なぜなら彼らにはペテロとヨハネが聖書の特別な勉強をしていない普通の人であることがわかったからです。彼らにはまたふたりがイエスさまと共にいた人たちだともわかりました。

14 But since they could see the man who had been healed standing right there among them, there was nothing the council could say.

14 しかし癒やされた男が、まさに彼らの中に立っているのが見えたので、議会には言える言葉がありませんでした。

15 So they ordered Peter and John out of the council chamber and conferred among themselves.

15 そこで議会はペテロとヨハネを議会の部屋から出すように命じ、自分たちだけで話し合いました。

16 “What should we do with these men?” they asked each other. “We can’t deny that they have performed a miraculous sign, and everybody in Jerusalem knows about it.

16 彼らは互いに言いました。「この人たちをどうしましょうか。彼らが奇跡のしるしを行ったことは否定できません。エルサレムの人は誰もがこのことを知っているのです。

17 But to keep them from spreading their propaganda any further, we must warn them not to speak to anyone in Jesus’ name again.”

17 しかし彼らが宣伝をさらに拡げないようにするためには、二度とイエスの名前で誰かに話しかけてはいけないと警告しなければなりません。」

18 So they called the apostles back in and commanded them never again to speak or teach in the name of Jesus.

18 そこで彼らは使徒たちを呼び戻し、二度とイエスさまの名によって話したり教えたりしてはいけないと宣告しました。

19 But Peter and John replied, “Do you think God wants us to obey you rather than him?

19 しかしペテロとヨハネは答えました。「あなた方は神さまが、私たちが神さまに従うよりも、あなた方に従って欲しいと思っていると言うのですか。

20 We cannot stop telling about everything we have seen and heard.”

20 私たちは自分たちが見たこと、聞いたことのすべてを話さないわけにはいきません。」

21 The council then threatened them further, but they finally let them go because they didn’t know how to punish them without starting a riot. For everyone was praising God

21 議会はふたりをさらに脅しましたが最後には釈放しました。と言うのは暴動を起こさずに、彼らを罰する方法がわかららなかったからです。それはあらゆる人が神さまを褒め称えていたからです、

22 for this miraculous sign -- the healing of a man who had been lame for more than forty years.

22 この奇跡のしるしについて。つまり40年以上も足が不自由だった人の癒やしです。




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第4章です。

第3章で、ペテロとヨハネは寺院で生まれつき足が不自由だった男性と出会い、この人をイエスさまの名前によって癒やしました。男の足は瞬時に癒やされて跳びあがり、大喜びで神さまを褒め称えました。人々は奇跡に驚嘆し、イエスさまの弟子たちの話を聞くためにソロモンの回廊へ集まって来ました。ペテロはこれを福音を伝える好機だととらえて、この奇跡が神さまが聖書の中で救世主だと予告していたイエスさまに、栄光をもたらすために行ったものだと説明します。イエスさまは、ユダヤ人に拒絶される形でローマ帝国の十字架にかけられましたが、神さまはイエスさまを死者の中から復活させたのだと説明します。イエスさまの弟子であるペテロとヨハネはその証人であり、こうして目の前で素晴らしい奇跡を見ていることが、その証であると言います。そしてこれを信じる人は自分たちの罪を悔いて、神さまに向き直るときだと説きます。神さまがイエスさまを復活させた理由は、イエスさまを信じる人のひとりひとりを罪の道から立ち返らせて、祝福を与えるためだと言うのです。

第1節~第2節、ペテロとヨハネをたくさんの人を集めて話をしていると、そこに祭司たち、寺院の守衛、そしてサドカイ派の人たちがやって来ます。祭司職と寺院の守衛の仕事は、ユダヤ人の十二の氏族のレビ族に任されている仕事です。サドカイ派の構成員は祭司、大商人、貴族などの特権階級です。少数派ながら大きな権力を持っていて、大祭司と、祭司階級の中でも特に強い権力を持つ家系が主にサドカイ派です。またサドカイ派はユダヤ人の最高議決機関であるサンヘドリンに議席を持っていました。この人たちがふたりの説教に困惑していたのは、神さまがイエスさまを死者の中から復活させたと伝えている部分です。サドカイ派は死者の復活を信じません。この点については福音書の中でもイエスさまに議論を仕掛けるエピソードが語られていました。

第3節、指導者たちはペテロとヨハネを逮捕して投獄します。ユダヤの暦では夕方になると、その日が終了指定しまい、日没後は規定により、ふたりを裁くための議会を開くことができません。これはイエスさまの裁判が夜明けを待って行われたのとまったく同じです。

第4節、ふたりが逮捕されたものの信者の数は五千人にふくらみました。信者たちに聖霊が降りたペンテコステの日には、ペテロの説教によって三千人が信じましたが、これがさらに増加したことになります。

第5節~第6節、翌日になってふたりを裁くための議会が招集されました。アンナスとカヤパを含むすべての指導者たち、長老たち、律法の学者たちが集まったと書かれていますから、これはサンヘドリンが招集された正式な議会と考えられます。ヨハネやアレキサンデルと言う、高名な大祭司の親族の名前を挙げるあたりは、歴史的な事実を客観的に記録するルカらしい書き口です。「律法の学者たち」と言うのはファリサイ派です。

第7節、議会の尋問は「何の力によって、あるいは誰の名前によって、あなた方はこれを行ったのですか」と問いかけています。これはサンヘドリンがイエスさまに尋ねたのと同じ内容です。後から出てきますが、「これを行った」と言っているのは足の不自由な男を癒やした奇跡のことで、長い間立ち上がることさえできなかった男が、議場の部屋の中に共に立っていたので、奇跡が行われたことは明白だったのです。よってサンヘドリンが問い詰めたのは、それが何の力によって、あるいは誰の名前によって行われたか、なのです。

第8節、話し始めるペテロは聖霊に満たされます。これはイエスさまが予告したとおりです。たとえばMark 13:9-11(マルコの福音書第13章第9節~第11節)です。「9 だが、あなたがたは、気をつけていなさい。人々は、あなたがたを議会に引き渡し、また、あなたがたは会堂でむち打たれ、また、わたしのゆえに、総督や王たちの前に立たされます。それは彼らに対してあかしをするためです。10 こうして、福音がまずあらゆる民族に宣べ伝えられなければなりません。11 彼らに捕らえられ、引き渡されたとき、何と言おうかなどと案じるには及びません。ただ、そのとき自分に示されることを、話しなさい。話すのはあなたがたではなく、聖霊です。」([新改訳])。信者が権威の前に立たされて証言をするとき、何を話すかについて心配する必要はないのです。話をするのは信者の中に封印された聖霊だからです。

第9節~第10節、ペテロの発言は単純明快です。こうして自分たちがサンヘドリンの尋問を受けている理由は、自分たちが良い行いをしたからなのか。そして癒やしの奇跡がどのように行われたのかが知りたいのか、です。そして男の人を癒やす奇跡のしるしは、イエスさまの名前によって行われたのだと説明します。そのイエスさまとは、サンヘドリンがローマ帝国に対して死刑を要求し、裁きの場所に集まったユダヤ人たちを扇動して暴動寸前までに熱狂させてピラトに十字架刑を宣告させながらも、神さまが死者の中から復活させたイエスさまです。

第11節~第12節は、イエスさまに関する預言の成就箇所のひとつで、イエスさま自身が、Luke 20:17-18(ルカの福音書第20章第17節~第18節)で、「17 イエスは、彼らを見つめて言われた。「では、『家を建てる者たちの見捨てた石、それが礎の石となった。』と書いてあるのは、何のことでしょう。 18 この石の上に落ちれば、だれでも粉々に砕け、またこの石が人の上に落ちれば、その人を粉みじんに飛び散らしてしまうのです。」([新改訳])ときいたのと同じです。旧約聖書ではPsalm 118:22-24(詩編第118章第22節~第24節)です。「22 家を建てる者たちの捨てた石。それが礎の石になった。23 これは主のなさったことだ。私たちの目には不思議なことである。24 これは、主が設けられた日である。この日を楽しみ喜ぼう。」([新改訳])。

第13節、サンヘドリンのメンバーはペテロとヨハネの大胆さに驚いてしまします。これは日本で言えば国会の尋問です。大祭司を筆頭にすべての議員を前にして、堂々と宗教的な議論をしています。ふたりはファリサイ派のように、聖書の専門教育を受けたことなどないのです。大胆に話しているのはペテロではなく、ペテロの内部に封印されている聖霊です。聖霊は三位一体の位相の一つ、つまり神さま本人なのです。またサンヘドリンは二人がイエスさまの弟子だったことに気づきます。

第14節~第17節、サンヘドリンがペテロの演説に反論できなかったのは、議場の中に足を癒やされた男が立っていたからです。サンヘドリンはひとたび、ペテロとヨハネに退室させて話し合いを持ちます。サンヘドリンはイエスさまの復活を信じないため、弟子たちが行うのは明確な奇跡ではあるが、これがイエスさまの名前で実現したと話すことはしてはいけない、とふたりに警告しようと結論します。

第18節~第22節、サンヘドリンはペテロとヨハネを議場に呼び戻して警告しますが、ペテロはひるみません。神さまは神さまに従うことと、サンヘドリンに従うこと、どちらを望むと思うのか、と言います。また自分たちが証人として、自分たちが見たこと、聞いたことは、広く伝えないわけにはいかない、と言います。イエスさまに関する福音を伝えること、それが神さまの意思だからです。サンヘドリンがこれ以上ふたりを追い詰めることができなかったのは、男だけでも五千人にふくれあがった信者を筆頭に、驚くべき奇跡の実現にエルサレム中の人たちがわきたっていたからです。もしも奇跡をもたらしたふたりが罰せられるようなことになれば、エルサレムには暴動が発生するかも知れません。そうなるとサンヘドリンはローマ帝国の信任を失い、既得権益を取り上げられてしまうかも知れません。




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