2015年08月31日

使徒の働き第1章第1節~第11節:聖霊の約束、イエスさまの昇天

第1章




(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


The Promise of the Holy Spirit

聖霊の約束


1 In my first book I told you, Theophilus, about everything Jesus began to do and teach

1 テオピロ様、私は最初の本でイエスさまが始め、そして教えたすべてのことについてあなたに話しました。

2 until the day he was taken up to heaven after giving his chosen apostles further instructions through the Holy Spirit.

2 それはイエスさまが、ご自身で選んだ使徒たちに、聖霊を通してさらなる指示を与えた後で天に上げられた日までのことです。

3 During the forty days after he suffered and died, he appeared to the apostles from time to time, and he proved to them in many ways that he was actually alive. And he talked to them about the Kingdom of God.

3 イエスさまが苦しみ、死んだ後の四十日の間、イエスさまはたびたび使徒たちに現われて、自分が実際に生きていることをたくさんの方法で証明しました。そしてイエスさまは使徒たちに神さまの王国について話しました。

4 Once when he was eating with them, he commanded them, “Do not leave Jerusalem until the Father sends you the gift he promised, as I told you before.

4 あるときイエスさまが使徒たちと食事をしているとき、イエスさまは使徒たちに命じました。「私が前にあなた方に話したように、父が約束した贈り物をあなた方に送るまで、エルサレムを離れてはいけません。

5 John baptized with water, but in just a few days you will be baptized with the Holy Spirit.”

5 ヨハネは水で洗礼を授けましたが、もうほんの数日で、あなた方は聖霊の洗礼を受けるからです。」



The Ascension of Jesus

イエスさまの昇天


6 So when the apostles were with Jesus, they kept asking him, “Lord, has the time come for you to free Israel and restore our kingdom?”

6 それで使徒たちがイエスさまと共に居たとき、使徒たちはイエスさまにたずね続けました。「主よ、あなたがイスラエルを解放し王国を再興するときは来ましたか。」

7 He replied, “The Father alone has the authority to set those dates and times, and they are not for you to know.

7 イエスさまは答えました。「そういう日付や時間を決める権限は、ただ父ひとりだけが持ちます。そしてあなた方はそれを知る必要はありません。

8 But you will receive power when the Holy Spirit comes upon you. And you will be my witnesses, telling people about me everywhere -- in Jerusalem, throughout Judea, in Samaria, and to the ends of the earth.”

8 しかし聖霊があなた方の上に来るとき、あなた方は力を受けます。そしてあなた方はあらゆる場所で人々に私について語る証人となるのです。エルサレムで、ユダヤで、サマリヤで、そして地の果てにまで。」

9 After saying this, he was taken up into a cloud while they were watching, and they could no longer see him.

9 これを言った後で、使徒たちが見ている間にイエスさまは雲の中へと上げられ、使徒たちにはもはや見えなくなりました。

10 As they strained to see him rising into heaven, two white-robed men suddenly stood among them.

10 使徒たちが懸命にイエスさまが天へ上って行くのを見ていると、彼らの中に白い外衣を着た男がふたり、立っているのでした。

11 “Men of Galilee,” they said, “why are you standing here staring into heaven? Jesus has been taken from you into heaven, but someday he will return from heaven in the same way you saw him go!”

11 彼らは言いました。「ガリラヤの人たち、なぜここで天を見て立っているのですか。イエスさまはあなた方から取り上げられたのです。しかしある日、イエスさまはあなた方が行くのを見たのと同じように天から戻ります。」




ミニミニ解説

「使徒の働き」の第1章です。

第1節は、「ルカの福音書」の冒頭部分が「most honorable Theophilus(最も尊敬するテオピロ様)」と「テオピロ」という人物に宛てた手紙のようになっていたのと同様、「使徒の働き」もまた、続編として「テオピロ」に宛てた形でスタートします。テオピロとは果たして誰なのか、これはわかりません。[NLT]の「most honorable Theophilus」や、[KJV]の「most excellent Theophilus」は、辞書を引くと『新和英中辞典』(研究社)に「the Most Honourable」をイギリスでは「侯爵」の所有者への敬称で用いるなどと書かれており、これはつまり、かなり高位の目上の人への呼びかけにあたる言葉なのだと思います。テオピロは恐らくローマ帝国の有力者だったのであろうとか、あるいはルカを金銭的に支援していたパトロン的な人物だったのではないか、などと考えられています。また英語の「Theophilus」の「Theo」が「神」を表し、「Philo」が「愛」を表す言葉であるため、「テオピロ」は「神を愛する人」と解釈することも可能で、たとえば書き手のルカは「テオピロ」という架空の人物の名前を使って「神を愛する人」全般に向けてこの福音書を記述したのではないか、という考えもあります。

第1節~第2節は同じ記述者のルカによる「ルカの福音書」の説明です。そこには「イエスさまが始め、そして教えたすべてのこと」が、「イエスさまが、ご自身で選んだ使徒たちに、聖霊を通してさらなる指示を与えた後で天に上げられた日まで」書かれていたとされています。

第3節、ここにはイエスさまは十字架の後に復活し、その後40日に渡って幾度も弟子たちに現れたと書かれています。この後の記述で、弟子たちにイエスさまに代わって聖霊が訪れるのは「ペンテコステ(五旬節)」の時期で、これはイエスさまが十字架にかかった過越の祭の最後から7週間後(50日後)の祭事です。50日と40日を比べると、イエスさまが天へ戻られたのは、まぁそのあたりの日になるのかも知れないとは思いますが、覚えておかなければいけないのは、ルカの本では弟子たちがこの50日の間に一度ガリラヤへ戻っている話がすっぽり抜けていることです。イエスさまが天へ戻った日がいつなのか、それを記した箇所は聖書の中には見つかりません。ただ「40日」と言う日数は私のメルマガでも何度か書いて来ていますが、聖書の中では特別な「試練」の意味を持つ数字なので、ここでも50日の中に収まる40日ということで選ばれた可能性もあると思います。

第4節ではイエスさまが弟子たちに「父が約束した贈り物をあなた方に送るまで、エルサレムを離れてはいけません」と告げています。これはガリラヤ行きに触れないルカが念押しのために入れた言葉のようにも読めます。「私が前にあなた方に話したように」の部分は「エルサレムを離れてはいけません」にではなくて、「父が約束した贈り物をあなた方に送る」にかかるのだと思います。たとえばルカの第11章に登場したたとえ話で、友人がたずねてきたのに出す食べ物がないからと真夜中にパンを借りに行く話がありました。その結びの部分のLuke 11:13(ルカの福音書第11章第13節)は、「してみると、あなたがたも、悪い者ではあっても、自分の子どもには良い物を与えることを知っているのです。とすれば、なおのこと、天の父が、求める人たちに、どうして聖霊を下さらないことがありましょう。」([新改訳])と、父なる神さまが求める人に聖霊を送ることが話されています。あるいはルカの第12章では、弟子たちは迫害に遭ったときに何を話そうかと心配する必要はなく、その理由としてLuke 12:12(ルカの福音書第12章第12節)に「言うべきことは、そのときに聖霊が教えてくださるからです。」と書かれ、ここでも聖霊が与えられていることが想定されています。

第5節、「ヨハネは水で洗礼を授けましたが、もうほんの数日で、あなた方は聖霊の洗礼を受ける」のヨハネは、イエスさまの前に現れてイエスさまのための道を整えた「洗礼者ヨハネ」のことです。ヨハネはLuke 3:16(ルカの福音書第3章第16節)でイエスさまを説明して同じことを言っていました。「ヨハネはみなに答えて言った。「私は水であなたがたにバプテスマを授けています。しかし、私よりもさらに力のある方がおいでになります。私などは、その方のくつのひもを解く値うちもありません。その方は、あなたがたに聖霊と火とのバプテスマをお授けになります。」([新改訳])。ここで言う「聖霊のバプテスマ」はこれからすぐにエルサレムで起こる聖霊の訪れのことであり、もう一つの「火のバプテスマ」は天から王として再来するイエスさまが、「終わりの日」に地上で行う恐ろしい出来事の数々だろうと考えられます。

第6節、弟子たちがイエスさまにたずねます。「主よ、あなたがイスラエルを解放し王国を再興するときは来ましたか。」  弟子たちはイエスさまこそが旧約聖書に予告された救世主であり、救世主が現れたあかつきには、イスラエルはローマ帝国の支配から解放され、いよいよかつてのダビデ王やソロモン王の頃の力強い王国としてよみがえるのだと考えて、イエスさまに従っていました。弟子たちは伝道活動の初期からイエスさまと行動を共にすることで、イエスさまが再興する王国では、上位の良いポストに就けてもらえるのではないかと狙っていたのです。イエスさまが逮捕されたときには散り散りになって逃げ出し、裁判を経てイエスさまが十字架刑に処せられて殺されてしまうとすっかり意気消沈し、弟子である自分たちにも迫害の手が及ぶのではないかとビクビク怯えて隠れていましたが、復活したイエスさまに会うと、かつての同じ欲望がそろそろと首を持ち上げてきます。イエスさまは死者の中から戻ってきた、これでいよいよイエスさまが王となり、王国が復活して、自分たちもおいしい目が見られる日が来るのではないか、と。

第7節、イエスさまはこれに答えます。「そういう日付や時間を決める権限は、ただ父ひとりだけが持ちます。そしてあなた方はそれを知る必要はありません。」 王国の復興がいつ起こるか、それは父なる神さまが決めることなのだから、弟子はそんなことは気にしなくて良いのだ、と言うのです。ですがこれは逆に言えば、その日がいつなのかを私たちが知る必要がないだけで、神さまの王国は物理的に必ず来ると言うことでしょう。これは素晴らしいことです。

第8節、では王国が来るまでの間、弟子たちは何をすれば良いのでしょうか。ここにはそれが書かれています。「しかし聖霊があなた方の上に来るとき、あなた方は力を受けます。そしてあなた方はあらゆる場所で人々に私について語る証人となるのです。エルサレムで、ユダヤで、サマリヤで、そして地の果てにまで。」 「聖霊のバプテスマ」が起こって身体に聖霊を受けると、弟子たちは「力」を受けるのです。その聖霊による力をもってして、あらゆる場所でイエスさまについての証言をする証人となれ、とイエスさまは命じています。エルサレムからスタートして、ユダヤ地方で、サマリや地方で、それどころか地の果てにまで伝導を行え、とイエスさまは弟子たちに命じています。

第9節~第11節、これを話した後で、イエスさまは弟子たちの見ている前で天へと引き上げられ雲の中へ消えていきます。そして弟子たちがイエスさまを見失わないように懸命に空を見上げていると、いつの間にか天使がふたり立っています。ずっと上を見上げていたから、いつどこから天使が現れたのか誰も見ていないのですね。天使は言います。「ガリラヤの人たち、なぜここで天を見て立っているのですか。イエスさまはあなた方から取り上げられたのです。しかしある日、イエスさまはあなた方が行くのを見たのと同じように天から戻ります。」天使が告げたことは二つです。ひとつは「イエスさまはもういない」、もうひとつは「イエスさまは天から戻る」です。少し気になるのはイエスさまの戻り方ですね。「イエスさまはあなた方が行くのを見たのと同じように」戻ると書かれています。これはどういうことなのでしょうか。字面どおりに解釈すれば、弟子たちが見ている前で、雲の中から戻ってくる、と言うことになります。




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