2016年01月28日

ユダヤ人の暦と祭り

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ユダヤ人の暦と祭りflower-mini
四つの福音書
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この記事では新約聖書の福音書にたびたび登場するユダヤの暦と祭りについて説明します。


ユダヤ人の暦

出典・参考: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ユダヤ人の祭りは年中行事なので最初にユダヤ人のカレンダーを見ておきましょう。

ユダヤ人の暦は「太陰太陽暦」で進みます。太陰太陽暦は「太陰暦」、つまり月の満ち欠けの周期を1ヶ月とする暦法に閏月(うるうづき)を挿入して実際の季節とのずれを補正した暦です。一方私たちが日常使っているカレンダーは「太陽暦」、つまり地球が太陽の周りをまわる周期を元にして作られた暦法に基づくグレゴリオ暦です。両者には大きなずれがあります。

ユダヤ人の暦の月の呼び名は新しい呼び名と古い呼び名があり、これはバビロン捕囚(紀元前6世紀にバビロニアの王ネブカドネザルがエルサレムを陥落させてユダヤを滅ぼし、ユダヤ人を捕虜として連れ去った出来事)の頃に変わったようです。

下の表からユダヤ人の祭りは3~6月頃の春の祭りと、9~10月頃の秋の祭りがあることがわかります。成人男子の出席が義務づけられている三大祭りは「過越の祭り」「ペンテコステ(別称:七週の祭り)」「仮庵の祭り」です。


ユダヤ人の暦グレゴリオ暦月の呼び名(古)月の呼び名(新)ユダヤ人の祭り
第1の月3~4月頃アビブニサン過越し祭り(ペサハ)
第2の月4~5月頃ジブイヤール-
第3の月5~6月頃-シバンペンテコステ(五旬節)
第4の月6~7月頃-タムーズ-
第5の月7~8月頃-アブ-
第6の月8~9月頃-エルール-
第7の月9~10月頃エタニムティシュリー新年祭(ローシュ・ハッシャーナー)
大贖罪日(ヨム・キプール)
仮庵の祭り(スコット)
第8の月10~11月頃-マルヘシュバン-
第9の月11~12月頃-キスレーヴ(ハヌカ)
第10の月12~1月頃-テベット-
第11の月1~2月頃-シュバット-
第12の月2~3月頃-アダル(プリム)
閏月--アダル・シェーニー-


 
第9の月(私たちの11~12月頃)の「ハヌカ」は旧約聖書に定められた祭りではなく、紀元前168年のマカバイ戦争でユダヤ人がセレウコス朝シリアからエルサレムの神殿を奪回したことを記念する祭りです。イエスの時代にはユダヤ人は既にハヌカを祝福していて、福音書にもその記述が登場します。

第12の月(私たちの2~3月頃)の「プリム」は旧約聖書で最初から定められていた祭りではなく、紀元前6世紀にユダヤ人がバビロニアを滅ぼしたアケメネス朝ペルシャの支配下にあったときに大量虐殺を免れ敵対勢力を倒した出来事に基づきます。この出来事は旧約聖書の「Esther(エステル記)」に記述されています。





過越(すぎこし)の祭り

過越(すぎこし)の祭りはユダヤ人のエジプト脱出を記念する祭りで、第1の月(私たちの3~4月頃)の14日に行われます。エジプト脱出のときに神さまはエジプト上空を飛んでエジプト中の家の第一子を殺しましたがユダヤ人には危害を加えませんでした。つまり神さまはユダヤ人の家を「過ぎ越した」のです。そのことを思い出して感謝をする祭りでもあります。

これに続く七日間は「種を入れないパンの祭り」になります。これはユダヤ人がエジプトを脱出するときには大急ぎで出立しなければならなかったので、パン種を入れて生地を発酵させる時間がなかったことを思い出す祭りです。第1の月(私たちの3~4月頃)の21日まで続きます。

「種を入れないパンの祭り」の最終日は「収穫の初穂の祭り」です。これはエジプト軍の追撃を断った紅海の横断を記念した祭りで、収穫シーズンの始まりを告げる祭りでもあります。

聖書には次のように書いてあります。

Leviticus 23:4-8(レビ記第23章第4節~第8節) [新改訳]

4 あなたがたが定期に召集しなければならない聖なる会合、すなわち主の例祭は次のとおりである。5 第一月の十四日には、夕暮れに過越のいけにえを主にささげる。6 この月の十五日は、主の、種を入れないパンの祭りである。七日間、あなたがたは種を入れないパンを食べなければならない。7 最初の日は、あなたがたの聖なる会合とし、どんな労働の仕事もしてはならない。8 七日間、火によるささげ物を主にささげる。七日目は聖なる会合である。あなたがたは、どんな労働の仕事もしてはならない。」

これに続いて「収穫の初穂の祭り」についての記述があります。

Leviticus 23:9-14(レビ記第23章第9節~第14節) [新改訳]

9 ついで主はモーセに告げて仰せられた。10 「イスラエル人に告げて言え。わたしがあなたがたに与えようとしている地に、あなたがたが入り、収穫を刈り入れるときは、収穫の初穂の束を祭司のところに持って来る。11 祭司は、あなたがたが受け入れられるために、その束を主に向かって揺り動かす。祭司は安息日の翌日、それを揺り動かさなければならない。12 あなたがたは、束を揺り動かすその日に、主への全焼のいけにえとして、一歳の傷のない雄の子羊をささげる。13 その穀物のささげ物は、油を混ぜた小麦粉十分の二エパであり、主への火によるささげ物、なだめのかおりである。その注ぎのささげ物はぶどう酒で、一ヒンの四分の一である。14 あなたがたは神へのささげ物を持って来るその日まで、パンも、炒り麦も、新穀も食べてはならない。これはあなたがたがどこに住んでいても、代々守るべき永遠のおきてである。

同じことがDeuteronomy(申命記)には次のように書いてあります。

Deuteronomy 16:1-8(申命記第16章第1節~第8節) [新改訳]

1 アビブの月を守り、あなたの神、主に過越のいけにえをささげなさい。アビブの月に、あなたの神、主が、夜のうちに、エジプトからあなたを連れ出されたからである。2 主が御名を住まわせるために選ぶ場所で、羊と牛を過越のいけにえとしてあなたの神、主にささげなさい。3 それといっしょに、パン種を入れたものを食べてはならない。七日間は、それといっしょに種を入れないパン、悩みのパンを食べなければならない。あなたが急いでエジプトの国を出たからである。それは、あなたがエジプトの国から出た日を、あなたの一生の間、覚えているためである。4 七日間は、パン種があなたの領土のどこにも見あたらないようにしなければならない。また、第一日目の夕方にいけにえとしてほふったその肉を、朝まで残してはならない。5 あなたの神、主があなたに与えようとしておられるあなたの町囲みのどれでも、その中で過越のいけにえをほふることはできない。6 ただ、あなたの神、主が御名を住まわせるために選ぶその場所で、夕方、日の沈むころ、あなたがエジプトから出た時刻に、過越のいけにえをほふらなければならない。7 そして、あなたの神、主が選ぶその場所で、それを調理して食べなさい。そして朝、自分の天幕に戻って行きなさい。8 六日間、種を入れないパンを食べなければならない。七日目は、あなたの神、主へのきよめの集会である。どんな仕事もしてはならない。





ペンテコステ

ペンテコステは過越の祭りの最後に行われる「収穫の初穂の祭り」から七週間後(50日後)に行われる祭りです。「七週の祭り」とも呼ばれます。私たちのカレンダーでは5~6月頃で、この頃に小麦の収穫が終わりを迎えます。伝統的にモーゼがシナイ山で神さまから律法を授かった出来事に結びつけて祝われます。

聖書には次のように書いてあります。

Leviticus 23:15-22(レビ記第23章第15節~第22節) [新改訳]

15 あなたがたは、安息日の翌日から、すなわち奉献物の束を持って来た日から、満七週間が終わるまでを数える。16 七回目の安息日の翌日まで五十日を数え、あなたがたは新しい穀物のささげ物を主にささげなければならない。17 あなたがたの住まいから、奉献物としてパン -- 主への初穂として、十分の二エパの小麦粉にパン種を入れて焼かれるもの -- 二個を持って来なければならない。18 そのパンといっしょに、主への全焼のいけにえとして、一歳の傷のない雄の子羊七頭、若い雄牛一頭、雄羊二頭、また、主へのなだめのかおりの、火によるささげ物として、彼らの穀物のささげ物と注ぎのささげ物とをささげる。19 また、雄やぎ一頭を、罪のためのいけにえとし、一歳の雄の子羊二頭を、和解のいけにえとする。20 祭司は、これら二頭の雄の子羊を、初穂のパンといっしょに、奉献物として主に向かって揺り動かす。これらは主の聖なるものであり、祭司のものとなる。21 その日、あなたがたは聖なる会合を召集する。それはあなたがたのためである。どんな労働の仕事もしてはならない。これはあなたがたがどこに住んでいても、代々守るべき永遠のおきてである。22 あなたがたの土地の収穫を刈り入れるとき、あなたは刈るときに、畑の隅まで刈ってはならない。あなたの収穫の落ち穂も集めてはならない。貧しい者と在留異国人のために、それらを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。」

Deuteronomy 16:9-12(申命記第16章第9節~第12節) [新改訳]

9 七週間を数えなければならない。かまを立穂に入れ始める時から、七週間を数え始めなければならない。10 あなたの神、主のために七週の祭りを行ない、あなたの神、主が賜わる祝福に応じ、進んでささげるささげ物をあなたの手でささげなさい。11 あなたは、あなたの息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みのうちにいるレビ人、あなたがたのうちの在留異国人、みなしご、やもめとともに、あなたの神、主の前で、あなたの神、主が御名を住まわせるために選ぶ場所で、喜びなさい。12 あなたがエジプトで奴隷であったことを覚え、これらのおきてを守り行ないなさい。





新年祭

新年祭は別名「ラッパの祭り」です。ユダヤの暦で第7の月の第一日、私たちのカレンダーでは9~10月頃ですから秋の始まりの頃にラッパを吹き鳴らします。このラッパはエジプトを脱出したユダヤの民が約束の地へ入るまでの間に過ごした砂漠での行軍で、命令の合図として吹かれたラッパを思い出させます。そしてこのラッパは一連の秋の祭りの始まりを告げるラッパでもあります。

聖書には次のように書いてあります。

Leviticus 23:23-25(レビ記第23章第23節~第25節) [新改訳]

23 ついで主はモーセに告げて仰せられた。24 「イスラエル人に告げて言え。第七月の第一日は、あなたがたの全き休みの日、ラッパを吹き鳴らして記念する聖なる会合である。25 どんな労働の仕事もしてはならない。火によるささげ物を主にささげなさい。」





大贖罪日

大贖罪日はユダヤ人が「ヨム・キプール」と呼ぶ祭りです。ユダヤの暦で第7の月の10日、私たちのカレンダーでは9~10月頃です。

祭りは次のように進行します。最初に大祭司が自分の罪のためのいけにえの雄牛をささげ、自分と自分の家族のために贖いをします。次に二頭の山羊についてくじ引きをして一頭を神さまへのいけにえとし、もう一頭は身代わりの役目にします。次に大祭司はいけにえの雄牛とやぎを順番に殺し、それぞれの血を持って寺院の最深部の聖域へ持ち込んで、モーゼの十戒が納められた聖なる箱の上の「贖いのふた」の上に七回ずつ振りかけます。最後に大祭司は身代わりのやぎの頭に手を置いて全ユダヤ人の罪を告白します。身代わりのやぎは荒野へ放されます。これが「スケープゴート」の語源です。

聖書には次のように書いてあります。

Leviticus 23:26-32(レビ記第23章第26節~第32節) [新改訳]

26 ついで主はモーセに告げて仰せられた。27 「特にこの第七月の十日は贖罪の日、あなたがたのための聖なる会合となる。あなたがたは身を戒めて、火によるささげ物を主にささげなければならない。28 その日のうちは、いっさいの仕事をしてはならない。その日は贖罪の日であり、あなたがたの神、主の前で、あなたがたの贖いがなされるからである。29 その日に身を戒めない者はだれでも、その民から断ち切られる。30 その日のうちに仕事を少しでもする者はだれでも、わたしはその者を、彼の民の間から滅ぼす。31 どんな仕事もしてはならない。これは、あなたがたがどこに住んでいても、代々守るべき永遠のおきてである。32 これは、あなたがたの全き休みの安息である。あなたがたは身を戒める。すなわち、その月の九日の夕方には、その夕方から次の夕方まで、あなたがたの安息を守らなければならない。」

祭りの進行はLeviticus 16(レビ記第16章)に書かれています。

Leviticus 16:3-22(レビ記第16章第3節~第22節) [新改訳]

3 アロンは次のようにして聖所に入らなければならない。罪のためのいけにえとして若い雄牛、また全焼のいけにえとして雄羊を携え、4 聖なる亜麻布の長服を着、亜麻布のももひきをはき、亜麻布の飾り帯を締め、亜麻布のかぶり物をかぶらなければならない。これらが聖なる装束であって、彼はからだに水を浴び、それらを着ける。5 彼はまた、イスラエル人の会衆から、罪のためのいけにえとして雄やぎ二頭、全焼のいけにえとして雄羊一頭を取らなければならない。6 アロンは自分のための罪のためのいけにえの雄牛をささげ、自分と自分の家族のために贖いをする。7 二頭のやぎを取り、それを主の前、会見の天幕の入口の所に立たせる。8 アロンは二頭のやぎのためにくじを引き、一つのくじは主のため、一つのくじはアザゼルのためとする。9 アロンは、主のくじに当たったやぎをささげて、それを罪のためのいけにえとする。10 アザゼルのためのくじが当たったやぎは、主の前に生きたままで立たせておかなければならない。これは、それによって贖いをするために、アザゼルとして荒野に放つためである。11 アロンは自分の罪のためのいけにえの雄牛をささげ、自分と自分の家族のために贖いをする。彼は自分の罪のためのいけにえの雄牛をほふる。12 主の前の祭壇から、火皿いっぱいの炭火と、両手いっぱいの粉にしたかおりの高い香とを取り、垂れ幕の内側に持って入る。13 その香を主の前の火にくべ、香から出る雲があかしの箱の上の『贖いのふた』をおおうようにする。彼が死ぬことのないためである。14 彼は雄牛の血を取り、指で『贖いのふた』の東側に振りかけ、また指で七たびその血を『贖いのふた』の前に振りかけなければならない。15 アロンは民のための罪のためのいけにえのやぎをほふり、その血を垂れ幕の内側に持って入り、あの雄牛の血にしたようにこの血にもして、それを『贖いのふた』の上と『贖いのふた』の前に振りかける。16 彼はイスラエル人の汚れと、そのそむき、すなわちそのすべての罪のために、聖所の贖いをする。彼らの汚れの中に彼らとともにある会見の天幕にも、このようにしなければならない。17 彼が贖いをするために聖所に入って、再び出て来るまで、だれも会見の天幕の中にいてはならない。彼は自分と、自分の家族、それにイスラエルの全集会のために贖いをする。18 主の前にある祭壇のところに出て行き、その贖いをする。彼はその雄牛の血と、そのやぎの血を取り、それを祭壇の回りにある角に塗る。19 その残りの血を、その祭壇の上に指で七たび振りかける。彼はそれをきよめ、イスラエル人の汚れからそれを聖別する。20 彼は聖所と会見の天幕と祭壇との贖いをし終え、先の生きているやぎをささげる。21 アロンは生きているやぎの頭に両手を置き、イスラエル人のすべての咎と、すべてのそむきを、どんな罪であっても、これを全部それの上に告白し、これらをそのやぎの頭の上に置き、係りの者の手でこれを荒野に放つ。22 そのやぎは、彼らのすべての咎をその上に負って、不毛の地へ行く。彼はそのやぎを荒野に放つ。





仮庵の祭り

仮庵の祭りはユダヤ人がエジプトを脱出した後で40年間にわたって砂漠を放浪したことを思い出す祭りです。40年の間に神さまの超自然的な力によって供給された水と光に感謝します。その年のすべての収穫の完了を祝う祭りでもあります。

私たちのカレンダーで9~10月の秋の一週間、ユダヤ人全員がテント暮らしをしながら共同の炊飯作業をして過ごします。イエスの時代、祭りの期間中のエルサレムの寺院では毎日市内のシロアムの池から黄金の器で水を汲んで寺院へ運び、朝晩のいけにえを捧げる際に供え物とともに祭壇に水を注ぐ儀式が行われていました。

聖書には次のように書いてあります。

Deuteronomy 16:13-17(申命記第16章第13節~第17節) [新改訳]

13 あなたの打ち場とあなたの酒ぶねから、取り入れが済んだとき、七日間、仮庵の祭りをしなければならない。14 この祭りのときには、あなたも、あなたの息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みのうちにいるレビ人、在留異国人、みなしご、やもめも共に喜びなさい。15 あなたの神、主のために、主が選ぶ場所で、七日間、祭りをしなければならない。あなたの神、主が、あなたのすべての収穫、あなたの手のすべてのわざを祝福されるからである。あなたは大いに喜びなさい。16 あなたのうちの男子はみな、年に三度、種を入れないパンの祭り、七週の祭り、仮庵の祭りのときに、あなたの神、主の選ぶ場所で、御前に出なければならない。主の前には、何も持たずに出てはならない。17 あなたの神、主が賜わった祝福に応じて、それぞれ自分のささげ物を持って出なければならない。




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