コリント人への手紙第1第1章第18節~第31節:神さまの知恵コリント人への手紙第1:第1章

2015年06月30日

コリント人への手紙第1第1章第1節~第17節:パウロからのあいさつ、パウロが神さまに感謝を捧げる、教会の分裂

コリント人への手紙第1 第1章



(英語は[NLT]、日本語は私の拙訳です。)


Greetings from Paul

パウロからのあいさつ


1 This letter is from Paul, chosen by the will of God to be an apostle of Christ Jesus, and from our brother Sosthenes.

1 この手紙は、神さまの意志によってイエス・キリストの使徒として選ばれたパウロと、私たちの兄弟ソステネからです。

2 I am writing to God’s church in Corinth, to you who have been called by God to be his own holy people. He made you holy by means of Christ Jesus, just as he did for all people everywhere who call on the name of our Lord Jesus Christ, their Lord and ours.

2 私はコリントにある神さまの教会、つまり神さまご自身の神聖な民となるべく、神さまから呼ばれたあなた方へ宛てて書いています。人々の主であり私たちの主であるイエス・キリストの名前を呼び求めるあらゆる場所の人たちに、神さまがしたのとまったく同じように、神さまはあなた方をイエス・キリストによって神聖にしました。

3 May God our Father and the Lord Jesus Christ give you grace and peace.

3 どうか父なる神さまと主イエス・キリストが恵みと平安をあなた方にもたらしますように。



Paul Gives Thanks to God

パウロが神さまに感謝を捧げる


4 I always thank my God for you and for the gracious gifts he has given you, now that you belong to Christ Jesus.

4 私はいつもあなた方について、そして神さまがあなた方に与えた恵み深い贈り物、いまあなた方がイエス・キリストに属していることについて私の神さまに感謝しています。

5 Through him, God has enriched your church in every way -- with all of your eloquent words and all of your knowledge.

5 神さまはイエス・キリストを通じてあなた方の教会を、あなた方の雄弁な言葉とあなた方の知識、そしてあらゆる意味で豊かにしてくださいました。

6 This confirms that what I told you about Christ is true.

6 これはキリストについて私があなた方に話したことが正しいと言うことです。

7 Now you have every spiritual gift you need as you eagerly wait for the return of our Lord Jesus Christ.

7 あなた方が熱心に主イエス・キリストの再来を待つ間、あなた方は必要とする霊的な贈り物のすべてを持っています。

8 He will keep you strong to the end so that you will be free from all blame on the day when our Lord Jesus Christ returns.

8 神さまはあなた方を最後まで強く保つことでしょう。それは私たちの主イエス・キリストが再来する日に、あなた方がすべての罪から自由であるためです。

9 God will do this, for he is faithful to do what he says, and he has invited you into partnership with his Son, Jesus Christ our Lord.

9 神さまがこれをしてくれるのは、神さまは自分の言うことを実行する誠実な方だからであり、神さまは息子の主イエス・キリストとの仲間としてあなた方を招いたからです。



Divisions in the Church

教会の分裂


10 I appeal to you, dear brothers and sisters, by the authority of our Lord Jesus Christ, to live in harmony with each other. Let there be no divisions in the church. Rather, be of one mind, united in thought and purpose.

10 親愛なる兄弟たち、姉妹たち、互いに調和をもって暮らすように主イエス・キリストの権威によりあなた方にお願いします。教会で分裂を起こさないでください。そうではなく、一つの心で、考えと目的を一つにしてください。

11 For some members of Chloe’s household have told me about your quarrels, my dear brothers and sisters.

11 と言うのはクロエの家の何名かがあなた方の仲違いについて私に教えてくれたのです、親愛なる兄弟たち、姉妹たち。

12 Some of you are saying, “I am a follower of Paul.” Others are saying, “I follow Apollos,” or “I follow Peter,” or “I follow only Christ.”

12 あなた方の中には「私はパウロの弟子だ」と言う人たちがいて、他の人たちは「私はアポロに従う」とか「私はペテロに従う」とか「私はキリストだけに従う」と言っています。

13 Has Christ been divided into factions? Was I, Paul, crucified for you? Were any of you baptized in the name of Paul? Of course not!

13 キリストが派閥に分割されたのですか。私、パウロがあなた方のために十字架に掛けられたのですか。あなた方の誰かはパウロの名によって洗礼を受けましたか。もちろん違います。

14 I thank God that I did not baptize any of you except Crispus and Gaius,

14 私はクリスポとガイオを除いて、あなた方のだれにも洗礼を授けなかったことを神さまに感謝しています。

15 for now no one can say they were baptized in my name.

15 それはいま誰も私の名によって洗礼を受けたと言うことができないからです。

16 (Oh yes, I also baptized the household of Stephanas, but I don’t remember baptizing anyone else.)

16 (あぁ、そうでした、私はステパナの家族にも洗礼を授けました。しかし他には誰かに洗礼を授けた覚えはありません。)

17 For Christ didn’t send me to baptize, but to preach the Good News -- and not with clever speech, for fear that the cross of Christ would lose its power.

17 と言うのはキリストは洗礼を授けさせるためではなく、良い知らせを伝道するために私を遣わしたからです。それもキリストの十字架がその力を失わないよう、利口なスピーチよらずにです。




ミニミニ解説

「1 Corinthians(コリント人への手紙第1) 」の第1章です。

パウロは二回目の伝道旅行で一年半に渡ってコリントに滞在し、ユダヤ人と異邦人に福音を伝えました。パウロがコリントを去った後、コリントの教会では様々な問題が発生しました。 三回目の伝道旅行の途上でパウロがエペソに滞在していると聞きつけたコリントの教会は、ステパナ、ポルトナト、アカイコの三名を代表として送り、パウロに指導を仰ぐことにしました。教会ではどのような問題が発生し、パウロはどのような指導を行うのでしょうか。

第1節に発信人としてパウロに名前を連ねて登場するソステネは、Acts 18:17(使徒の働き第18章第17節)に名前が出ていました。Acts 18:11-17(使徒の働き第18章第11節~第17節)を引用します。パウロがコリントにいたときの話です。

「11 そこでパウロは、一年半ここに腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けた。12 ところが、ガリオがアカヤの地方総督であったとき、ユダヤ人たちはこぞってパウロに反抗し、彼を法廷に引いて行って、13 「この人は、律法にそむいて神を拝むことを、人々に説き勧めています」と訴えた。14 パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人に向かってこう言った。「ユダヤ人の諸君。不正事件や悪質な犯罪のことであれば、私は当然、あなたがたの訴えを取り上げもしようが、15 あなたがたの、ことばや名称や律法に関する問題であるなら、自分たちで始末をつけるのがよかろう。私はそのようなことの裁判官にはなりたくない。」 16 こうして、彼らを法廷から追い出した。17 そこで、みなの者は、会堂管理者ソステネを捕らえ、法廷の前で打ちたたいた。ガリオは、そのようなことは少しも気にしなかった。」([新改訳])。

パウロがコリントに滞在中、ガリオという人がローマ帝国から任命されたコリントの地方総督であったときに、パウロを憎むユダヤ人たちがパウロを訴えますが、ガリオはユダヤ人の問題は裁かないと言って受け入れません。 すると怒ったユダヤ人たちは代わりに会堂管理者のソステネを捕らえて打ち叩きます。おそらくこの時点でソステネはユダヤ人側でパウロを訴えたグループの一人なのだと思います。パウロの告訴がうまく行かなかったことで、ユダヤ人は怒りの矛先を会堂管理者に向けたのではないでしょうか。 しかし今回はパウロの手紙に名前を連ねていますから、その後で信者となったと言うことです。他にクリスポというユダヤの会堂管理者も信者になっていますから、ソステネはクリスポの後任なのか、あるいはコリントは大きな町ですから別の会堂の管理者なのかも知れません。

第5節、パウロが神さまに捧げる感謝の言葉の中に、コリントの信者たちの雄弁な言葉と知識があげられています。パウロはコリントに入る前に、アテネでエピクロス派やストア派の哲学者たちと議論しましたが、アテネに近く州都としてさらに大きな町であるコリントでも哲学の探求は幅広く行われていたのでしょう。結果として信者となった人の中にも、雄弁な言葉と知識を持つ人たちが多く存在したと想像できます。

第8節では、イエスさまが再来する日、つまり「終わりの日」への言及があり、神さまはこの日までコリントの信者を強く保つと書いてあります。そしてその理由は、そのイエスさま再来の時点で、コリントの信者があらゆる罪から自由であるため、とあります。 「あらゆる罪から自由である」というのはすなわち、福音を受け入れて「救われている」状態のことでしょう。この部分を反対に読むと、神さまがコリントの信者を強く保たなければ、信者のうちの何名かは罪から自由ではくなることになります。 これは他の書簡でも類似のことが書かれているように、信者が何かの理由で一度獲得した「救い」から脱落するケースがあるという意味ではなく、最初から信者でなかったことが明るみに出る人たちがいる、という意味だと理解します。

第10節以降は、コリントの教会で見られる最初の問題、「分裂」についてです。

第11節でこれをパウロに伝えた、「クロエの家の人たち」が誰なのかはわかりません。何かの理由、あるいはビジネスでエペソとコリントを行き来する人たちと考えられます。

第12節で教会の分裂の様子が明らかになります。つまり信者たちは「私はパウロの弟子だ」「私はアポロに従う」「私はペテロに従う」「私はキリストだけに従う」などと言って、教会の中がパウロ派、アポロ派、ペテロ派、キリスト派に分裂し、互いに口論しているのです。 パウロは第10節で、このような状況のコリントに教会に、互いに調和をもって暮らすように、一つの心で、考えと目的を一つにするようにお願いしています。

派閥のひとつに登場するアポロはActs 18(使徒の働き第18章)に登場します。パウロは第二回目の伝道旅行でコリントからエペソに来て、コリントから同行してきたプリスキラとアクラの夫婦をそこに残してエルサレムへ向かいますが、アポロはその後でエペソに来てプリスキラとアクラに会っています。Acts 18:24-19:7(使徒の働き第18章第24節~第19章第7節)です。

「24 さて、アレキサンドリヤの生まれで、雄弁なアポロというユダヤ人がエペソに来た。彼は聖書に通じていた。25 この人は、主の道の教えを受け、霊に燃えて、イエスのことを正確に語り、また教えていたが、ただヨハネのバプテスマしか知らなかった。26 彼は会堂で大胆に話し始めた。それを聞いていたプリスキラとアクラは、彼を招き入れて、神の道をもっと正確に彼に説明した。27 そして、アポロがアカヤへ渡りたいと思っていたので、兄弟たちは彼を励まし、そこの弟子たちに、彼を歓迎してくれるようにと手紙を書いた。彼はそこに着くと、すでに恵みによって信者になっていた人たちを大いに助けた。28 彼は聖書によって、イエスがキリストであることを証明して、力強く、公然とユダヤ人たちを論破したからである。1 アポロがコリントにいた間に、パウロは奥地を通ってエペソに来た。そして幾人かの弟子に出会って、2 「信じたとき、聖霊を受けましたか」と尋ねると、彼らは、「いいえ、聖霊の与えられることは、聞きもしませんでした」と答えた。3 「では、どんなバプテスマを受けたのですか」と言うと、「ヨハネのバプテスマです」と答えた。4 そこで、パウロは、「ヨハネは、自分のあとに来られるイエスを信じるように人々に告げて、悔い改めのバプテスマを授けたのです」と言った。5 これを聞いたその人々は、主イエスの御名によってバプテスマを受けた。6 パウロが彼らの上に手を置いたとき、聖霊が彼らに臨まれ、彼らは異言を語ったり、預言をしたりした。7 その人々は、みなで十二人ほどであった。」([新改訳])。

第27節でアポロはコリントのある「アカヤへ渡りたい」と思っていて、パウロはアポロがコリントにいるときに第三回目の伝道旅行でエペソへ来たのでした。

ペテロはもちろん十二使徒のひとりのペテロですが、ペテロがコリントへ行ったという記録は新約聖書の中にはありません。が、その可能性はあると思います。

パウロは第14節~第17節で自分が誰に洗礼を授けたかを書いています。「洗礼」と言うのは信仰を表明した信者を水中に水没させる儀式のことです。これは信仰の告白により、聖霊が信者を訪れてその中に宿り、信者が霊的にイエスさまに浸る、いわゆる「聖霊のバプテスマ」を象徴的に示す儀式です。 パウロはこの儀式をクリスポ、ガイオ、ステパナの家族に授けたと書かれています。 クリスポはコリントのユダヤ会堂の管理者で、Acts 18(使徒の働き第18章)に登場します。Acts 18:4-18:8(使徒の働き第18章第4節~第8節)です。

「4 パウロは安息日ごとに会堂で論じ、ユダヤ人とギリシヤ人を承服させようとした。5 そして、シラスとテモテがマケドニヤから下って来ると、パウロはみことばを教えることに専念し、イエスがキリストであることを、ユダヤ人たちにはっきりと宣言した。6 しかし、彼らが反抗して暴言を吐いたので、パウロは着物を振り払って、「あなたがたの血は、あなたがたの頭上にふりかかれ。私には責任がない。今から私は異邦人のほうに行く」と言った。7 そして、そこを去って、神を敬うテテオ・ユストという人の家に行った。その家は会堂の隣であった。8 会堂管理者クリスポは、一家をあげて主を信じた。また、多くのコリント人も聞いて信じ、バプテスマを受けた。」([新改訳])。

ユダヤ人たちはパウロの伝道に暴言を吐いて反抗したので、パウロは会堂を後にしてテテオ・ユストと言う異邦人の家に移り(実は会堂の隣の家です)、ここを伝道活動の拠点としますが、会堂管理者のクリスポは福音を信じたのです。

ガイオはRomans 16:23(ローマ人への手紙第16章第23節)に名前が出て来ます。「私と全教会との家主であるガイオも、あなたがたによろしくと言っています。市の収入役であるエラストと兄弟クワルトもよろしくと言っています。」([新改訳])。 「Romans(ローマ人への手紙)」が書かれた場所はコリントなので、パウロと教会の全体がこのガイオという人物の家にお世話になっていることになります。ガイオはテテオ・ユストと同一人物ではないか、という説もあります。

ステパナはコリントの教会からエペソまでパウロを訪ねてやって来た三人のうちのひとりです。「1 Corinthians(コリント人への手紙第1) 」の最後、1 Corinthians 16:15(コリント人への手紙第1第16章第15節)には、「兄弟たちよ。あなたがたに勧めます。ご承知のように、ステパナの家族は、アカヤの初穂であって、聖徒たちのために熱心に奉仕してくれました。」([新改訳])と書かれていますから、ステパナはアカヤ州で最初に信者となった人なのです。

第17節でパウロはイエスさまがパウロを遣わしたのは、洗礼を授けさせるためではなく、良い知らせ(福音)を伝道するためだと書いています。 つまり「洗礼を授けること」と「福音を伝道すること」、言い換えれば「伝道した福音を信じてもらうこと」「福音を信じた人が聖霊を受けること」は別なのです。洗礼は福音を信じた後で象徴的に行う儀式です。 上のアポロの箇所で引用した部分で、アポロは最初「ヨハネのバプテスマしか知らなかった」と書かれていますが、この「ヨハネのバプテスマ」は洗礼者ヨハネがヨルダン川で行っていた、「悔い改め」を表明した人を水没させる「水による洗礼」のことです。アポロはエジプトのアレクサンドリアで福音を学び、それを雄弁に語っていましたが、エペソでプリスキラとアクラに教わるまでは、聖霊によるバプテスマの存在を知らず、水による洗礼だけを儀礼的に行っていたようです。






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